役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

文字の大きさ
上 下
237 / 361
第6章 異世界転移

50話 国王目覚める

しおりを挟む
 城の警備兵に国王の寝所に案内してもらったマルクはブローズに確認を取ると言われて、寝所の外で待機していた。

「マルク様はこちらで待っていて下さい。王妃様に部屋の中に入れていただく許可をいただいてきます」

「うん」

 ブローズは、部屋の扉をノックした。

「失礼します。魔道師団第12番隊長ブローズただいま帰還いたしました」

「ブローズですか!」

 いきなり扉を開けたのは王妃のレイアだ。

「ただいま、ブリーナッシュ王国王都エンリダムから帰還しました」

「よくぞ、無事帰還してくれました。私は貴女の事を誇りに思う」

「勿体ない御言葉、身に染みる思いにございます」

「それで目的のマルクという冒険者は連れてこれたのですか?」

「はい!」

「よくやってくれました。さぁ!ここは私に任せて、あなた達は騎士団長と魔道師団長と共にレッドカイザーフェニックスの討伐の準備をお願いします」

「王妃様に報告があります。そのマルク様が陛下の治療を申し出てくれています。どうか陛下の治療のお許しをお願いします」

「マルクという冒険者は回復も得意というのですか?」

「はい。本人が申しております」

「頼みます!陛下の治療が上手くいけば、褒美は望みのままに!」

 レイア王妃は、マルクがヒーラーも得意とは思っていなかった。国王の治療ができるならすぐにでも治療をしてほしくて、ブローズの肩を揺さぶったのだった

「では、マルク様部屋の中で治療をお願い致します」

「分かりました」

「お主がマルクなのか?」

 レイア王妃は、マルクの姿を見てびっくりしているようだ。他国の災害を解決した人物があまりに若かったからだ。成人はしているようだが20歳にもなっていないヒューマン族が、噂に聞く大魔法使いに見えないのだ。

「はじめまして、僕がエンリダムを拠点に活動している冒険者のマルクです」

「こう言っては失礼ですが、まだ若そうに見えますが大丈夫なのですか?」

「はい!魔法は得意なのでおまかせ下さい。部屋に失礼させていただきます」

「マルク様、陛下をよろしくお願いします」
「私からもよろしく頼みます」

 ここは、大陸の中でも魔道王国と呼ばれる国である。そのような国なのにヒーラーがいるじゃないかと思うかもしれないが、ヒーラーはどちらかと言えば聖職者がヒーラーであり、エルフの分野となる。
 ロスヤード王国は、攻撃魔法に特化した王国である。ヒーラーはいるにはいるが全体の0.1%にも満たないのだ。
 そして、ロスヤードの回復手段のメインはポーションとなる。しかし、ロスヤードの今の状況では、レッドカイザーフェニックスのせいで薬草は燃え尽き手に入らないのだ。

 マルクは国王の寝ている横に立ち魔法を唱えた。

「リムーブヒート」

 リムーブヒートは解熱剤とおなじ効果を発揮する魔法だ。マルクが魔法を唱えると、真っ赤に火照った国王の顔が普通の血色に変わると、国王の息づかいが整いゆっくり目を覚ました。

「こ、ここは・・・・・・」
「あなた!」
「父上!」
「お父様!」
「「「旦那様!」」」

 国王が目を覚ますと、第1王妃のレイアと王子王女、第2、3、4王妃が声をかけた。マルクは一歩引き膝をつき頭をさげた。

「余は倒れてしまったのか?」

「だから、水の魔石を使用しなさいと言ったではありませんか!みんな心配したのですよ」

「面目ない・・・・・・余は、レッドカイザーフェニックスの弱点を調べるつもりで、文献があるかどうか書庫に入ったのだ」

「ええ!聞いております。なかなか出て来ないから兵士が不審に思い、書庫に確認に入ったら倒れていたと聞いております。何で水の魔石を使わなかったのですか?」

「すぐにレッドカイザーフェニックスの文献が見つかると思ったのだ・・・・・・ちょっとの間だけで貴重な水の魔石をつかうのならその分を民衆にと思ってしまったのだ」

「本当にあなたはお優しいと言うかお人好しと言うか馬鹿なんだから!」

「何を言うか!こうしている間にも、ロスヤードの民は!」

「あなたの気持ちは痛いほどわかります。しかし、あなたが死んだらロスヤードの民はどうなるというのですか?」

「うっ!」

「あなたの命はあなただけのものじゃないんですよ!マルクが治療してくれたから良かったものの、これからはもっと気をつけてください」

「すまなかった・・・・・・」

 第1王妃のレイアは、国王が治り安心したのかいつも通りなのか、国王を頭ごなしに叱っていた。国王もそれが当たり前のように受け入れていたのだった。

「その方がマルクか?余がロスヤード王国国王のサイフォン=ラダン=ロスヤードだ。よくロスヤードの為に来てくださった。礼を申す!」

「治って良かったです。僕はエンリダムを拠点に活動しているマルクと言います」

「それでマルクは、レッドカイザーフェニックスを討伐できるか?」

「まずは、オーエンの状況を普通に戻しましょうか?国の結界を張っている場所に案内していただいてもよろしいでしょうか?」

「この状況がなんとかできるのか?」

「多分ですが、水の魔石は使わなくても通常の生活はできるかと思います」

 国王は、部屋の扉にいた兵士に指示を出してマルクを城の地下にある結界魔方陣に案内するように言った。
しおりを挟む
感想 99

あなたにおすすめの小説

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。 亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。 さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。 南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。 ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる

けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ  俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる  だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った

処理中です...