役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第8章 人類の厄災

42話 マルクの反撃

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 シオンがいきなり、ガウディのブレスに包まれ、マルク達は大きな声を出した。

『な、なんだと!』

 ブレスがおさまると人影が立っていた。マルクはすかさずヒールをとばして安堵する。

「凄い。ほとんどダメージがなかった。これならマルクの足を引っ張らないわ」

 シオンはガウディのブレスのダメージのほとんどを防いでいたのだ。これにはマルクも驚くのだった。

「じゃあ、そろそろ終わりにするわね。マルク!この犬はあたしが引き付けるから攻撃はお願いね」

『調子に乗るなぁ!』

 ガウディはシオンの言葉に激怒していた。そして、シオンに飛びかかる。

「そんなものもう効かないわ!」

 巨大な三つ首をシオンは盾で凪ぎ払う。

「シオンはこんなことができるのか?」

「「「す、凄い・・・・・・」」」

 カノン達は、シオンの盾術に言葉を失う。カノン達が言葉を失うのも当然だった。
 ガウディの三つ首だけでも2m近くある。シオンはその巨大な牙にあわせて凪ぎ払っていたのだ。

 ガウディをシオンが引き付けている間に後方からマルクが拳で攻撃するが、マルクの拳がガウディに触れた瞬間マルクは驚愕する。

「なっ!」

 マルクが、ガウディの背中にダメージを与える瞬間漆黒の毛並みが逆立つように揺らめく。
 そして、次の瞬間マルクが炎に包まれた。シオン達は声をあげる。

「「「「「マルク!」」」」」

『グハハハハハハハハハハハハハ!馬鹿め!油断したようだな。我の毛皮は地獄の業火なのだ!それに触れるとは馬鹿な奴よ!』

 シオン達は地獄の業火に燃えるマルクを見て、その場で立ち尽くし涙がこぼれ落ちる。

「「「「「マルクぅ~~~~~!」」」」」

『グハハハハ!泣く必要はない!すぐさまお前達も地獄に送ってやろう』

「ふっ!そのままその言葉お前に返してやるよ。アイシクルランス!」

『グハッ』

 ガウディの業火に焼き尽くされたと思ったマルクが、ガウディの背中で復活し水属性魔法の氷の槍アイシクルランスを撃ち込んだ。

「「「「「マルク!」」」」」

 マルクが灰になったと思ったシオン達は歓喜の声をあげる。

『き、貴様!我の業火で死んだはずじゃ・・・・・・』

「僕がお前ごときの炎で焼かれるはずがないだろ?」

 そう言ったマルクの背中には真っ赤に輝く羽根フェニックスウィングがひろがっていた。

『な、なんだと!貴様・・・・・下等生物じゃ』

「なにかと口を開けば人間を下等生物と言うが、お前は僕からすれば只の犬っころだよ」

『我が犬っころだと!』

 ガウディはマルクの言葉に血が登り、毛皮が逆立ち燃え上がる。

『グハハハハハハハ!これなら貴様でも耐えられまい!』

「さすがは犬っころだな。僕に火属性が効かないってまだわからないみたいだね」

『我の業火は地獄の炎だ!グハッ』

「何よそ見していやがる!」

『貴様ぁ!』

 ガウディがマルクに気をとられている隙に、オウカがガウディの四肢を攻撃をした。

「オウカ、ナイスだ」

『貴様ぁ!我の背から降りろ』

 ガウディは背に乗るマルクを振り落とそうと、毛並みを逆立て業火を巻き上げた。

「だから言ってるだろ?僕に火属性は効かない」

 マルクはそう言って、手を広げアイシクルランスをガウディの背に突き立てた。

『グオオオオオオオオオ!』

「攻撃するならこういう風に弱点をつくもんだ」

「あたしの攻撃もくらいな!」

 オウカはそう叫びガウディを攻撃。オウカはフェンリルの血を引く末裔の狼の獣人である。その為、氷属性の攻撃でガウディに痛烈なダメージが入り、ガウディの顔が歪む。

『グガガガガガガガガガ』

「どうだい?あたしの拳は?」

『女ぁ!調子に乗るなぁ!』

 ガウディはその大きな三つ首をオウカに向け、オウカを噛みつこうとする。

「あなたの攻撃はあたしが引き受ける!」

 ガウディがオウカを噛みつこうとすると、今度はシオンが挑発ヘイトをガウディにかける。ガウディはシオンのヘイトになすすべもなく、シオンを攻撃する。

『グオオオオオオオオオ!』

 シオンはガウディの巨大な牙を凪ぎ払う。また、前足の爪攻撃も難なく防いだ。

「カノン、システィナ!あなた達も攻撃よろしく」

「「言われなくとも!」」

 カノンはガウディの後方に回り込み三連突き、システィナはシオンの後方からガウディの目を弓矢で狙い撃ちをする。

『鬱陶しい蝿共め!』

 ガウディは背に乗るマルクを振り落とそうと必死だった。また、オウカの水属性をのせた拳が地味に効いていたが、シオンのヘイトをレジストする事が出来ずシオンに攻撃を繰り出すしかなかった。

「アイシクルランス!」

『ギャアアアアアアアア!』

 マルクの繰り出す氷の槍アイシクルランスはガウディの毛皮を難なく貫いた。氷の槍はガウディの業火には溶ける事はなく、反対に業火が凍りついていたほどだ。

『なぜ業火が凍りついているのだぁ!』

「今更何いっている。犬っころのとろ火など僕の魔力に敵う訳がないじぁないか?」

 そう言って、マルクはガウディの背にアイシクルランスを撃ち込んだ。ガウディは顔を歪め、シオンの盾に攻撃を繰り出すしかなかった。
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