役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第7章 覚醒

37話 帝国の事は後回し

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 ガーナは、マルクの言った事を考えると王国の選択は間違いだったとしか思えなかった。

「えーと、ガーナさんでしたね。帝国からの侵略もなくなったし、アインシュタル王国に帰還していいですよ」

「えっ?」

「マルク、ガーナさんを解放していいの?」

「クレアとシスティナは、町を守ってくれてありがとね。ガーナさんは間違いなく王国の人間だし、これからはアインシュタル王国は僕には関係ないよ」

「「マルクの事だしなにかあるのね」」
「ガーナさん、どうぞ王国にお帰り下さい」

「ちょっと待って下さい!マルク殿は何をするおつもりですか?」

「そんな心配しなくてもいいですよ。王国は関係の無いですから。この町は難民の受け入れ先として発展していくだけですから」

「しかし・・・・・・」

「お引き取りを!」

 ガーナは、マルクの決断にもう何も言う事が出来なかった。そして、マルクの町を後にしたのだ。

 マルクは、ガーナが帰り直ぐに王国領地の私有地にゲートを開いた。

「な、なんだ?」

 マルクは難民の多さにびっくりした。今までなら10人か15人程だったのに50人程集まっていたのだ。

「あっ、マルク!やっと来た」

「カノン、これはいったいどういう事だよ」

「どうもこうも帝国からの難民が増えたんだ。今、オウカとピストン運送で対応しているんだけど、手が足りなくて一回の運行で馬車を三台に増やしたんだ」

 少し前は、王国の国境まで逃げてこれたのは、運が良かった者達だけだった。しかし、今は帝国兵士が足りなくなった影響で、今までいた見回りの兵士がいなくなったのだろう。
 難民達が容易に帝国を脱出できるようになったのがうががえる。

「今はまだ少ない方だと思うよ」

「はぁあ?何を言ってんだ?これ以上増えたら対応できない」

「大丈夫だよ。カノンとオウカはこのままピストン運送を頼むよ。僕は難民を探して直接ゲートを開くから」

「わかったよ」

「後、今晩話があるからよろしくな」

「わかった」

 カノンはそう言って、馬車を王国の国境まで走らせるのだった。マルクは、私有地に集まっていた難民達にこれからの事を説明して、マルクの町に移住してもらう事になった。
 ゲートを開くと、難民達は驚きながらも移動して新たな生活に希望をもったのだ。
 マルクは難民達をゲートで移住させると、すぐに世界地図を開き検索を開始した。すると、地図上に王国に向かうマークの多さにびっくりした。
 
「帝国の兵士が帝都に集まって来たから、見回りの警備兵がいなくなっているな」

 森に身を隠し夜中に移動していた難民達が、昼間に移動しはじめていた。難民達の大半は亜人と罵られていた他種族達だ。獣人族は鼻がきき、エルフ族は耳がきく。有翔族の中には遠目がきく種族もいるので、帝国兵士や冒険者の動向を掴んだのだろう。この隙に他種族達は一気に王国に向かう事にしているみたいだった。

 マルクは難民達の場所に瞬間移動を繰り返し、身分証のない難民達を自分の町にゲートを開いた。中には警戒してマルクを信じない者もいて、マルクはその者は町に誘うことはしなかった。自力で王国に向かってもらう事にした。
 無事に王国の国境に着いても、マルクの私有地に運ばれるだけだからだ。また、無事に王国にたどり着くのはその中の1%もいないと思われた。確かに帝国兵士からの脅威はなくなったが、道中で遭遇する魔物や盗賊達はいるからだ。冒険者でない者が丸腰で王国領地までたどり着くのは至難のわざと言ってもいいだろう。

「本当にいいのかい?」

「俺達は自力で王国に向かう!こんな場所に現れたヒューマン族のあんたを信じられない」

「そうか。無事にたどり着くのを祈っているよ」

 その集団は20人程で数組の家族の狼獣人族だった。マルクはその家族達を寂しそうな顔で見送り、次の場所に瞬間移動を繰り返した。マルクは、自分に見捨てた訳じゃないと言い聞かせていた。

「多分、あの人達にはもう会えないだろうな」

 この場所はユーダン湖の南側に位置する森だが、エルフの森とも言われている。この森は世界樹があると言われて、帝国の魔物部隊が避けた場所だが魔物がいないわけではない。
 ただ、世界樹は確認されている訳でもなく、魔物が少ないと言われていただけである。(世界地図でマルクは世界樹の存在は確認している)

「まあしょうがない・・・・・・無理強いしても時間がもったいないからな」

 マルクは申し訳ないと思い、20人に時間を使うよりより多くの難民を助ける事を選んでいた。そして、マルクは難民達をゲートで次々瞬間移動させてしまった。マルクの町には難民達でにぎわう事になり、他種族達は命を救ってくれたマルクに感謝して町の為に一生働く事になる。

 その夜、マルク達は王都の屋敷で集まって会議をしていた。マルクはカノン達に帝都であった事を説明した。

「帝国って今そんなにヤバい事になっていたの?」

「皇帝がダンジョンマスターで魔王って・・・・・・」

「それで、カノン達に帝国で世話になった人はいたの?」

「シオン・・・・・・・私達は全員身寄りのない者達だよ。だから、冒険者になって必死に金を貯めて帝国を出たんだ」

「じゃ、お世話になった人は?孤児院で世話になった人はいなかったのか?」

「私達は亜人と呼ばれていたからな。ヒューマンの孤児達はご飯もちゃんと出たが、私達は3日に1回出たらいい方だ。雑草や硬い木の実食べれる物は何でも食べていたよ」

「そ、そうなんだ・・・・・・」

「だから、今は帝国の事より難民の事が大事だな」

「システィナ、オウカ、クレアも同じ意見でいいかい?」

 マルクが、システィナ達にきくとみんなうなずいた。

「あの、マルク・・・・・・マルクは王都を離れるの?」

 不安そうに口を開いたのはステファニーだ。

「そうだね。だけど、ステファニーはこのまま王都のギルド受付嬢を続けてほしいんだ」

「それは!いえ、何か考えてがあるの?」

 ステファニーは一瞬焦って大きな声を出したが、直ぐに冷静になりマルクの意見を聞く。
 ステファニーは、今や冒険者ギルドでそれなりの地位を持つ職員だ。仮にマルクがいなくなったとしても、ギルドでは発言力があり推してくれる冒険者の数もとんでもないほどいるのである。
 そんな受付嬢が、マルクと一緒に王都を離れると騒動になるのだ。

「今から、あの町を発展させて行く」

「だけど、あたしは王都に残るの?あたしに何か出来ることはない?」

「いいかい?ステファニーは王都に残るのけど、僕達はここで生活するんだよ」

「えっ?」

「何もいなくなるわけじゃないよ。僕は冒険者ギルドや生産ギルドに依頼を出すし、冒険者ギルドの依頼を受ける。ステファニーは受付嬢をしてもらわないと僕が困るんだよ」

「な、なるほど!そういう事ね」

 ステファニーは、自分だけ置いてきぼりにされるかと思ったので、ホッとため息をついた。

「それで、ステファニーには僕の町が発展したら、重要な役割もお願いしたいんだ」

「重要な役割?」

 ステファニーは、マルクの説明を聞いて驚愕してしまった。
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