役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第7章 覚醒

49話 今までと対局に位置する存在

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 ウロボロスは、絶叫してその巨体はダンジョンに吸収されてしまった。

「う、嘘・・・・・・あたし達がこんなあっさり邪悪竜を倒せちゃったの?」

 ウロボロスはダンジョンに吸収され、鱗や牙など数多くの素材を残した。

「シオン、ウロボロスを倒せたと気を緩めないようにね」

「わ、わかっているよ。マルクは一言多いよ」

「そんな怒る事ないだろ?確かにウロボロスを討伐したのは大したものだが、ここはまだ一階層なんだよ?」

「わかってるってば!もう、次行くよ!次!」

 シオンは、二階層に続く階段の前に立った。その様子を見ていたのは、元皇帝のダンジョンマスターだ。

「な、な、なんなんだあいつは!あの部屋にいたのはウロボロスで人類にとって厄災なんだぞ?」

「マ、マスター。落ち着いてください」

「これが落ち着いてられるか!仮にウロボロスが地上に出現したら大陸にあり国が協力して連合国で対処に当たる案件なんだぞ?」

「わかっております。しかし、討伐されたのは事実です。それに二階層を守るボスはヒューマン族にどうにか出来るとは思いません」

「それはそうだな・・・・・・・」

「はい。マスターは歴代のダンジョンマスターですら召喚できなかった者を召還できた最高のダンジョンマスターなのですよ」

「そうか!余が歴代のダンジョンマスターで最高なんだな?」

「そうです。それほどまでにダンジョンポイントを貯めたダンジョンマスターなのです。しかも二階層のボスは人間にはまず倒せないでしょう」

「た、たしかに、ウロボロスは遥か昔の文献に残っていたはずだが、二階層のボスは文献にすら残ってはなかったはずだ」

「そうです!マスターはそんなボスモンスターを召還できる程ダンジョンポイントを貯めたのです」

「そ、そうか!何も焦ることはなかったのだな?」

「その通りでございます」

「ふむ!余が悪かった・・・・・・・」

「もったいないお言葉です」

 元皇帝のダンジョンマスターはオーブの言葉に冷静になり、マルク達の様子を見て次のボスモンスターとの対面を想像して不気味な笑みを浮かべるのだった。

 マルク達はウロボロスを倒し、更に奥へと二階層も同じような感じだった。そして、ウロボロスの時と同じようにダンジョンの分かれ道はなく、ボスの部屋の扉があった。

「また、こんなにあっさり着くとは・・・・・・あたしの存在意義が」

「まあまあ、クレアはこれから役にたてるかもしれないだろ?」

「うう・・・・・・」

 二階層のボス部屋にすぐに到着して、クレアの愚痴が止まらなかった。そして、シオン達がクレアをなだめながらボス部屋に突入した。

「な、何あれ!」

 マルクは、そのボス部屋にいる魔物、いや羽のある人物に驚愕する。

「エ、エンジェルか・・・・・・」

 マルク達の前に現れたのは、羽根を持つ人間の形をした、神の使途と言われた天使だった。
 今までは、悪魔やアンデッドの邪悪な存在だったが、その対局に位置するのがエンジェルである。

「あんた!神の遣いなんでしょ!なんで、ダンジョンマスターの部下になっているのよ!」

「我が名はエンジェル。(本当の名は別にある)人間よ。何か勘違いしているみたいだな」

「勘違いって何よ!」

「神が人類の味方だと思っておると言う事だ。人間は醜い。いつまでも自分の領地だといい、戦争ばかりして命を無駄に散らす。神はお怒りである」

 エンジェルは、シオンに怒りを露にした。神が人類の味方と思っているのは人間の思い込みである。
エンジェルは神の遣いであり味方なわけではない。

「そ、そんな!人類は神にお祈りだってしているでしょ?聖女様だって神のお言葉を聞けるじゃない」

「笑止千万!我は神の嘆きを伝えにきた。人類は神の失敗作だと!このままでは地上は汚される。その前に人類は滅亡させよとな。まずはお前達から滅する」

「みんな!惑わされるな!あいつはダンジョンマスターに召還されたダンジョンモンスターだ!」

「「「「「でも!」」」」」

「カオスオーラ!ダークウェポン!」

 マルクは、シオン達に付与魔法を唱える。今までは邪悪な存在から有利にする為、セイントオーラやホーリーウェポンを唱えていた。エンジェルは光属性の敵である為、マルクは闇属性を仲間に付与したのだ?

「ライトアロー!」

 エンジェルの指から、光の矢が無数に放たれる。シオンはみんなの前に立ち、ライトアローを受けた。

「な、なに!我の光の矢を弾き返しただと!」

「今度はこっちからお返しよ!」

 システィナは、エンジェルに矢を放つ。すると、エンジェルの姿が分身する。光属性のミラーイメージを唱えたようだ。

「殺りづらいわね!」

 シオンが呟くのは無理はなかった。今までは、邪悪な存在を相手にするのが普通だったが、エンジェルはその姿が神々しくて、こちらが悪いと思ってしまうからだ。

「ふははははははは!神の遣いを殺りづらいとは、やはり人間は滅亡させねばならんようだな!」

「確かに人間は自分勝手な面がある。しかし、全員がそうじゃないだろ!」

「そうだな!だから、神は長い年月をかけて人間達を見てきた。自分達の行いが間違っていると思い直すように啓示をつたえながらな。しかし、人間達はいつまでも自分勝手な思いで戦争を繰り返し、命を無駄に散らしてきた」

「しかし、人間全員じゃない!」

「そうだな!人類は失敗作だと神は思い知らされたのだ。若い人間が間違いを正してくれると思っていたが、成長すると同じようなことを繰り返す」

「それは・・・・・・・」

「神はお怒りである。人間は滅亡させよとな。そして、新たな人類を作った方が早いと!」

「そんなことはさせない!今この瞬間にも誕生したばかりの罪のない人間もいるんだ!」

 マルクは、エンジェルに向かって怒鳴りつけた。


 

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