役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第8章 人類の厄災

17話 女神クローディア

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 教皇が聖女を刺したとは思いもしない兵士達は、教皇を部屋から運び出す。

「乱心だ!聖女の乱心だ!」

 教皇は自分に非はないとばかりに、乱心と言い放つ。そして、兵士は教皇の腕を持って部屋から運び出した。部屋に残ったのは兵士数名と聖女の遺体だけで、兵士は聖女の遺体を運んだのだった。

「一体なぜ聖女様がこんなことを・・・・・・」

「まさか、大魔王の魔力が聖女様に!」

「馬鹿なことを!聖女様は聖なる光に守られているお方だぞ。聖女様が大魔王の魔力の影響があれば、俺達の方が先に影響があるはずだ!」

「しかし、教皇様は聖女様が乱心と!一体何が?」
「まさか、大魔王が討伐されていないのに聖女様がこんなことになるなんて・・・・・・」
「これからどうなってしまうんだ・・・・・・・」

 聖女の腹には、教皇の護身用のナイフが突き刺さり出血して、聖女の意識はなくなっていた。兵士達も聖女はもう死んでしまっていると思い愕然としていた。

 その頃、マルクは町に出来たばかりの教会の姿に納得していた。

「これはすごい!町の人もお祈りに来るだろうね」

「領主様にそう言って貰えると作ったかいがあるってもんよ!」

「棟梁・・・・・・領主様はやめてくれって言っているだろ?前みたいに坊主でいいよ」

 マルクは、大工の棟梁に領主と呼ばれ、背中がむず痒くなる。

「とはいっても、領主様は魔の森を開拓してこの町の責任者じゃねぇか?そればかりかこの町は将来絶対に大陸の商業都市になるぜ」
「「「「だよな!」」」」

 大工の棟梁と弟子達は笑顔でマルクを讃えた。そして、この町に他の大工の棟梁が生産ギルドを建設している事についても話す。

「この町に生産ギルドが建ったら、大陸の匠達が集まってくるぜ」

「棟梁は何言ってんだよ?」

「領主様は、冒険者としてこの町を守るんだろ?」

「僕に町の政は無理だからね。ラッシュ達の方が適任だよ」

「だからさ!大陸の匠だけじゃなく民が集まってくるんだよ。領主様がこの町の冒険者なら、王国より安全な町になるからな」

「まあ、その辺は否定するつもりはないよ」

「だろ?商人ギルドもその辺がわかっているからいきなり本部が移設してくるんだよ。多分、いずれ冒険者と生産ギルドも本部が移設してくるぜ」

「「「「「だよな!」」」」」

 大工の棟梁達はマルクに話ながらガハハと豪快に笑っていた。すると、教会の中にある女神神像が輝き出す。

「ま、眩しい!」

「マルクさん、申し訳ありません。助けて下さい」

「はっ?ま、まさか女神様?」

 マルクは真っ白な何もない空間にいた。そして、目の前には女神神像と同じ姿の女性が頭を下げていたのだった。

「はじめまして。女神クローディアと言います」

「は、はじめまして。マルクと言います。ここは天界ですか?」

「人間界と天界の狭間と考えていただければよろしいかと」

「ですが何で僕が、女神様と話、いえ・・・・・・会うことができるのですか?」

「それは、マルクさんが私の事を信仰し教会まで建ててくれたからですよ」

「それなら、町の権力者はみんな女神様とこうして会うことができるのですか?」

「いいえ。会う事はできません」

「じゃあなんで?」

「マルクさんは、私が与えた魔法(EX)いえ、今は大賢者(EX)まで進化させ、聖属性と光属性の魔力を覚醒させたからです」

 マルクは、元皇帝のダンジョンでエンジェルと聖母龍を討伐して、大賢者のスキルに進化させた事で光と聖属性の魔力を覚醒させ、聖女以上の能力を得たのだ。

「ああ・・・・・・あの事が!」

「ええ。そして、私の事を想いあんな立派な教会まで建て下さりました。マルクさんは今や聖女より聖人君子なのです」

「まあ、国王様より慕われているのかな?それで僕をここに連れてきた理由は何かあるのですか?」

「話が早くて助かります」

 マルクのレベルはすでに人間が到達できないレベルであり、INTの数値はあり得ないほど高く頭の回転や思考能力は普通ではない。

「先に言っておきますが、大魔王討伐ならまだ無理ですよ。シオン達の経験がともなっていません」

「それは大丈夫です。マルクさんに任せます。そんな事より、今すぐ聖教国に飛んでもらえませんか?」

「何で僕が聖教国に?」

「今しがた聖女が教皇に刺されました。即死です」

「はぁあ?何でそんな事に?」

 女神クローディアは、勇者の降臨はないと聖女に啓示したことを説明する。こうして、マルクのように呼び寄せれば良かったが、そんな事が出来るわけもなく必要最低限の言葉だけ啓示したのだ。
 聖女は、なぜ勇者の降臨がなくなったのか考えて教皇に意見していたのだ。勇者が大魔王討伐の後、国に利用されると意見し、権力者の考え方を正そうとしたのだ。しかし、人間の欲望はそう簡単に正せるわけがなく教皇に刺されたと聞いた。

「女神様は、勇者の降臨は何でしないと?」

「魔王の復活は今まで何回もありました。そして、ついに大魔王が出現してしまいました。今までの魔王とは違います。桁外れの魔王なのです」

「確かに地上をダンジョンみたいにするからね」

 女神の言った桁外れと言う言葉にマルクは魔物がダンジョンの中のように産み出されていたことに納得した。

「だから、今までの勇者のスキルインフィニティブレイクのスキルを、ディクトと言う人間に与えましたが知っての通りです」

「では、新たに!」

「しかし、マルクさんあなたが私達天界の神の予想を遥かに上回る結果を出してくれたので、勇者の降臨は見送る事にしたのです」

「上回る結果?」

「魔法(EX)を大賢者(EX)に進化させた事です」

 女神はマルクを勇者として認めていて、聖女を蘇生してマルクの町で保護してほしいとお願いしてきたのだった。




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