役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

文字の大きさ
上 下
271 / 361
第7章 覚醒

23話 新しい町作り

しおりを挟む
 マルクは次の日には、物資を私有地に運びいれて難民達から感謝されていた。何より土壁で作った家は家族単位で過ごしてもらう為に小さめに作っていたのだ。これによりプライベート空間が出来て、ストレスも少しは緩和されたのだ。
 独身者も比較的仲の良いなって四人一組になってもらい、一緒に入ってもらったが土壁で出来た家は中が四等分されていた。
 そして、食事は食料を配給するので各自、それぞれ自分達で作ってもらう形にした。料理の自信がない者は周りと協力してもらったのだ。

「申し訳ないが、物資はできるだけこちらで用意するが自分達の出来る事はやってほしい」

「「「「「はい!」」」」」

 マルクはそういうと、私有地から旅立ちゲートで王国と帝国の中間地点に新たな町を建設し始めた。
 この土地は、どの国の領地ではなく中立地帯で、西にアインシュタイル王国東にバッカン帝国があり、南には大きな湖ユーダン湖があった。
 また、北に位置する大陸の中心には、人類が足を踏み入れることが出来ない高い山や森が広がっている。そして、南のユーダン湖の対岸には小規模だがエルフ森があり、エルフの村が点在していた。

 つまり、人類生活区域は少なく帝国が大陸覇権を豪語したところで、大陸全体をみても魔物の生域の方が圧倒的に広いのだ。

「ここに僕の町を建設するかな」

 マルクは、アインシュタル王国の王都の二倍の大きさで、城壁で囲って町を作る。この場所に作ったのは町の背後にユーダン湖があり、近くにダンジョンの存在があるからだ。
 ダンジョンがあれば、ダンジョンから素材が取れ町は発展し、ダンジョンは負の遺産だけではないからだ。そして、マルクがこの場所に決めたのは対岸側に大陸の街道がある事だ。
 つまり、大陸を行き来する場合エルフの森を迂回する事になる。貴族達金持ちはこの湖の航路を使うのだ。いずれ、マルクは湖のこちら側に街道を通す事で旅路を短縮させるつもりだった。

 そして、マルクは1日もかからず町の城壁を作り上げ、町の外郭を完成させた。
 町は北側を正面城門とし、東西に城門を作り南にはユーダン湖が広がる船着き場を設置させる。
 マルクの町は、北に広がる山の幸と湖の魚や貝が採れる町となるはずだ。

「後は、ダンジョンオーブが3つもあるし強固な結界が張れるから問題ないし、セバスの言うとおりだな」

 マルクはオークダンジョンとディクトのダンジョンの2つと向こうの世界から持ってきた古代竜のドラゴンオーブを持ってニヤリと微笑む。
 マルクは本当の意味で自由な冒険者だから、難しく考えなくて良いとセバスチャンはマルクに言ったのだ。マルクが中立地帯に町を作った事で世界のバランスが変わる事になるのを、ほとんどの王国貴族はまだ知らない。

 そして、その事を不安に思っている一部の王国貴族達が騒然となっていた。その人物はバッハ伯爵が中心に動いていた。
 バッハ伯爵はリーランの町の領主だ。冒険者ギルドリーラン支部のマスターのブカートが、ようやくマルクの情報がリーランに届き、慌てて冒険者ギルドがバッハに報告したのだ。

 この辺りに住む人間は、震災でマルクの力をよく知っている。その為、マルクの願いは第一優先にしないと、王国が不利益になる事がよくわかっていたのだ。バッハ伯爵はギルドの通信機を使い、アーサー王に忠告をしたが、王都では帝国の事にしか頭になく、バッハの言う事はスルーされてしまった。

「ブカート!ま、まずい事になった・・・・・・」

「どうなったのですか?」

「王都では帝国の新しいスキルで任意にスタンピードが起こせる事が確実の情報が入ったらしい。その為、帝国側の国境付近をもっと固めないといけなくなったみたいだ」

「で、では、マルクの事は?」

「ああ!難民はマルクに任せたらしいが、それだけで王国は帝国の動向の方が重大みたいだ」

「マルクのような移動手段があったら・・・・・・」

 ブカートは、王都までの距離を恨めしく思い下唇を噛んだ。バッハ伯爵も歯がゆい気持ちでどうしようもなかった。
 バッハ伯爵は、マルクの要望を叶えないと国を簡単に出てしまうと思っていた。国の圧力はマルクには関係なく、マルク自身が国力であり下手をすれば、ギルド組織がマルクの為に動いてもおかしくないからだ。

 ギルド組織は国とは別の組織であり対等の立場である。今やマルクの功績は国に表彰され英雄の立場だが、それと同じいやそれ以上にギルドへの功績は上げているのだ。
 マルクがギルドにお願いすれば、ギルド組織は国よりマルク個人を取るのは目に見えていた。

 その状況が王都では起こりつつあった。次の日、マルクは生産ギルドにやって来ていた。

「マ、マルクさん?今日はどのようなご用件でしょうか?」

 生産ギルドの受付嬢が驚くのも無理はなかった。マルクの顔は知っているが、マルクが生産ギルドに顔を出す事はないからだ。

「今日は、大工の棟梁クラスの職人の派遣依頼をしに来たんだよ」

「棟梁クラスですか?普通は棟梁クラスの職人は一人で後はお弟子さんがつくのが普通ですよ?」

「棟梁クラスの職人が何人も雇いたいんだ。そのお弟子さん達もよろしく頼みたいんだ」

「何をするつもりですか?」

 マルクは、すでに中立地帯に城壁で囲って町の外郭を確保している事を説明して、難民達の家を作る依頼だと言った。
 それを聞いた受付嬢は、慌てて生産ギルドのギルドマスターを呼んだのだった。
しおりを挟む
感想 99

あなたにおすすめの小説

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。 亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。 さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。 南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。 ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる

けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ  俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる  だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った

処理中です...