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第7章 覚醒
36話 王国の間違い
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マルクとシオンはお城を出ると、帝国は領地を縮小する道しかないかと思った。各地の町に派遣した兵士を集結させないと帝都を守ることができないからだ。
「ねぇ、マルク?帝国の人間は助けるつもりはないの?」
「帰ってからカノン達と相談だな。僕は、帝国の人至上主義が自業自得だと思っているからね」
「それは当然ね。カノン達も必死で帝国から逃げて来たからね」
「そういう事だね。もし仮に帝国が滅亡したとしても帝国領地は他国が占領してしまうだろうしね。そうなってから、ダンジョン攻略しても問題ないよ」
「でも、カノン達が助けると言ったら?」
「それは、すぐにでもダンジョンに向かうよ。そして、皇帝を討伐する」
「それじゃさっき、お城で貴族達に言われた時に交渉すれば良かったんじゃ?カノン達の気持ちの事を考慮したいのは分かるけど、カノン達ならマルクが決めた事なら賛同してくれるよ?」
「多分そうだと僕も思う。まぁ、自分で言うと自惚れているみたいで嫌なんだけどね」
「そんな事ないよ。カノン達は当然だし、ステファニーやセバス達もマルクに惚れ込んでいるからね!それに新しく購入した奴隷達も気持ちは一緒だよ。当然、このあたしもマルクが決めた事は何があっても着いていくよ!」
「シオンありがとね」
マルクは、シオンの頭を優しく撫でると、シオンはニコッと笑った。
「みんなにも感謝しているよ。だから、カノン達の気持ちを聞いておきたいんだよ。確かに帝国の人間の中にも、他種族の人間に優しい人間もいるだろうからね」
「だったら、マルクの判断で動いて、元皇帝陛下を討伐したらいいのに」
「僕は正義の味方じゃないよ。依頼をうけて納得した報酬を受けとる冒険者だよ。仮にカノン達が帝国にいた時に世話になった人がいて、助けてほしいというなら話は別だけどね」
「な、なるほど・・・・・・」
「そうじゃなければ、僕にとって赤の他人だよ。帝国は僕に損害賠償を払って、なおかつ僕が納得する魔王討伐の依頼報酬額を提出すれば考える余地があるってだけだよ」
「マルクってホント、とことんドライだよね」
「当たり前だよ。タダ、僕だってドライなだけじゃないよ。日頃からの付き合いだって考えているつもりだよ?」
「確かにそうね。そう考えると今回王国の選択は馬鹿だったとしか思えないわね」
「まぁ、そう言ってやるなよ。王国にはそれなりのペナルティーを与えてやるから」
「ペナルティーって?」
「ホントの意味で大陸の中心が、アインシュタル王国じゃなくなる未来が来る」
「まさか、マルク帝国を潰して皇帝になるつもりなの?」
「まさか?そんな面倒な事したくないし前から言っているように僕は冒険者だよ」
「じゃあ、どういう事よ?」
「それは、お楽しみにしていてください」
マルクはニコッと笑ってゲートを開き、シオンと一緒に町へと帰った。そして、町に帰るとクレアとシスティナに監視される男がいた。
「システィナ、クレア、その男性は王国偵察部隊の人みたいだけどどうかしたのか?」
「「うん。一応の為にね」」
システィナとクレアは、ガーナをマルクが帰って来るまで監視下においていた。一応、身分をあかしてもらっていたが偽装だった場合のためだ。
「マルクが帝都に行ってから、町の外でこの町に潜伏しようとしていたから捕らえたのよ」
「ああ、なるほど!帝国兵士と間違えられたのか?」
「はい。私はアインシュタル王国偵察部隊第6番隊隊長のガーナと申します」
「そいつは災難だったね」
「まさか、マルク殿の町がこんな危険な場所にあったとは思いもしませんでした。しかし、一言申し上げたい事があります」
「まぁ、言いたい事は分かるけど聞こうか?」
「マルク殿は、アインシュタル王国を離れるおつもりですか?」
「そうだと言ったら?」
「止めて下さい!マルク殿はアインシュタル王国の英雄ではありませんか?なぜ離れる必要が!」
「あなたに言っても意味がないとは思うけど、帝国からの難民が原因だよ。ここなら、身分証のない人間を王国に利用されずに保護できるからだよ」
「王国は難民を利用など・・・・・・」
「僕はね。王国は優しい国だと思っていたんだよ。だけど、実際は身分証がないと王国には受け入れられないと、テント暮らしで食事もスープだけで何日も先伸ばしだ」
「それはですね。王国も帝国からの!」
「で、貴方はこの辺りを偵察したなら分かるんじゃないですか?その帝国軍はどうなりました?」
「マルク殿が信じられない方法で全滅させてしまいました・・・・・・」
「そうです。王国は僕のいう事を聞いて、難民達を先に受け入れる手続きをしたら良かったんだよ」
「それはいくらなんでも!」
「そうすれば、喜んで僕は帝国からの侵略を阻止したんだよ。王国は僕の扱いを間違えただけなんだ」
「それは結果論ですよね?」
「いいかい?王国が愚かな選択をしたのは、難民を受け入れなかっただけじゃないよ」
「それは分かります!王国の英雄マルク殿が王国を離れる事は、アインシュタル王国にとって!」
「僕の事は大した事じゃないよ」
「マルク殿の事が大した事じゃないですと?馬鹿な事を!」
「いいかい?難民はもう来ないと思っているだろ?そんな事はないよ」
「はっ?嘘ですよね?」
マルクの言っていることは本当の事で、今も続々と私有地に難民が駆け込んでいた。
「つまりですね。最初に王国が難民を受け入れていれば、難民達は王国の住民になっていたという事です。それが数万人単位の住民がね」
「なっ!」
「どうです?僕なんか大したことないでしょ?」
ガーナは、マルクの言った事に息を飲み額から冷や汗を流すのだった。
「ねぇ、マルク?帝国の人間は助けるつもりはないの?」
「帰ってからカノン達と相談だな。僕は、帝国の人至上主義が自業自得だと思っているからね」
「それは当然ね。カノン達も必死で帝国から逃げて来たからね」
「そういう事だね。もし仮に帝国が滅亡したとしても帝国領地は他国が占領してしまうだろうしね。そうなってから、ダンジョン攻略しても問題ないよ」
「でも、カノン達が助けると言ったら?」
「それは、すぐにでもダンジョンに向かうよ。そして、皇帝を討伐する」
「それじゃさっき、お城で貴族達に言われた時に交渉すれば良かったんじゃ?カノン達の気持ちの事を考慮したいのは分かるけど、カノン達ならマルクが決めた事なら賛同してくれるよ?」
「多分そうだと僕も思う。まぁ、自分で言うと自惚れているみたいで嫌なんだけどね」
「そんな事ないよ。カノン達は当然だし、ステファニーやセバス達もマルクに惚れ込んでいるからね!それに新しく購入した奴隷達も気持ちは一緒だよ。当然、このあたしもマルクが決めた事は何があっても着いていくよ!」
「シオンありがとね」
マルクは、シオンの頭を優しく撫でると、シオンはニコッと笑った。
「みんなにも感謝しているよ。だから、カノン達の気持ちを聞いておきたいんだよ。確かに帝国の人間の中にも、他種族の人間に優しい人間もいるだろうからね」
「だったら、マルクの判断で動いて、元皇帝陛下を討伐したらいいのに」
「僕は正義の味方じゃないよ。依頼をうけて納得した報酬を受けとる冒険者だよ。仮にカノン達が帝国にいた時に世話になった人がいて、助けてほしいというなら話は別だけどね」
「な、なるほど・・・・・・」
「そうじゃなければ、僕にとって赤の他人だよ。帝国は僕に損害賠償を払って、なおかつ僕が納得する魔王討伐の依頼報酬額を提出すれば考える余地があるってだけだよ」
「マルクってホント、とことんドライだよね」
「当たり前だよ。タダ、僕だってドライなだけじゃないよ。日頃からの付き合いだって考えているつもりだよ?」
「確かにそうね。そう考えると今回王国の選択は馬鹿だったとしか思えないわね」
「まぁ、そう言ってやるなよ。王国にはそれなりのペナルティーを与えてやるから」
「ペナルティーって?」
「ホントの意味で大陸の中心が、アインシュタル王国じゃなくなる未来が来る」
「まさか、マルク帝国を潰して皇帝になるつもりなの?」
「まさか?そんな面倒な事したくないし前から言っているように僕は冒険者だよ」
「じゃあ、どういう事よ?」
「それは、お楽しみにしていてください」
マルクはニコッと笑ってゲートを開き、シオンと一緒に町へと帰った。そして、町に帰るとクレアとシスティナに監視される男がいた。
「システィナ、クレア、その男性は王国偵察部隊の人みたいだけどどうかしたのか?」
「「うん。一応の為にね」」
システィナとクレアは、ガーナをマルクが帰って来るまで監視下においていた。一応、身分をあかしてもらっていたが偽装だった場合のためだ。
「マルクが帝都に行ってから、町の外でこの町に潜伏しようとしていたから捕らえたのよ」
「ああ、なるほど!帝国兵士と間違えられたのか?」
「はい。私はアインシュタル王国偵察部隊第6番隊隊長のガーナと申します」
「そいつは災難だったね」
「まさか、マルク殿の町がこんな危険な場所にあったとは思いもしませんでした。しかし、一言申し上げたい事があります」
「まぁ、言いたい事は分かるけど聞こうか?」
「マルク殿は、アインシュタル王国を離れるおつもりですか?」
「そうだと言ったら?」
「止めて下さい!マルク殿はアインシュタル王国の英雄ではありませんか?なぜ離れる必要が!」
「あなたに言っても意味がないとは思うけど、帝国からの難民が原因だよ。ここなら、身分証のない人間を王国に利用されずに保護できるからだよ」
「王国は難民を利用など・・・・・・」
「僕はね。王国は優しい国だと思っていたんだよ。だけど、実際は身分証がないと王国には受け入れられないと、テント暮らしで食事もスープだけで何日も先伸ばしだ」
「それはですね。王国も帝国からの!」
「で、貴方はこの辺りを偵察したなら分かるんじゃないですか?その帝国軍はどうなりました?」
「マルク殿が信じられない方法で全滅させてしまいました・・・・・・」
「そうです。王国は僕のいう事を聞いて、難民達を先に受け入れる手続きをしたら良かったんだよ」
「それはいくらなんでも!」
「そうすれば、喜んで僕は帝国からの侵略を阻止したんだよ。王国は僕の扱いを間違えただけなんだ」
「それは結果論ですよね?」
「いいかい?王国が愚かな選択をしたのは、難民を受け入れなかっただけじゃないよ」
「それは分かります!王国の英雄マルク殿が王国を離れる事は、アインシュタル王国にとって!」
「僕の事は大した事じゃないよ」
「マルク殿の事が大した事じゃないですと?馬鹿な事を!」
「いいかい?難民はもう来ないと思っているだろ?そんな事はないよ」
「はっ?嘘ですよね?」
マルクの言っていることは本当の事で、今も続々と私有地に難民が駆け込んでいた。
「つまりですね。最初に王国が難民を受け入れていれば、難民達は王国の住民になっていたという事です。それが数万人単位の住民がね」
「なっ!」
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ガーナは、マルクの言った事に息を飲み額から冷や汗を流すのだった。
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