役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第6章 異世界転移

55話 オールマイティーな才能

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 マルクの目の前にいきなり一本の枝が現れ、ブローズ達もびっくりしていた。

「マルク様、それは一体?いきなり現れたみたいですが・・・・・・」

「木の精霊がお礼をしてくれたみたいだね」

「その枝が森を復活させたお礼ですか?」

 ブローズ達には、只の枝にしか見えないようで期待はずれに思っているようだ。

「ブローズさん、これが只の枝に思っているようだが全然違うんだよ」

「確かに枝にしては太いかもしれませんね」

 ブローズの言う事が正解である。枝と言うには直径10cm長さは50cm程あるからだ。

「ブローズさん聞いて驚け。この枝は世界樹の枝なんだ」

「「「「「はぁあ!」」」」」

 ブローズ達は、マルクの言った素材の名前にひっくり返りそうになった。世界樹の枝は数百年市場に出た事のない素材だからだ。

「マ、マルク様。その素材はどうするおつもりですか?」

「そりゃ・・・・・・」

「ロスヤード王国に売りに出すのですよね?レッドカイザーフェニックスの素材も一切売らなかったんだし世界樹の枝は!」

「当然売るわけないだろ?こんな貴重な素材、自分で使うに決まっているじゃないか」

「「「「「そ、そんなぁ!」」」」」

 マルクは、この枝を使って弓矢を作るつもりで、使い手は当然システィナの装備だ。エルフ族のシスティナには絶対相性の良い武器になると、マルクは確信していた。

「まぁ、僕は森の木々を復活させて、王都オーエンの役に立つつもりだ。これなら、王都の家や施設の修理の資材に困らないだろ?」

「まさか!マルク様はオーエン周辺のこの焼け野原を復活させるつもりですか?」

「問題はないだろ?本当なら僕に与えた金で、近隣の町からの輸送費や大工職人の出張費に予算を組んでほしかったが、森が復活したらオーエンの職人達で建設できるだろ?」

「あなたと言う人は・・・・・・」

「オーエン周辺の復活させる依頼料として、この80億をもらうことにするよ」

「陛下には私から報告させていただきます」

「よろしく頼むね」

 ブローズ達は、マルクの計画を知りその日は一緒に行動をした。しかし、次の日からはマルク一人で行動したのだ。焼け野原になった土地は広いので、マルクは瞬間移動を繰り返し、森を復活させていったのだ。
 そして、一ヶ月で王都オーエンの周辺の土地はほぼ元通りに復活したのだった。焼け焦げた樹木もあるがその樹木はマルクが引き抜き、後日王都の人間が新たな苗木を植える事になっていた。
 マルクは、王都オーエンを救い一ヶ月後に久々にブリーナッシュ王国に帰ってこれたのだった。

「マルクさんお帰りなさい」

「ただいまマーブルさん、お久しぶりですね。エンリダムは何もありませんでしたか?」

「マルクさんが、冒険者ギルド本部に掛け合ってくれてノルマが楽になりましたからね。本当にありがとうございました」

「それならよかったよ」

「それでですね。マルクさんのギルドランク所属したままですよね?」

「そうだったね。まあ、別に構わないよ」

 マルクは、こちらの世界に来て基本依頼受注はEランクのものしか受けていなかった。高いランクの依頼を受注しても意味がないからだ。
 お金はうなるほど王族から貰っていたし、魔物の素材は基本売らないからだ。売るのは町の平民の為に、ボアやウルフの肉を買い取ってもらうぐらいなのだ。後、空いた時間は町からの仕事依頼だけだった。

「それでは、マルクさんの実力がもったいないんですよ。これだけギルドに貢献した冒険者を、いつまでもCランクのままだなんて!Bランクの昇格試験を受けて下さいよ」

 マルクは、ギルドランクに興味がなかった。ギルドに所属して貢献ポイントが勝手に貯まってCランクに上がっていただけだ。この貯まり方は異常であり、肉の調達や犯罪者の逮捕で貯まったものだ。
 マルクは冒険者ギルドエンリダム支部最速でCランクに昇格していた。

「でもな。ランクを上げても意味はないだろ?」

「そんなことはないです!BやAになれば依頼料は増えますよ」

「お金はもう要らないし」

「うっ!でも、高ランクの魔物の素材だって!」

「高ランクの魔物を狩っても、冒険者ギルドに卸さないよ?」

「な、何でですか?」

 ギルドの依頼は、CランクだとBランクは受ける事は可能で、Aランクは受ける事ができない。受けても討伐ができないからである。高ランクの魔物に遭遇した時は不運でしかなくその時は全滅である。
 そうならない為、ギルドは冒険者に一つ上の依頼までしか受けさせないのだ。ちなみに、マルクの元の世界では受付嬢から必死に止められるが自己責任と言う事で、高ランクの依頼も受ける事は可能だ。

「これを見てよ」

「な、何ですかこの盾は?」

ドワーフドンガスム王国で討伐したアダマンタイマイの甲羅で作った盾だよ」

「マルクさんは、防具も製作できるのですか?」

「まあね。仮に高ランクの魔物が狩ってもこうして防具にしちゃうから、ギルドにメリットはないよ」

「しかし、マルクさんがBランクになれば買い取りだって5%は多く買い取ってもらえますよ」

「だから、お金は要らないんだって」

「でも、マルクさんは魔法使いなんでしょ?盾は必要ないではありませんか?」

「今はね・・・・・・」

 マルクは言葉を濁した・・・・・・本当はマルクは鍛冶(S)スキルを作るつもりはなかった。いずれ元の世界に戻れた時、この盾だけでなく強力な装備品はシオン達の役に立つので準備をしたまでだ。

「今はってどういう事ですか?パーティーを組むのですか?」

 マーブルは、マルクがパーティーを組むつもりなら是非にでも高ランクに昇格する事を薦めたが、マルクは頑なに拒んだのだ。
 マルクは高ランクになれば、貴族達からの指名依頼が厄介だと思っていた。マルクはすでに貴族からの信頼もあったので、自分に指名依頼が殺到するのが分かっていた。そうなった時、自由に行動出来なくなると非常に困るのだ。

「まあ、その辺は想像に任せるよ。とにかく僕はBランクになったとしても、肉の調達ぐらいか町の雑用しか受けないから昇格しても意味がないよ」

「そんなぁ!」

「それに、もうすぐ獣人国から呼び出しがあるかも知れないからね」

 マルクの魔法(EX)は火属性の魔力も跳ね上がり、マルク自身とんでもないことが起こりそうな予感がしていた。その為、マーブルには申し訳ないが仲間の為の装備を製作するのに忙しく、昇格試験等どうでもよかったのだ。
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