役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第7章 覚醒

28話 帝国騎士団の猛攻!

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 王国に進行する帝国軍は、予想以上に速い速度で森の中をつきすすんでいた。

「あれはなんだ?」

「こんな場所に町が出来ている?王国の町か?」

「馬鹿な事を!この場所は中立地帯で町なんか建設できるような場所じゃないぞ?」

 魔物を指揮する帝国兵士は、町の存在に驚愕していた。

「まぁいい!王国を滅ぼす準備体操だ。町を破壊してしまえ!」

 この事は、アインシュタル王国にとって幸運の事となる。また、ユーダン湖を船で西に進行している兵士軍も、中立地帯に大きな城壁に囲まれた町を発見していた。その町の湖側には、船着き場も出来上がり防波堤もあった。

「なんだあの町は?」

「わかりません!このあたりはまだ中立地帯で、町など建設できる場所ではないはず!」

「まさか!王国の領地がここまで広がったわけではあるまいな?」

「偵察部隊の報告では、ユーダン湖の西にある国境があり、以前と変わらぬ場所です」

「では、あの町はなんだ?見る限り帝都より大きな町だぞ?」

「我々には検討もつきません。しかし、魔物部隊も町の存在に気づいたそうです」

「それでなんと?」

「魔物部隊は二万!あのような町を放って置くと万が一の場合、後ろから攻められる恐れありとの事」

「確かに!我々も陸と湖で優位に攻める計画が潰されてはかなわん!我々水上部隊も参戦する!」

「「「「「はっ!」」」」」

 帝国騎士団水上部隊は、この町がマルクの町とは知らなかった。そして、まさか湖側にあのような仕掛けがあるとは夢にも思わなかったのだ。

「魔物部隊につぐ。我々水上部隊も参戦する!」

 帝国軍は、ダンジョンマスターとなった皇帝から通信魔道具を渡されていた。ダンジョンポイントで生み出された通信魔道具は小型で耳にはめれる程小さな物だ。
 
「まあ、魔物部隊だけでなんとかできそうですが協力願います」

 帝国軍は、この町を侮っていた。まさか、魔物部隊がアーチャー一人に全滅させられるとは思いもしていなかった。

「魔物部隊、あの町を破壊せよ!」

『『『『『グオオオオオオオオオ!』』』』』

 魔の森に二万の魔物達の咆哮が響き渡り、町に向かって突撃を開始された。その光景はスタンピードと変わらぬものだった。
 しかし、魔物部隊が町の城壁にたどり着く直前、城壁の上から一人のアーチャーが、天に向かって矢を放ったのだ。すると、とんでもない広範囲に矢が魔物部隊に降り注いだのだ。

『『『『『『グオオオオオオオオオ!』』』』』』

 魔物部隊の前衛にいたゴブリンやコボルト等DEランクとされる低レベルの魔物は、アーチャーのアローシャワーによって、町に近づく事さえできず前衛部隊は全滅した。
 当然、魔物部隊の中にはアローシャワーを交い潜り生き残り城壁まで辿り着いた数少ない魔物もいたが、この町の警備をするゴーレムに瞬殺されてしまった。

「な、なんだあのアーチャーは!」

 魔物部隊は次々に町に近づくが、ゴブリンやコボルトになすすべもなく町の城壁前には魔物の遺体が山となる。

「ふっ!帝国も魔物部隊を手に入れていい気になって、この町を襲ったのは運の尽きね。アローシャワー!」

 本来ならアローシャワーでは、生き残る魔物がいてもおかしくはない。このスキルは広範囲にダメージを分散し、対象の敵の体力を削るのが目的のスキルだ。そして、止めを刺すのは直接攻撃が得意な前衛職との連携となるのが本来の形である。
 しかし、システィナにとってゴブリンやコボルトはあまりに弱すぎる魔物であり、完全なオーバーキルになっていた。低ランクの魔物が城壁にたどり着くなど夢のまた夢である。

「トルネードショット!」

 システィナの攻撃はレベルはもちろんだが、マルクからもらった世界樹の枝で制作された神聖の弓で魔物にとんでもないダメージを叩き出す。
 システィナが放つ一閃の矢が渦のように飛んでいき、周りの魔物を巻き込みながら突き刺さる。圧倒的な強さに町の中から歓声が上がり、帝国兵士は頭に血が上り激怒した。

「帝国の魔物部隊が負ける訳がない!」
「このままでは、皇帝陛下になんてもうしひらきをすれば・・・・・・」
「ゴブリンやコボルトでは駄目だ!」
「オーガやオークを前に出せ!」

 この行動が、帝国魔物部隊の最後となる事になる事になるとはまだわからなかった。そして、帝国騎士団水上部隊は、地上の異変を感じとる。

「なんだ?その音は!」

 通信魔道具から聞こえてくるのは、魔物達の叫び声だ。

「異常事態だ!あの町に高レベルのアーチャーがいる!後、ゴーレムだ。湖からの援護を頼む!こちらはオーガを送り込む!」

「あんな町にオーガだと?」

 水上部隊は驚愕した。確かに町の敷地面積は帝都より大きいが城壁を越えて見える建物が1つもないのだ。当然、こちら側には街道も通っておらず流通もないので、想像できるのは自給自足の町でしかないのである。ただ、こんな場所に町が出来ている事は王国関係の町でしかなく、伏兵が待機するというのもおかしな話だが、こんな怪しい町は潰すしかなかった。

「とにかく、水上から援護する!」

「頼む!」

 水上部隊はマルクの町に方向を向けた。すると、町から大きい声で警告があった。

「あっあー!帝国軍に告ぐ!この町に攻めいるなら覚悟をもって攻めいるように!地上の方はスタンピードとして捉えるが、水上は帝国騎士団として相手をする!」

 マルクは、帝国騎士団に風属性魔法のウィンドボイスを使って声を届けた。この警告は、何の理由もない町を帝国は侵略したと捉えるとマルクは言っているのだ。

「帝国をなめるな!」

 陣頭指揮を取る騎士団長は、町を滅ぼせば証人はいなくなると思い、町に向け船を走らせたのだった。
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