役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第8章 人類の厄災

18話 聖女の救出

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 女神クローディアの願いは聖女の復活だった。マルクは慌てて女神クローディアに聞き直す。

「女神様ちょっと待って下さい」

「なにか問題でもありましたか?」

「問題大ありですよ!仮に死亡したのが、僕の家族ならまだわかります。しかし、申し訳ありませんが聖女様との面識はないんですよ?生き返ったとなれば大問題でしょ?」

「それならば大丈夫です。聖女はもう聖教国から離れて、マルクさんの町の住民となります。後は、生き返るだけですよ」

「何でそんな事に?」

「聖女は、勇者の人権を考えて教皇に意見をしました。その結果、殺されてしまったのです。殺人犯が聖教国のトップ等あり得ません」

「では・・・・・・」

「はい!聖教国は一度滅亡していただきます。聖女を教会のトップとして、人々に命の大切さを説いていただきます」

「なるほど。国と信仰を一緒にせず分離させるのですね」

「はい。聖女は教会のトップになり、大陸全土の教会で命の大切さを説いていただきます」

「復活については、女神様が責任をとってくれるのですね?」

「はい。マルクさんが聖女の遺体を保護してくれたら後は私の影が聖教国に降臨します」

「影?」

「本来は直接人間界に私や別の神が降臨してはいけないのです。その為に神の言葉を伝える役割が聖女です」

「なるほど・・・・・・その聖女を聖教国のトップが殺したとなれば問題ですね」

「そういう事です」

 女神クローディアの怒りを買ってしまった聖教国はなくなってしまう未来がすでに確定しているようだ。女神クローディアの中では教会には国というくくりは必要のないもので、人々が他人を思いやる精神が根づけばいいのである。

「分かりました。僕は聖女の亡骸を保護しに行ってきます」

「よろしくお願いします。聖女の魂は止めて、すでにマルクさんの町に行くようにと了承を得ていますので頼みましたよ」

「もう何もかも決まっていたんだね」

「申し訳ありません。あなたがあの町にいれば、優しい世界が開けるはずですからね」

 女神クローディアの話が終わると、またマルクは光の渦に包まれ目を覚ました。

「「「「だよな!」」」」

「ガハハハハハ!って、領主様どうしたんだ?いきなりボーッとしちまって?」

「えっ?今、女神神像が光っただろ?」

「いいや?何も光ってないだろ。なぁお前達?」

「「「「「ああ・・・・・・」」」」」

 女神クローディアが言った事は本当で、マルクにしか関わっていなかった。長い事話していたと思っていたが、人間界では一秒も時が進んでいなかったのだ。

「そ、そうか・・・・・・悪いボーッとしていたようだ」

「領主様大丈夫か?いろいろやる事があるから疲れているんじゃねぇのか?」

「そうかもな?ちょっと屋敷で休むよ」

「ああ!そうした方がいい。疲れているところ悪かった」

 マルクは、出来たばかりの教会を後にして屋敷に帰る。マルクの町は、人々が他人を思いやり無理な事はしない。多少の無理はあるが許容範囲で、みんな笑顔で生活していた。

 急いで屋敷に帰ったマルクは、セバスチャンにことづけをする。

「セバス、今から聖教国に行ってくるから、後はよろしく頼む」

「聖教国ですか?一体何があったのですか?」

「ちょっと時間がないから手短に話す。聖女様が殺されたらしい。女神クローディア様から依頼を受けたんだよ」

「聖女様が死んだ?女神様からの依頼?」

 セバスチャンは、マルクの説明に目を白黒させてパニック状態だ。

「時間がないから帰って来てから詳しく説明する。じゃあ行ってくる」

「ちょ、ちょっとご主人様!」

 そして、マルクは世界地図を展開し聖女の遺体をサーチしたとたん、個人用の転移魔法リコールを唱えた。セバスチャンの声もむなしく、マルクの姿は一瞬にして消えてしまった。

 マルクは、ユーダン湖から聖教国まで馬車で一年以上かかる距離を一瞬にして到着した。するとそこは、大聖堂の一室に聖女は安置されていた。

「だ、だれだ!」
「ここをどこだと思っている!」

 いきなり現れたマルクに、聖女を安置する部屋にいた聖騎士がマルクに剣を突き付ける。

「待て待て。僕は女神様からお願いされて聖女様の遺体を保護しにきたんだ」

「訳のわからん事を言うな!聖女様は殺されて我々は!」
「そうだ!聖女様が乱心などありえない!貴様は教皇の回し者か!聖女様から離れろ!」

 ここにいる聖騎士は、聖女直属の聖騎士で聖女が死んだ事を信じられないみたいで本気で悲しんでいるようだ。
 その時、聖女が安置されていた部屋に一筋の光が部屋に射し込んだ。

「聖騎士達よ。その人を傷付けては行けません」

「「「「「その声は聖女様ですか?」」」」」

「女神様が、その方マルクさんに私の遺体の保護をお願いしました」

「「「「「は、本当ですか?」」」」」

「はい。嘘ではありません。その方に私の遺体を任せるのです。いいですね」

 聖女がそう言うと、聖女直属の聖騎士達は射し込んだ光に膝をついた。

「マルクさん、申し訳ありませんがそこにいる者達も一緒に、マルクさんの町に招いていただけないでしょうか?」

「女神様はあなたの遺体の保護をお願いしたんですよ?」

「お願いします。その者達はこれからの教会に役に立つはずです。お願いします」

「時間がないしわかったよ」

「ありがとうございます」

 マルクは、聖女をお姫様抱っこをして、聖女直属の聖騎士達に声をかけた。

「あなた達も僕の町に来てくれるかな?」

「マルク殿の町にですか?」

「ああ。聖女様のお願いだからね」

「しかし、聖教国にお暇を申請しなければ!」

「別に構わないよ」

「はっ?」

「あんた達がお暇を申請しても、聖教国はなくなってしまうから意味がないよ」

「「「「「なっ!」」」」」
「マルク殿は何を!」

「詳しい事は向こうで説明するから着いてきて」

「「「「「「しかし!」」」」」」

「マルクさんの言う事を聞きなさい!」

「「「「「「はっ!」」」」」」

 マルクは聖女を抱き抱えながら、ゲートトラベルを唱えてその門をくぐり、聖女直属の聖騎士達もマルクの後に続いた。
 そして、聖女直属の聖騎士達が門をくぐるとゲートは消えたのだった。
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