役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第7章 覚醒

57話 魔法勇者の末裔

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 マルク達は最深部にやって来ていた。

「これは?」

「ねぇ。マルク?ここが最深部じゃないの?」

「信じられないけどそうみたいだね」

「たった五階層のダンジョン?」

 元皇帝のダンジョンは五階層だった。その事にマルク達は驚き声をあげた。

「あんな伝説級の魔物ばかりのダンジョンがたった五階層なのか?」

「カノン、多分だけど伝説級の魔物ばかりだからかもしれないよ」

「どういう事?」

「理由はわからないけど、伝説級の魔物を呼び出すには、それなりの触媒がいると思うんだよ。当然ダンジョンを成長させるにも力がいると思う」

「マルクは、元皇帝がダンジョンの成長より魔物に力を使った思うのか?」

「そういう事!だから、この扉を入ったら相当強い魔物がいると思った方がいいだろうね」

「「「「「・・・・・・」」」」」

 マルクの言葉に、シオン達は息をのみ緊張した。そして、マルク達は最深部のボス部屋の扉を開けたのだった。扉を開けるとそこには、元皇帝の姿がありマルク達を待ち受けていた。

「よくぞここまでこれたな!」

 元皇帝の顔は歪み、頭には大きな角が生えて目は真っ赤となり、もう人間の姿ではなかった。

「余は魔王!大陸の覇者である!」

「そんな事は僕が認めない!大陸の覇者どころか、このダンジョンさえ手中に出来ない!」

「余はダンジョンマスター魔王だ!このダンジョンは余の物である。手中に出来ないとはお笑いものよ」

「僕の言った意味がわからないのか?お前は人間を辞め、人類に取って百害あって一利なし!このダンジョンはお前の墓場になるんだよ!」

「ぐぬぬぬ!言わせておけば!ならば、お前を殺しダンジョンの肥やしにしてやるわ!ファイヤーボール!」

 元皇帝は、マルクに向かってファイヤーボールを撃ち込んだ。

「そんなものがあたしに効くと思って?」

 シオンが、マルクの前に出て元皇帝のファイヤーボールを弾き返した。

「な、なんだと!」

 元皇帝は、シオンが自分のファイヤーボールを弾き返したに驚く。

「自分のファイヤーボールに焼かれなさい!」

「あれでは駄目だ・・・・・・」

 シオンが弾き返したファイヤーボールを見た、煌めきの杖が呟く。

「何が駄目なのよ!」

 弾き返されたファイヤーボールが元皇帝に当たった瞬間、ファイヤーボールは元皇帝に吸収されてしまった。

「「「「「なっ!」」」」」

 ファイヤーボールが吸収されて、シオン達が言葉を失っていた。

「ふはははははは!余は勇者魔法使いの末裔!魔法は効かん!」

「だったら物理攻撃をするまでだぁ!」
「魔法使い一人で油断しすぎだ!」
「魔法が効かないなら、弓で貫くまでよ!」

 オウカが、元皇帝に突っ込み拳を撃ち込んだ。それと同時に、カノンも槍で攻撃しシスティナ弓を撃ち込む。

「「「嘘っ!」」」 

 カノン達三人は、絶妙なタイミングで元皇帝に攻撃し、元皇帝が魔法使いなら前衛職の三人の攻撃は有効のはずだった。

「余が主らに後れをとるわけがあるまい!愚か者共め!」

 カノン達三人の攻撃は、元皇帝に当たった瞬間金属音がガキンとなって防がれたのだ。

「「「ば、馬鹿な!」」」
「何で魔法使いにそんな防御力が!」

「油断したのは主のようだな!ストーンバレット」

 至近距離でカノンは、元皇帝からストーンバレットを撃ち込まれる。

「し、しまった!」

 しかし、マルクはシオン同様にカノンにも、光属性魔法のリフレクトを付与している。
 元皇帝のストーンバレットは、カノンに当たった瞬間弾き返された。そして、ストーンバレットは元皇帝に吸収されてのだった。

「マルク!皇帝の物理防御力はなんなのよ!」

「あれは、ストーンスキンだ」

 元皇帝の物理防御力の秘密は土属性魔法のストーンスキンという魔法で、前衛職の物理攻撃を弾き返す強力な魔法である。当然だか、マルクにもその魔法はかかっており、高ランクの魔法使いなら必須とも言える魔法である。(当然だか土属性を持つ魔法使いの魔法)

「マルク!その魔法を何とかしてよ」

 カノン達は、元皇帝に攻撃しながら援助を求めていた。当然マルクもいつもなら即座に、ディスペルマジックを唱え、元皇帝のバフを剥がすのが役割だ。しかし、マルクがディスペルマジックを撃ち込んでも、マルクの魔法は元皇帝に吸収されてしまっていた。

「これでは勝負がつかぬな!」

 元皇帝は、新たな魔法を唱えた。

「出でよ!アークデーモン!サモンアークデーモン」

 元皇帝は、先ほどマルクが使ったサモン系の魔法を唱えた。すると、元皇帝の前に魔方陣があらわれて、アークデーモンが出現した。

「ふはははははは!このデーモンはグレーターデーモンとは比べ物にならんほど強い!主達には絶対に勝てん」

 元皇帝は、勝ち誇ったように勝利宣言をしたのだった。
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