役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第6章 異世界転移

53話 フェニックスの永遠の命

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 レッドカイザーフェニックスは、地上に墜落して地面に激突した。すると、灼熱地獄だった城壁の外は一気に気温が下がりだした。この辺り周辺はもう燃えるものが一つも残っていないのだ。
 マルクは、地上に墜落したレッドカイザーフェニックスの遺体に飛んでいき近づくと、動かない死体から光の玉が出てきたのだ。そして、そのまま天高く上昇し光の玉は消えてしまった。

「あれが、フェニックスの秘密か」

 マルクは光の玉を見つめて呟いた。フェニックスは不死身であり、先程の光の玉がその理由だった。
 あの光の玉は、フェニックスの魂で数百年先に前世の記憶を持って復活を遂げるリーンカネーション(転生)であった。
 リーンカネーションは、高ランクの蘇生術でマルクのフェニックスヒールのように失敗する事は絶対にない。
 しかし、リーンカネーションのデメリットはレベルが1に戻り弱体化する事だ。当然だが、レッドカイザーフェニックスは復活を遂げるとフェニックスとして復活し、長い時間をかけてカイザーフェニックスに進化していく事になる。

「長い時間をかけて進化したのに、この時代に僕がいたのは想定外だったな」

 マルクはそう言って、レッドカイザーフェニックスの遺体をインベントリに収納してしまった。
 マルクは、レッドカイザーフェニックスの羽根を持ち、この羽根を使って魔族であるクレアに炎属性の装備を製作しようと思った。

「マルク様ぁ~~~~~!」

 マルクが、レッドカイザーフェニックスの素材でいろいろ考えていると、王都オーエンからブローズ達が駆けつけてきた。

「ブローズさん、もう大丈夫だよ」

「レッドカイザーフェニックスは?」

「ああ。収納スキルにしまったよ」

「はっ?あんな巨体は物を収納してしまったのですか?嘘でしょ」

 マルクはインベントリから出して、しまっていたことを見せるとブローズや一緒に駆けつけたレイマーズ達騎士団も目を丸くして驚いていた。

「それより、そちらは?」

「挨拶が遅くなって申し訳ない。私は魔道師団団長レイマーズだ。この度は本当にありがとう」

「僕は冒険者のマルクです」

 紹介が遅くなっていたが、レイマーズは握手してマルクに何回も頭を下げていた。
 そして、マルクは国王サイフォンにもたくさん礼を言われ、マルクは恐縮していた。

「そんなにお礼はいいですよ」

「そうはいかん!これは是非にでも受け取ってもらわんと困る」

「そうは言っても、僕はブリーナッシュ王国と和平条約を結び、過去のヒューマン族の事を水に流してくれた上に非合法のヒューマン奴隷の解放を望んだのです。これ以上は貰いすぎですよ」

「当然、その条件も飲もう。マルク、貴方がいなければロスヤード王国は、レッドカイザーフェニックスに滅亡されていたのだ。それを思えばこのくらい当たり前なのだよ」

「しかし、町のダメージを見てください。これから王都オーエンの復興が始まるんですよ?王都周辺は焼け野原です。家の材木の運搬だけでも金がかかります。僕に渡す金があれば、そっちに予算を回すべきですよ!」

「そうはいかん!マルク、貴方に謝礼を渡さなければ余が、いや・・・・・・ロスヤード王国が笑われる事になろう!」

「・・・・・・・」

 ったく・・・・・・王族や貴族という奴等は本当に面倒臭いなぁ

 マルクは声には出さず心の中で思いため息をついた。

「どうしても受け取ってもらわんと、余の気がすまんから是非にでも納めていただくぞ!」

「わかりました。では、このお金はありがたくいただきます」

「おおお!わかってくれて余は満足だ!」

「しかし、王都オーエンの復興を少し手伝わせていただきます」

「それは、ロスヤード王国の仕事である。これ以上マルク、あなたに迷惑をかけるわけには!」

「だったら、このお金はお断りします」

 マルクが、サイフォンから受け取った金額があまりに巨額だったからだ。王都オーエンの周辺は材木一本採れない焼け野原で、近隣の町から輸送して王都の復興にあてなければならないのだ。
 その為、マルクの受け取る謝礼を予算に回せば復興は早まるはずなのだ。

「それは認めん!」

「だったら復興の手伝いをさせていただきます」

「ぐっ!」

「国王様。確かにプライドは大事です。しかし、よく考えて下さい」

「余はちゃんと考えておる」

「今、王都オーエンはどういう状況ですか?結界装置のおかげで確かに公共施設は無事でしたが、普通の店や宿屋は壊滅、孤児院の子供達は寝る場所もない状況なんですよ?一刻も早く建設を行わないといけないんです」

「それはわかっておる・・・・・・だったらお主が他の町から資材を運搬してくれるというのか?」

 サイフォンは、魔道師団団長レイマーズやブローズからマルクの収納スキルや転移魔法の事を聞いていた。マルクが収納スキルを使い瞬間移動で大量輸送を受けてくれるのかと聞いてきたのだ。

「違いますよ。そんな事をしたら行商人や生産者の仕事がなくなってしまいますからね。もっと違う形で協力させていただきますよ」

 マルクは、そう言って謁見の間をでるのだった。
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