役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

文字の大きさ
上 下
292 / 361
第7章 覚醒

44話 ようやくの出番

しおりを挟む
 宰相達は自分の命を諦めた。その瞬間、パキーンと言う音が響いた。

「宰相様、安心して下さい。あの三下はあたし達が始末いたします」

 宰相やラサールとダーナの前に立っていたのは、タンカーのシオンだった。そして、驚いて言葉を発したのは、騎士団隊長のラサールだ。

「ば、馬鹿な!使い魔の魔法を弾き返しただと!」

 ラサールだけでなく、ダーナも目を見開いて驚いていた。シオンはマルクにリフレクトの魔法をかけてもらっていた。リフレクトは光属性魔法で敵の魔法を跳ね返す魔法である。
 跳ね返した魔法は、当然漆黒の悪魔に跳ね返る。

『ぎゃあああああああ!』
『ぐおおおおおおおおお!』

 当然だがマルクは漆黒の悪魔にディスペルマジックを放っており、レジストファイヤーは消滅していた。つまり、漆黒の悪魔のウォールオブファイヤーは5倍の威力で跳ね返った事となり、その威力は漆黒の悪魔にしたら仇となってしまう。

『よくも我にダメージを・・・・・・』
『絶対に許せぬ!』

「ふん!勝手に自滅しただけじゃない!でも、さすがは悪魔ね。あの業火でも死なないのね」

 シオンが、悪魔の気を引いている間にクレアが宰相達貴族やラサール達を後方に誘導させると、宰相達はマルクに頭をさげた。

『お前達が、マスターの生け贄にしてやろう!』
『キャハハハハハハ!それはいい。お前達6人なら2000人以上の価値がある!』

 悪魔の脅威は、この会話の間にも起こっていた。悪魔族はマジックレジストの他にもこの短い間にダメージが回復していたのだ。こういった回復能力は冒険者に取って嫌な能力の一つでリジェネレートと言い、有名なところではトロールが代表格だ。

「しかし、悪魔族の回復能力は凄いな」
「確かに感心するわね」
「ああ・・・・・・普通なら炎ダメージは回復できないのに!」

 カノンとオウカが、悪魔の回復能力を感心していると悪魔が憤慨する。

『『我をトロールのような魔物と一緒にするな』』

「何?あんたのような使い魔でもプライドが傷ついたの?」

『『うるさい!』』
『アイスジャベリン!』

 悪魔はシオンに使い魔と言われて、気にさわったのかアイスジャベリンと唱える。

「あたしに魔法は効かないわ!」

 悪魔は、マルクにレジストファイヤーを剥がされていたので、今度は水属性のアイスジャベリンを放ったのだ。

「シオン!避けるんだ!」

「えっ?」

 シオンはマルクの声に反応して、悪魔のアイスジャベリンを盾で跳ね返すのではなく、素早く回避した。

 こういった悪魔は、マルクと一緒で無詠唱で魔法を放つ。そして、この悪魔はアイスジャベリンを放つと同時にディスペルマジックを唱えていた。
 マルクが悪魔のレジストファイヤーを消滅させたように、今度はシオンに掛けられた強化魔法をランダムで消滅させたのだ。

「う、嘘でしょ!あいつはデュアルマジックじゃないの?」

 デュアルマジックは、一人の術者が倍のMPを消費して同じ魔法を二発唱えるスキルである。

「シオン!それはダーナが勝手に言っただけだ!惑わされるな」

「わ、わかった」

 シオンの付与魔法はストレングスとプロテクションとスプリントの三つが剥がれていて、リフレクトは剥がれていなかった。しかし、仮にリフレクトが剥がれていたらシオンはアイスジャベリンに当たっていて、ダメージを負っていただろう。

「悪魔は一つの肉体に二つの思考が存在しているだけだ!」

「「「「「ええ!」」」」」

 シオン達が驚くのは無理はなく、魔法使いが二人いて、同時に違う魔法が飛んでくる事になるのだ。そして、マルクはシオンに付与魔法を掛け直した。

「油断するなよ!あいつはまだ奥の手をかくしている!」

「嘘でしょ!」

「いいか?ダーナの言ったデュアルマジックは嘘ではない!」

「どういう事よ」

「あの悪魔はデュアルマジックのスキルを持っているんだよ」

『キャハハハハハハ!大した人間もいるんだね』
『我のステータスを見る事ができる人間とはおもわなかったぞ!』
『『マスターもこいつらを生け贄にしたら満足するだろうよ』』

 悪魔はマルク達を生け贄にできる事を喜んでいるようだ。

「宰相様!早くこの大広間から、いえ城から退避してください!」

 マルクは、まだ後方で立ちすくむ宰相に逃げろと怒鳴る。クレアもマルクの声に、宰相やラサール達を大広間から出そうとする。

「「待ってください!我々も援護し・・・・・」」

「あなた方は、マルクの邪魔になります」

 ラサールとダーナは、この大広間に残ると言ったがクレアに邪魔と言われておいだされた。

「「私達も!」」

「あなた方は宰相様を護衛をしてください!ここはマルクに任せて早く!」

「ラサール、ダーナ!お主達の気持ちはわかるが、我々は邪魔になるだけだ。マルク殿に任せようぞ」

 宰相が、ラサール達を抑えて大広間から退避した。

『キャハハハ!逃げろ逃げろ!』
『我々はもうあのような人間に興味はない』

「良かったよ!お前達が馬鹿な使い魔でね」

『『我々が馬鹿な使い魔だと!』』

「そうだな!本当に馬鹿で良かった。これで、あたし達も気兼ねなく暴れる事ができる!」

 オウカが拳をパンパン鳴らしそういうと、カノン達も武器を悪魔に構えた。



しおりを挟む
感想 99

あなたにおすすめの小説

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。 亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。 さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。 南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。 ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる

けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ  俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる  だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った

処理中です...