役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第7章 覚醒

59話 ダンジョン攻略達成

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 マルク達の前に出現した漆黒の魔物はベヒーモスだった。

『ぐおおおおおおおお!』

 ベヒーモスは咆哮をあげ突進してきた。マルク達は素早く回避したはずだった。

「きゃあああ!」

「シオン!」

 回避したはずのシオンが、ベヒーモスに吹き飛ばされダンジョンの壁に打ちつけられた。

「マルク、気をつけて・・・・・・あたしは確かに避けたの・・・・・・くはっ!」

 シオンはベヒーモスの突進にダメージを負い吐血したのだ。マルクはシオンに回復魔法をかけて、命の心配はなくなった。

『ぐおおおおおおおお!』

 ベヒーモスは咆哮をあげると同時に突進をしてくる。そのスピードは目にも止まらぬ速さだった。

「きゃああああああああああ!な、なにこのスピードは・・・・・・」

 シオンはカノン達にベヒーモスが行かないように挑発を繰り返す。タンカーのシオンだからこそ耐えれる突進だからだ。もし、ベヒーモスがクレアを狙えばクレアはアッという間にあの世行きである。

「スロー!」

 マルクはベヒーモスのスピードを抑える為、闇属性魔法のスローをかけた。すると、ベヒーモスのスピードが遅くなった。シオンはベヒーモスのスピードが遅くなった事で、ベヒーモスのからくりに気づく事ができた。

「ダメージの正体はあの毛並みだったのね!」

 ベヒーモスは高速突進ですれ違い様に、全身の毛を一瞬だけ逆立たせて震わせていた。その衝撃波がシオンに襲いかかり吹き飛ばされていたのだ。

『ぐおおおおおおおお!』

 ベヒーモスは自分のスピードが遅くなったので苛立ちを露にする。ベヒーモスは攻撃を変えてきて、シオンに立ち向かってきた。

「スピードがなければあんたなんて!カノン、オウカ攻撃は頼んだわよ」

「「わかった!」」

 マルクはシオンのHPに気をつけて戦闘を任せる事にした。

「シオン気をつけて!ベヒーモスの攻撃は受け流すんだ!」

『ぐおおおおおおおお!』

「えっ?」

 シオンのタンカーのスタイルは、基本敵の攻撃を受け止めるスタイルだ。回避タンカーではない。
 シオンはベヒーモスの攻撃を弾き返した。その瞬間シオンは自分の体力がガクッと減るのを感じた。

「な、なに?」

 すかさずマルクはシオンのHPを回復した。

「嘘だろ?」
「いったいどうなっている?」

 カノンとオウカは、ベヒーモスにダメージを与えていたが、ベヒーモスがシオンを攻撃した瞬間、二人が与えた傷がふさがったのだ。

『ぐおおおおおおおお!』

 ベヒーモスはなんだか勝ち誇った表情をしていた。

「ベヒーモスは闇属性の魔物いや魔獸だ!シオン、ベヒーモスの攻撃は受け流すスタイルにしないと体力の吸われるぞ」

「「な、何だって!」」

「な、なによ。それ!」

「ベヒーモスはドレイン能力を持っている!」

 ベヒーモスは能力でドレインを持っていて、攻撃をした際自分のHPを回復する。また、闇属性のデバフを与えて来るのが厄介なのだ。

「先に言ってよね・・・・・・きゃっ!」

 シオンは、ベヒーモスの爪攻撃を受けると毒に侵される。マルクはエクストラキュアを唱えた。

「ベヒーモスの毒は猛毒だから気をつけるんだ!」

 シオンはベヒーモスの攻撃を受け流す事にする。
カノンとオウカはベヒーモスの後方に回り込み攻撃をした。

「マルクは攻撃に参加しないの?」

 クレアはマルクに話しかける。システィナも離れた位置から弓で攻撃していた。

「なにか嫌な予感がするんだ!もう遅いかも知れないけど、シオン達にはベヒーモスぐらいは討伐してもらいたい」

 マルクは、シオン達のレベルを上げるつもりで任せていたのだ。

「嫌な予感って?」

「多分、皇帝は魔王じゃない。煌めきの杖が言っている」

「どういう事?」

「ベヒーモスはシオン達の敵ではないから、皇帝を討伐してから説明するよ」

 マルクは、シオン達に回復をしていた。シオンはベヒーモスの攻撃を受け流すスタイルに変えて、カノンとオウカとシスティナの三人でダメージを与えて続けると、ベヒーモスは呆気なく倒れてしまった。シオンのHPをドレイン出来なくなった事と状態異常をことごとく回復されれば、ベヒーモスにはなすすべもなかったのだ。

 倒れたベヒーモスはダンジョンに吸収されてしまい、その場には素材だけが残った。

「マルク!ベヒーモスにドレイン能力があるなら先に言ってよね!」

「悪かったよ。だけど、シオン達にはもっと強くなってもらわないとね」

「いったいどういう事?」

「とりあえず、あのダンジョンマスターを討伐してからだね」

 マルク達は、元皇帝が逃げ込んだダンジョンオーブの部屋の扉を蹴破った。そこには、青い顔をした元皇帝が、ダンジョンオーブに向かって何やら怒鳴り散らしていた。

「オーブ!なぜ話さん!」

「・・・・・・」

「余はどうすればよいのだ!」

「・・・・・・」

 オーブはもう話す事はない。悪魔はもう逃げてしまい、ここにあるのはしゃべる事はないダンジョンオーブだ。

「覚悟するんだな!お前はもう終わりだ」

「ふはははははは!何が終わりだ!余にダメージは与えることは出来ぬ!」

「この小さな部屋に逃げたのは不味かったね」

「何を言っている?」

「ボス部屋にいた方が生き残れたのに残念」

 マルクは元皇帝ではなく、エリアにアンチマジックシェルをかけた。すると、この部屋の魔力はすべて消失してしまった。

「なっ!」

「これで僕も魔法は唱えられなくなったけど、皇帝お前も魔法を使えない只の魔王、いやダンジョンマスターだ」

 そう言ってマルクは元皇帝に突進した。マルクは今魔法をつかえないが、体術(S)を持つ武道家でもあり、皇帝の腹に拳がめり込んだ。

「ぐええええええええええ!」

 元皇帝のストーンスキンは、アンチマジックシェルのせいで効果は停止して、マルクの拳は皇帝にダメージを与える。

「き、貴様ぁ・・・・・・余は皇帝なるぞ・・・・・・余に手をあげるなど不敬罪に処す」

「お前はもう人類の厄災なんだ。貴族でも皇帝でもないよ」

「や、やめ・・・・・・ぎゃっ!ぐへっ!こぼっもう、や、やめてくれ!」

 マルクは元皇帝のダンジョンマスターを連打してその命を終わらせた。

 アンチマジックシェルのせいで、ダンジョンマスターはマルクにボコボコにされてダンジョンに吸収されてしまった。
 ダンジョンオーブは、アンチマジックシェルの中でもその機能は失う事はなかった。ダンジョンオーブは、邪神が作り出したアーティファクトだからだ。邪神とはいえ神が作り出した物である。アンチマジックシェルは効かないのである。

 そして、元皇帝のダンジョンマスターを討伐した瞬間、マルクの体が輝きだす。









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