役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第6章 異世界転移

46話 マルクの名を使った犯罪

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 ブリーナッシュ王国に戻ったマルクは、ブレスに言い寄られていた。
 
「マルクの兄貴!本当に申し訳なかった。あの時は、まさかドラコニア族を救ってくれるとは思いもしなかったんだ!」

 ブレスは、王都エンリダムを拠点に活躍する冒険者で、マルクが王都に到着した時バナーとの決闘で暴走したドラコニア族だ。
 しかし、今回マルクの活躍でドラグーン王国が救われ、ドラゴンスレイヤーの称号を授与されたと聞いて、こうして謝罪していたのだ。

「やめてくれよ!気持ち悪い」

「き、気持ち悪い・・・・・・」

「今までと同じで呼び捨てでいいよ。背中がむず痒くなるだろ?」

「だ、だか、兄貴はドラゴンスレイヤーの称号を授与されたんだ。呼び捨てになんか出来るわけが・・・・・・」

「もう、ブレスは僕との約束で他種族の冒険者をまとめてくれてきたんだ。エンリダムの町の人達も、雑用依頼を受けてくれたって感謝しているんだ。僕だって感謝しているよ」

「そ、そうか?なら良かったよ。まぁ、これからはドラコニア族の冒険者は、ヒューマン族に対して前のような事は絶対ないよ」

「そうか。なら良かったよ。だけど、注意はしておいてくれよ」

「大丈夫だって!兄貴がドラゴンスレイヤーの称号を・・・・・・」

「いや、そうじゃないよ」

 マルクはブレスに真剣な目をして耳打ちをした。

「人間ってのは、調子に乗るものだからな。今度はヒューマン族の中に悪い奴が出てくるって事だよ」

 ブレスは、マルクの言う意味がわからなかった。ヒューマン族が調子に乗る?と言われて首を捻る。

「ブレス達は、ヒューマン族より強いから心配はないが、それでもヒューマン族はずる賢いからな」

「どういう事だよ?」

「今のドラコニア族は僕を崇拝に近い状態だって事だ」

「当たり前だろ?兄貴はドラゴンスレイヤーとなったんだ。ドラコニア族に取ってあこがれの存在だ」

「いいかい?そういう風に思うのは構わないんだ。しかし、ヒューマン族はその気持ちにつけこんでくるぞ?」

「はっ?」

「例えば、自分達の言う事を聞かないと、僕に言いつけると言えばどうなる?ブレスのように僕と交流のないドラコニア族を心配しているんだよ」

「あ・・・・・・」

「いいかい?ブレス達は、僕に言い寄るんじゃなく、仲間との交流をしっかりするんだ」

「わ、わかった・・・・・・」

 マルクに忠告された、ブレスはドラコニア族の冒険者や商人、生産者達と連絡を取り合った。そのおかげで、ヒューマン族から絡まれる事はなかった。

「なぁ、この商品半額にしてくれよ」

「何でいきなり半額にしなくちゃならねぇ!」

「いいのか?俺達に逆らったら、ドラゴンスレイヤーのマルクにある事ない事言うぜ」

「俺達が、そんなことで言いなりになると思うなよ!」

「そっかそっか!本当に言っちまうぞ?」

「ああ!好きにすればいいさ。お前達のように虎の威を借る狐が出るかもしれないと、マルクさんがブレスを通して注意勧告されているんだよ」

「「「「「な、なんだと!」」」」」
「お、おい!不味いんじゃないのか?」
「お前が上手くいくって言ったから」

「お前達はもう終わりだよ。これは立派なゆすりだからな!」

「貴様ぁ!商人が生言ってんじゃねぇ!」

「確かに俺は商人で、ヒューマン族のお前達より弱いよ」

「わかってんじゃねぇか!だったら!」

 チンピラ風の男達がそういったところで、チンピラ風の男の肩を掴む第三者が現れた。

「なんだよ!離せよ」

「そこまでだ!」

「なっ!」

「ゆすりの現行犯だ。おとなしく縄につけ!」

「「「「「なんで!」」」」」

「マルク殿が兵士達にも連絡を入れてくれている!ドラコニア族との和平を乱す人間が出るかもしれないとな!」

「マルクさんは、俺達をちゃんと見てくれていると知らせてくれているんだ。お前達のようなヒューマンには騙されねぇ!」

 ブレスが仲間との連絡を密にしたおかげで、ゆすりを見た瞬間誰かが衛兵に通報する。絡まれたドラコニア族は、衛兵がくるまで時間を稼げばいいだけである。

「お前達はとんでもないことをしたな」

「とんでもないってなんだよ!たかが、商品を安くしてもらおうとしただけだろ?」

 チンピラ風の男達は、衛兵に縛られ口答えしていた。

「せっかくマルク殿が苦労して、ドラグーン王国との和平を結んでくれたんだぞ?それを、マルク殿の称号を使って犯罪を犯すとは馬鹿なのか?」

「「「「「えっ?」」」」」

「この犯罪は、只のゆすりではないという事だよ。ブリーナッシュ王国とドラグーン王国と信頼関係がなくなるかもしれない重罪って事だ」

「「「「「嘘だろ?」」」」」
「俺達はただ・・・・・・」

「この馬鹿者共が!鉱山で後悔しながら、死んでいくんだな」

「「「「「待ってくれぇ!」」」」」
「たかが、ゆすりで鉱山送りはないだろ!」

 チンピラ風の男達は、衛兵に縛られ連れていかれた。ブリーナッシュ王国ではこういったマルクの名前を使ったゆすりが多発したが、衛兵によってすぐに解決したのだった。
 また、ドラコニア族の女性達にマルクに会わせあげるというような詐欺行為もあった。
 自分達はマルクの友人で、お金を払ってくれたら、食事のセッティングをすると言ってくるヒューマン族いたそうだ。
 しかし、ドラコニア族は情報を共有することで未然に防ぐことができたのだった。
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