役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第6章 異世界転移

33話 エルフの国ハイネス

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 キャロル達は、目の前で起こった事に目を白黒させて馬車に乗り込んだ。そして、馭者は馬車を走らせたが、ここは本当に王都ハイネスの南の森か?と、疑いながら馬車を操縦した。

「ほ、本当に王都ハイネスが見えてきた」

 馭者の二人は、目の前に現れた王都ハイネスの姿に言葉を失った。
 
 王都ハイネスは綺麗な湖の中心にある島のようにある。ハイネスには橋が掛かりその橋を渡らないとハイネスには入れないのだ。
 湖は王都ハイネスを守る堀の役目もしており、橋をあげられたら進入は困難となるのがわかる。そして、その大きな町の中心には天空に届くんじゃないかというほど、大きな世界樹があった。

「凄いなぁ!あれが世界樹か?町の中心にあるなんて幻想的な風景だ」

「ふふっ。世界樹は王都ハイネスの更に後方にあるのですよ。町の中にはありません」

 世界樹があまりにも大きく距離感がおかしく見えるのだ。

「そうなの?」

 マルクは、世界地図をあわてて確認すると確かに、湖に囲まれたハイネスの更に後方にあった。

「もし、世界樹が町の中心あれば、エルフ族はヒュージクローラーに全滅されているでしょうね」

「た、確かに・・・・・・」

 マルク達は馬車で長い橋を渡り、王都ハイネスの城門の前にやってきた。

「司祭キャロル様、長旅お疲れ様でした」

 城門警備の兵士もエルフで、キャロルの事を司祭と呼び長旅を労い言葉をかけた。その言葉を聞いてキャロルは驚いていた。

「貴方達どうしたのですか?」

「そ、それは・・・・・・」

「だから、もう大丈夫だって言ったでしょ?」

 マルクの言葉に、城門警備の兵士はキッとマルクの方を睨んだ。

「う、うるさい!精霊様の声がなければ!」

「世界樹の精霊だろ?」

「何でそれを!どこで聞いたんだ!」

「そんなの世界樹の精霊が僕を頼りにしたからに決まっているじゃないか」

「精霊様がヒューマン族にだと?そんな訳があるわけ!」

「そうかな?世界樹に居座っている化け物は、エルフに耐性を持つヒュージクローラーなんだろ?」

「ぐっ・・・・・・」

「世界樹がエルフ以外の種族を頼るのは当然だと思うよ」

「化け物が、ヒュージクローラーじゃなければお前達なんかに!」

「黙りなさい!マルクさんが誰の為にここまで足を運んだと思っているのです。それ以上の無礼は許しませんよ」

「し、失礼しました・・・・・・」

 城門警備の兵士は、キャロルの言葉に一歩下がり謝罪した。

「まずは教会本部へ向かって下さい」

 キャロルは馭者に教会本部へ向かうように指示をだし、馭者はキャロルの言う通りに教会本部へ向かうが、その様子を兵士達は凄い目で睨んでいた。

「精霊様は一体何を言ったのかしら?」

「まあ、エルフ王国のバランスが崩れる事だろうね」

「バランスが崩れる?」

「わからない?」

「あたしにはちょっと・・・・・・・」

「エルフ王国も王権制度だろ?」

「それはヒューマン王国もそうじゃないですか?」

「だが、エルフ王国はヒューマン王国と違う所があるだろ?」

「教会ですか?」

「ああ!ギルドとは違う民衆からのカリスマがある王家と二分する組織だ」

「それが一体何の関係が?」

「仮に今回の事で世界樹の精霊が、王家を見放すと言ったら教会本部はどうなる?」

「あっ・・・・・・」

「その方法は僕にはわからないけどね。王家は保守的すぎて自分達で何とかしようとしているんだろ?」

「はい・・・・・・しかし、あたし達教会のエルフはまずはドラコニア族に協力を求めたのです。これは王家と意見が一致したのですが・・・・・・」

「ドラコニア族に断られたと?」

「そうです。しかし、エルフ王国にヒューマン王国とドワーフ王国との情報が舞い込んできて、聖女様はマルクさんに協力してもらうと提案したのです」

「エルフ族はもともと閉鎖的な種族だし、数百年前のヒューマン族の事もあって反対したと?」

「その通りです」

「だけど、よく聖女はヒューマンの僕に協力を求めようと思ったよね?」

「聖女様は神様の言葉を聞くことができます。神の言葉を信じていますからね」

「なるほどね。それで神は僕の名前を出した訳か?」

「はい・・・・・・」

 マルクは、馬車の中でキャロルに反対派のエルフがおとなしくなった理由を語った。
 そして、馬車は教会本部へ到着してキャロルに聖女の元に案内された。
 マルクは、聖域の間と言われる教会の関係者でもなかなかはいれない部屋に案内された。
 そこには、聖女がいたがカーテンで姿が見えなかった。

「よく、エルフの国に来てくださいました。本当にありがとうございます」

「それはいいが、何で姿をみせないんだ?」

 マルクがそう言うと、聖女の周りにいたエルフの上位神官が口を開いた。

「聖女様は俗世間とはなるべく関わらないようにしています」

「だが、僕に協力してほしいならこの態度はちょっと失礼じゃないか?」

「聖女様は神様と交信する為、なるべく人とは関わらない決まりとしています。どうかご理解のほどを・・・・・・」

「なんか、納得出来ないけど・・・・・・貴方達の神様が僕に協力を頼めと言ったんじゃないのか?」

「その通りです」

「だったら、聖女がちゃんと僕の目を見て助けてほしいと言うのが筋と言うものだろ?」

「エルフにはエルフルールがあるのです」

「そうかい?じゃあ、そんなコミュニケーションしかとれないエルフ人間の依頼は受けれないな。ヒュージクローラーは貴方達が討伐したらいいんじゃないかな」

「「「「なっ!ここはエルフの国ですぞ!」」」」

 聖女の脇にいる幹部達がおおきな声をあげた。しかし、マルクは言い返す。

「僕には僕のルールがあるからね。そんな失礼なエルフを助ける義理はないよ」

「聖女様に何て事を!」

「もう黙りなさい!」

 聖女は今まで黙っていた。と言うより黙らされていた。そして、黙ってられなくなり幹部達を制して声をあげたようだった。

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