役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第6章 異世界転移

45話 ギルドの改善

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 古代竜となったブルードラゴンを討伐したマルクは、ステータスを確認すると水属性の魔力がやはり跳ね上がっていることを確認した。

「やはり僕の予想は間違いないな。それにしても凄いお宝だな」

 ここは、古代竜と進化したブルードラゴンの寝床だ。ドラゴンは太古の時代からお宝を収集するのがお約束で、寝床には金銀財宝は当たり前であり、マジックアイテムや竜玉まであったのだった。

「また、貯め込んでいたな。もう使いきれないほどの資産だ」

 マルクは、古代竜の宝を全てインベントリに収納してしまった。古代竜の素材も手に入れる事が出来て、マルクは古代竜の素材でオウカに装備を作ろうと思った。
 オウカは、水属性を持つ武道家だ。古代竜の牙や爪を使えば、さらにパワーアップできるはずだとマルクは確信していた。

 その頃、ドラグーン王国ではカイザーが陣頭指揮を取り、王都ブリガンダインは戦闘配置で騒然となっていた。

「バトロスの呪いが解けてもう心配はないが、古代竜が攻めてくる!お前達よろしく頼む!今一度、ドラグーン騎士団の底力をみせてくれ」

「「「「「「おう!」」」」」」

 カイザーは、ドラグーン王国騎士団を鼓舞して士気をあげていた。
 町の平民達は、すでに町の教会やギルドや公共施設に避難させており、町の中は兵士が警備していた。城壁の上には弓矢部隊や数少ない魔法師団が配置され、城壁の外には騎士団の歩兵や騎馬部隊が配置されていた。
 そして、忘れてはいけない空中にはワイバーンに乗ったドラゴンライダーが旋回して、遠くまで見張りをしているのである。
 このドラゴンライダーは、ドラグーン王国の強みでありなにか異常があれば直ぐに確認ができるのである。
 当然であるが、この中にはマークもいて王都ブリガンダインの上空を旋回していた。

「なにか王都に近づいて来ます!」

 今、王都ブリガンダインは古代竜が攻めて来ると周辺の町には連絡済みで、王都に近づく人間は絶対にいないはずなのだ。
 ギルドの通信魔道具を使って連絡を入れたのと、ドラゴンライダーの騎士が、街道を走り王都に近づく馬車を見つけて注意して引き返していたからだ。

「何が近づいている?」

「人です!人が一人で歩いて近づいて来ます」

「馬鹿な!街道沿いでブリガンダイン向かう馬車に注意勧告したはずだろ?」

「はい!我々ドラゴンライダーが見落とすはずかありません!」

「しょうがない・・・・・・王都で保護するんだ!マーク、ワイバーンで迎えに行ってくれ」

「はっ!」

 マークは遠くに見える人影に向かうと、それはマルクであった。

「あ、あれはマルク殿か?なぜこんな所に?」

 マークがマルクの姿を確認して近づくと、マルクが手を振っていた。そして、マークはマルクの前に着陸したのだった。

「マークさん!」

「マルク殿、こんなところで何を?古代竜をここで迎え撃つおつもりですか?」

「あー、なんて言ったらいいかな?もう討伐して、今帰ってきたんだよ」

「はっ?」
『ギャオ?』

 ワイバーンのドンも、マルクの言った意味が分からず首をひねっていた。

「マ、マルク殿それは本当ですか?」

「あ、ああ。嘘は言ってないよ。何かあったかな?これなら信じられるな」

 マルクはマークに討伐した証である竜玉をインベントリから出して見せた。

「こ、これは!」

「古代竜の竜玉だよ。ブルーに輝いて綺麗だろう?」

「マ、マ、マ、マーク殿!ドンの後ろにお乗りください!」

「あはは!マークはお前だろ?」

『ギャオギャオ!』

「あっ・・・・・・」

 マークは、あまりにあわてて言い間違え、それにドンも笑っているようだ。ドンはマークと仲がよくて賢いなぁとマルクは微笑ましく思った。

「と、とにかく、ドンの後ろに!」

 マークは、マルクをドンに乗せて城門前に運んだ。

「マーク!避難民は一人だった・・・・・・これはマルク殿!」

 マークが降りたのは、城門前に陣取っていた騎士団長のクバートだ。

「クバートさん。もう動いて大丈夫なんですか?」

「あ、ああ。この通りもう大丈夫だ!それより何であんなところに?」

「ええ。古代竜を討伐してきた帰りですよ」

「「「「「「はぁあ?」」」」」」
「マ、マルク殿それは本当ですか?」

「うん!」

「団長!これを見てください。マルク殿が古代竜の竜玉を持ち帰って来ました」

 マークがクバートに、先ほどの竜玉を見せたのだった。

「「「「「こ、これは!」」」」」
「た、確かにこの宝玉からは尋常じゃない魔力を感じる。マルク殿、少しこの宝玉をお借りしてもよろしいですか?」

「構いませんよ」

「マーク、これを持って陛下に報告だ」

「はっ!」

 マークは、竜玉を持ってカイザーの元に急いだ。

「マルク殿?古代竜は噴火口の中に放ってあるのか?」

「いえ、持ち帰っていますよ?それがどうかしたのですか?」

「古代竜の遺体を持ち帰った?冗談でしょ?」

「僕の収納は特別ですからね。訳ないですよ」

 クバートが、マルクに遺体を聞いたのには理由があった。ドラグーン王国では、ドラゴンを討伐した場合はドラゴンの首を持ち帰り、討伐した証を示し凱旋パレードをする風習があるのだ。
 その為、ドラゴンの首を持ち帰り大八車に乗せて、ドラゴンの討伐を平民達に見せて安心させないといけなかったのだ。

「あ、あの・・・・・・ドラゴンをお借りしてもよろしいですか?」

 クバートは、マルクにドラグーン王国の風習を説明した。マルクも、平民達が安心するというのなら快く承諾した。
 そんな会話をしていると、カイザーが慌てた様子で城門の外にまでやってきた。後には、宰相達貴族達もついて来ていた。
 カイザーが、この場所に来るとは思っていなかったクバート達騎士団は慌てて直立不動で敬礼をしていた。

「マ、マルク!古代竜を討伐したというのは本当なのか?」

「本当ですよ」

「「「「「なっ!」」」」」

 マルクは笑顔でこたえて、古代竜の遺体を城門前に出した。カイザー達はドラゴンの遺体を見て呆然となった。

 そして、ドラグーン王国では古代竜が討伐されたとカイザーからおふれが出されて、平民達は歓喜した。
 凱旋パレードはドラゴンを乗せる大八車が作られた後する事が決まった。いつもなら、騎士団がドラゴンの首を持ち帰り現場で使えそうな素材だけ解体するので大八車も首が乗せれる物だが、今回はドラゴンの遺体全部を乗せる大八車の製作され、凱旋パレードも正面玄関城門口から続く大通りだけとなった。それほど古代竜の遺体の大きさは巨体であった。

 そして、マルクはカイザーから公式に発表され、ドラゴンスレイヤーの称号を授与された。
 ドラゴンスレイヤーの称号は、ドラグーン王国では憧れの称号である。この500年ではこの称号が授与されたのはマルクだけだ。マルクの胸には、カイザーから授与されたバッチが輝いていた。

 ちなみに言っておくが、過去500年の間にもドラゴンの討伐はされて凱旋パレードはされている。その者達にドラゴンスレイヤーの称号は与えられてはいなかった。理由は簡単であり、ドラゴンスレイヤーの称号は単独でのドラゴン討伐に与えられる称号だからである。
 500年以前に、マルクと同様にドラゴンを討伐したドラコニア族がいたが、その時は普通のドラゴンだった。
 今回、マルクが授与された理由は、ドラゴンではなく、古代竜であった為ヒューマン族のマルクが授与される事は、満場一致でドラコニア族の貴族達から不平不満が出ることはなかったという。

 そして、マルクは冒険者ギルド本部に来ていた。本来、王家からギルド本部に交渉してもらう事になっていたブリーナッシュ支店の事だ。

「ギルドマスター。ブリーナッシュ支店の改善をお願いします。ヒューマン族の過去は酷い物でしたがこの通りです」

 マルクは、ギルドマスターや本部の役員達に頭を下げた。

「マルクさん頭を上げてくれ。ドラゴンスレイヤーの称号を持つあなたが頭を下げる必要はない」

「それじゃあ!」

「ああ!まだ、冒険者ギルドの中には不満を持つ者はたくさんいよう。しかし、ドラグーン王国ではあなたは英雄だ。ドラコニア族は貴方を支持するだろう」

「という事は・・・・・・」

「ああ。貴方の噂はここ本部に届いている。ドワーフ族とエルフ族は大丈夫だろう。しかし、時間はかかるだろうが、魔族と獣人族はギルド本部が説得すると約束しよう」

「ありがとうございます」

 冒険者ギルド本部のギルドマスターとマルクは堅く握手した。これにより、ブリーナッシュ王国領の冒険者ギルドには、過剰な売り上げノルマは撤廃され、左遷先とされることはなくなり、ブリーナッシュ王国のギルド職員達は歓喜してマルクに感謝した。

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