役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

文字の大きさ
上 下
284 / 361
第7章 覚醒

36話 王国の間違い

しおりを挟む
 マルクとシオンはお城を出ると、帝国は領地を縮小する道しかないかと思った。各地の町に派遣した兵士を集結させないと帝都を守ることができないからだ。

「ねぇ、マルク?帝国の人間は助けるつもりはないの?」

「帰ってからカノン達と相談だな。僕は、帝国の人至上主義が自業自得だと思っているからね」

「それは当然ね。カノン達も必死で帝国から逃げて来たからね」

「そういう事だね。もし仮に帝国が滅亡したとしても帝国領地は他国が占領してしまうだろうしね。そうなってから、ダンジョン攻略しても問題ないよ」

「でも、カノン達が助けると言ったら?」

「それは、すぐにでもダンジョンに向かうよ。そして、皇帝を討伐する」

「それじゃさっき、お城で貴族達に言われた時に交渉すれば良かったんじゃ?カノン達の気持ちの事を考慮したいのは分かるけど、カノン達ならマルクが決めた事なら賛同してくれるよ?」

「多分そうだと僕も思う。まぁ、自分で言うと自惚れているみたいで嫌なんだけどね」

「そんな事ないよ。カノン達は当然だし、ステファニーやセバス達もマルクに惚れ込んでいるからね!それに新しく購入した奴隷達も気持ちは一緒だよ。当然、このあたしもマルクが決めた事は何があっても着いていくよ!」

「シオンありがとね」

 マルクは、シオンの頭を優しく撫でると、シオンはニコッと笑った。

「みんなにも感謝しているよ。だから、カノン達の気持ちを聞いておきたいんだよ。確かに帝国の人間の中にも、他種族の人間に優しい人間もいるだろうからね」

「だったら、マルクの判断で動いて、元皇帝陛下を討伐したらいいのに」

「僕は正義の味方じゃないよ。依頼をうけて納得した報酬を受けとる冒険者だよ。仮にカノン達が帝国にいた時に世話になった人がいて、助けてほしいというなら話は別だけどね」

「な、なるほど・・・・・・」

「そうじゃなければ、僕にとって赤の他人だよ。帝国は僕に損害賠償を払って、なおかつ僕が納得する魔王討伐の依頼報酬額を提出すれば考える余地があるってだけだよ」

「マルクってホント、とことんドライだよね」

「当たり前だよ。タダ、僕だってドライなだけじゃないよ。日頃からの付き合いだって考えているつもりだよ?」

「確かにそうね。そう考えると今回王国の選択は馬鹿だったとしか思えないわね」

「まぁ、そう言ってやるなよ。王国にはそれなりのペナルティーを与えてやるから」

「ペナルティーって?」

「ホントの意味で大陸の中心が、アインシュタル王国じゃなくなる未来が来る」

「まさか、マルク帝国を潰して皇帝になるつもりなの?」

「まさか?そんな面倒な事したくないし前から言っているように僕は冒険者だよ」

「じゃあ、どういう事よ?」

「それは、お楽しみにしていてください」

 マルクはニコッと笑ってゲートを開き、シオンと一緒に町へと帰った。そして、町に帰るとクレアとシスティナに監視される男がいた。

「システィナ、クレア、その男性は王国偵察部隊の人みたいだけどどうかしたのか?」

「「うん。一応の為にね」」

 システィナとクレアは、ガーナをマルクが帰って来るまで監視下においていた。一応、身分をあかしてもらっていたが偽装だった場合のためだ。

「マルクが帝都に行ってから、町の外でこの町に潜伏しようとしていたから捕らえたのよ」

「ああ、なるほど!帝国兵士と間違えられたのか?」

「はい。私はアインシュタル王国偵察部隊第6番隊隊長のガーナと申します」

「そいつは災難だったね」

「まさか、マルク殿の町がこんな危険な場所にあったとは思いもしませんでした。しかし、一言申し上げたい事があります」

「まぁ、言いたい事は分かるけど聞こうか?」

「マルク殿は、アインシュタル王国を離れるおつもりですか?」

「そうだと言ったら?」

「止めて下さい!マルク殿はアインシュタル王国の英雄ではありませんか?なぜ離れる必要が!」

「あなたに言っても意味がないとは思うけど、帝国からの難民が原因だよ。ここなら、身分証のない人間を王国に利用されずに保護できるからだよ」

「王国は難民を利用など・・・・・・」

「僕はね。王国は優しい国だと思っていたんだよ。だけど、実際は身分証がないと王国には受け入れられないと、テント暮らしで食事もスープだけで何日も先伸ばしだ」

「それはですね。王国も帝国からの!」

「で、貴方はこの辺りを偵察したなら分かるんじゃないですか?その帝国軍はどうなりました?」

「マルク殿が信じられない方法で全滅させてしまいました・・・・・・」

「そうです。王国は僕のいう事を聞いて、難民達を先に受け入れる手続きをしたら良かったんだよ」

「それはいくらなんでも!」

「そうすれば、喜んで僕は帝国からの侵略を阻止したんだよ。王国は僕の扱いを間違えただけなんだ」

「それは結果論ですよね?」

「いいかい?王国が愚かな選択をしたのは、難民を受け入れなかっただけじゃないよ」

「それは分かります!王国の英雄マルク殿が王国を離れる事は、アインシュタル王国にとって!」

「僕の事は大した事じゃないよ」

「マルク殿の事が大した事じゃないですと?馬鹿な事を!」

「いいかい?難民はもう来ないと思っているだろ?そんな事はないよ」

「はっ?嘘ですよね?」

 マルクの言っていることは本当の事で、今も続々と私有地に難民が駆け込んでいた。

「つまりですね。最初に王国が難民を受け入れていれば、難民達は王国の住民になっていたという事です。それが数万人単位の住民がね」

「なっ!」

「どうです?僕なんか大したことないでしょ?」

 ガーナは、マルクの言った事に息を飲み額から冷や汗を流すのだった。
しおりを挟む
感想 99

あなたにおすすめの小説

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

成長率マシマシスキルを選んだら無職判定されて追放されました。~スキルマニアに助けられましたが染まらないようにしたいと思います~

m-kawa
ファンタジー
第5回集英社Web小説大賞、奨励賞受賞。書籍化します。 書籍化に伴い、この作品はアルファポリスから削除予定となりますので、あしからずご承知おきください。 【第七部開始】 召喚魔法陣から逃げようとした主人公は、逃げ遅れたせいで召喚に遅刻してしまう。だが他のクラスメイトと違って任意のスキルを選べるようになっていた。しかし選んだ成長率マシマシスキルは自分の得意なものが現れないスキルだったのか、召喚先の国で無職判定をされて追い出されてしまう。 一方で微妙な職業が出てしまい、肩身の狭い思いをしていたヒロインも追い出される主人公の後を追って飛び出してしまった。 だがしかし、追い出された先は平民が住まう街などではなく、危険な魔物が住まう森の中だった! 突如始まったサバイバルに、成長率マシマシスキルは果たして役に立つのか! 魔物に襲われた主人公の運命やいかに! ※小説家になろう様とカクヨム様にも投稿しています。 ※カクヨムにて先行公開中

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

処理中です...