役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第7章 覚醒

20話 マルクの選択

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 セバスチャンはマルクを落ち着かせた。そして、難民をどのようにするかセバスチャンの言っていた事を冷静に考えた。

「ねぇマルク。そんなに深く考えないでいいんじゃないの?」

「シオン・・・・・・深く考えるに決まっているだろ?」

「そう?マルクは今まで何でも出来たじゃない。王国に難民達は任せられないんでしょ?」

「うん・・・・・・王国もやっぱりこの程度だったとガッカリしたよ」

「だったら、答えは決まったんじゃないの?」

「いや、僕は冒険者がやりたい。間違ってもあの土地で領主がやりたいんじゃないんだよ」

「マルク。マルクは冒険者をしたらいいんじゃないの?あたしは難しい事は分からないけど、あの土地を利用して難民達を救ってあげたら良いんじゃ駄目なの?」

「そうはいかないだろ?」

「そうなの?町の経営はアルマのような特別奴隷を購入したらいいんじゃないの?わからないけど!」

「そうか!没落した貴族なら町の経営も出来るか」

「マルクはお金も使いきれない程持ってるしね。特別奴隷も放題でしょ?マルクは冒険者をやったらいいじゃない」

「だけど、そんな感じいいのかな?」

「まぁ、食料調達はあたし達に任せてゆっくり考えていたら良いんじゃない?」

 食料調達はカノン達の提案で始めたものだ。カノン達も元は帝国から亜人と呼ばれ生活が苦しくて逃げ出した者達だ。難民達の気持ちはよくわかり、食料の調達を進んでやっていた。
 カノン達は、魔物を狩り肉は難民達に素材はギルドに買い取ってもらっていた。カノン達の一番の目的は魔物の狩ってレベルアップである。ディクトのダンジョンでは結局マルクの足を引っ張る事になったのを後悔していたのだ。言い方は悪いが、難民を利用して食料調達を理由にレベルを上げていた。

「だけど、そんな時間をかけてもな?」

「マルクはいろいろ考えすぎるんだよ」

「カノン・・・・・・」

「私も難しい事はわからぬが、難民達の対処は本来一時保護をした王国の問題だ。マルクがそんなに悩む必要はないな。反対に言えば王国が簡単に結論を出せないから、マルクが時間をかけても良いって事だ」

「それは暴論だろ?」

「そう思うのなら、難民を私有地から追い出せば良いんだよ。そうすれば、王国が何とかしなければならなくなるだけたからな」

「・・・・・・」

「まぁ、私はマルクがそんなことをするとは思わないけどな」

 カノンはマルクを見てニヤッと笑った。周りを見るとシスティナ、オウカ、クレアも実に良い笑顔で頷いていたのだった。





 マルクは、一週間程悩み続けてある結論を出す事にして、難民達の前に立っていた。

「皆さんに言いたい!多分アインシュタル王国はあなた達を受け入れようとはしていない」

 マルクがそういうと難民達はざわめき出した。

「静かにして欲しい!この土地は僕がアインシュタルの国王様から褒美でもらった僕の私有地なんだ」

「まさか、マルク様は俺達にここから出ていけと言うのですか?」

「最初はあなた方難民を気の毒に思い、辺境伯様からの依頼を受け土地を貸し出した。しかし、このままだと王国は前例がないと言って無期限にこの土地を貸し出すようにと言い出しかねない」

「待ってくれ!俺達はあなたに見放されればどうなるんだ?」
「そうだ!又、駐屯地近くに戻され食料もギリギリの状態で、王国の答えを待ち続けないといけないのか?」
「ワシはどうなっても良い!だから!妻と娘だけはこのままこの土地で保護を継続してくれ!」
「「「「「俺達も!」」」」」

 難民達は、マルクの言う事を遮り男性達は自分は奴隷になるから、そのお金で妻子の安全を買おうとして騒然となった。

「黙って!」

 マルクの言葉に難民達は静かになる。

「あなた達は、帝国を逃げ出して身分証がなくて王国に受け入れられなかった。当然お金もないので身分証を買えない。だから、行き場所がないのは理解できる」

「「「「「・・・・・・」」」」」

「だから、僕は考えてこの土地を村にする事にします。当然ですが、あなた達にはこの村の住人になっていただきます」

 マルクがそういうと難民達は歓喜した。ただ、これは難民達に選択させる為だけのものだった。しかし、難民達に選択肢はなくマルクを村長として着いて行くしかなかった。

「「「「「ありがとうございます」」」」」

「まだ、安心するのは早いよ」

「どういう事ですか?」

「この土地は私有地だけど王国領だからさ。僕は王国貴族になるつもりはないからね」

「どういう・・・・・・」

「まぁ、この先は僕の仕事だよ。もし、認めてもらえればこの土地であなた達を僕が受け入れる。だけど、認めて貰えなければこの土地を離れるから覚悟はしていてくれ」

「俺達の事を親身になって考えてくれたのはマルク様だけです。俺はマルク様に着いて行く」

「「「「「俺も!」」」」」
「「「「「私も!」」」」」

 亜人と呼ばれた難民達は、マルクに着いて行くと宣言して、全員が笑顔となっていた。
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