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第6章 異世界転移
31話 後がない世界樹
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キャロルが、マルクに土下座までして世界樹を救って欲しいと懇願したのは、世界樹が枯れてしまったら、エルフ国の聖域がなくなり結界が消滅してしまうからだ。
エルフは長命種族なだけあり、他種族に比べて数は圧倒的に少ない方であり、世界樹の恩恵がなくなると非常に不味い事になるのだ。
「それこそ、エルフ族の問題じゃないか?僕が動く必要が感じられない」
「そんな!」
キャロルが、マルクの言葉に絶望して項垂れた時、マルクの頭の中に直接誰かの声で語りかけられた。
あなたがマルクさんですか?
「誰だ?」
マルクは、辺りをキョロキョロ見渡すが、怪しい人物はいなかった。いきなり、マルクが声を出したので、キャロルやエルフの冒険者、ギルド職員がマルクを見つめていた。
いきなり申し訳ありません。マルクさんの頭の中に直接語りかけて、マルクさんも頭の中でしゃべってくれて結構です。私は世界樹の精霊です。
何で僕に語りかけてくるんだよ。
お願いします・・・・・・あなたにもう頼るしかなくて私を助けて下さい。エルフにはあの化け物は倒せないのです。
その化け物ってなんだよ?
ヒュージクローラー・・・・・・別名エルフクローラーです。世界樹の守り人と言われるエルフを食らうワームです。成長したワームはエルフの魔力を受け付けない特性を持ち、結界が役に立たないのです。
だから?僕には関係のない話だろ?エルフは鎖国気質があるから、不足の事態に対応が出来ないんだよ。完全な自業自得だな。
このままでは世界樹が枯れてしまうのです。ヒュージクローラーに根を噛られ今やボロボロです。貴方ならヒュージクローラーを一人で討伐できます。
だから、僕じゃなくとも!
確かに、ドラコニア国からの援軍を頼る事もいいのですが、今はドラコニア王国も動けません。あなたに頼るしかなくて!
はぁあ?なんだよそれは!それにエルフの国の奴らは僕を受け入れないだろ?
貴方が来てくれると言うなら、私が反対派を抑える事をお約束いたします。
だけどなぁ・・・・・・
私が枯れてしまうと、ブリーナッシュ王国だけでなく大陸中が大変な事になるのです。
大変な事?
はい・・・・・・脅すようなことを言って申し訳ありません。しかし、事実で薬草などポーションの材料が不足し、上級ポーションの材料はまず採取不可能となります。
採取はダンジョンのみとなり、ダンジョンの深い階層にいかないとまず採取できないでしょう。
マルクは、世界樹の精霊の言葉にため息をついた。その間、キャロルはマルクの足元にすがりつき、エルフ国に来て欲しいと懇願していたのだ。
「どういうわけか、ドラコニア王国はエルフ国に兵士を送ってくれないのです。今は国の有事の方が大変だと・・・・・・」
「わかったよ!僕がエルフ国に行ってやるよ」
「本当ですか?」
キャロルはマルクの言葉に歓喜した。
「ただし、その化け物を討伐したあかつきにはエルフ国は、ドワーフ王国と同じ条件を飲んでもらう!それは最低条件だ」
「わかっています」
そして、エルフ国にはポーションや薬草を、ブリーナッシュ王国に安値で輸出する事を約束させた。
この話を聞いて、冒険者ギルドの職員は拍手喝采した。ドワーフ王国に続きエルフ王国も、マルクの活躍で和平条約が結ばれる可能性が出てきたのだ。
マルクさん、本当にありがとうございます。ヒュージクローラーを討伐したあかつきには、私からの報酬を差し上げたいとおもいます。
討伐は確実にしてやるよ。だから前払いを要求するよ。
申し訳ありません。今は私の魔力は自分を守る為に使わないと、あっという間に根を食い尽くされてしまいます。
討伐を完了した後、その魔力を使えますので・・・・・・
ここで、世界樹の精霊の念話が途切れてしまった。マルクは世界樹が相当弱って来ているのだと思った。
「それじゃ、エルフ王国にすぐに向かおうか」
「今すぐでよろしいのですか?」
「世界樹が枯れてしまうんだろ?ヒュージクローラーは大食間だからな!エルフが食い尽くされてしまうぞ」
「な、なんでそれを!あたしは言ってませんよね?」
「まあそんな細かい事はいいじゃないか。それよりも討伐した後、エルフ王国からブリーナッシュ王国に書簡をおくり表明をしてもらうからな」
「わかっています。あの化け物を討伐できたなら、反対派も承諾するしかありません」
「反対派はもう何もできないとは思うがな」
「えっ?どういう事ですか?マルクさんは何を知っているのですか?」
その頃、エルフ王国では反対派の王族や貴族達に、世界樹の精霊が力を振り絞り、ヒューマン族のマルクに協力を募ったと説明し、反対派もマルクをエルフ王国に招き入れるように言った。
当然、王族や貴族は憤慨したが、マルクを追い返した場合エルフ族の王族や貴族は世界樹の守り人を剥奪すると言われたのだ。これは、世界樹の加護がなくなるということで、今生きているエルフは加護の剥奪はできないが、今後誕生するエルフには世界樹の加護はつかないという事になる。そして、世界樹の加護は一部のエルフだけとなる。
それを聞かされた王族や貴族は世界樹の精霊の言葉を聞かない訳にはいかなかった。何故ならば、世界樹の加護が聖職者だけ、つまりマルクに協力を求めた賛成派の聖女が、エルフ族のトップとなることを意味していた。
そうなれば、エルフ王国は滅亡。聖教徒王国の誕生となるのだ。こうなると反対派は何もできなくなり、マルクを招き入れるしかなかったのである。
エルフは長命種族なだけあり、他種族に比べて数は圧倒的に少ない方であり、世界樹の恩恵がなくなると非常に不味い事になるのだ。
「それこそ、エルフ族の問題じゃないか?僕が動く必要が感じられない」
「そんな!」
キャロルが、マルクの言葉に絶望して項垂れた時、マルクの頭の中に直接誰かの声で語りかけられた。
あなたがマルクさんですか?
「誰だ?」
マルクは、辺りをキョロキョロ見渡すが、怪しい人物はいなかった。いきなり、マルクが声を出したので、キャロルやエルフの冒険者、ギルド職員がマルクを見つめていた。
いきなり申し訳ありません。マルクさんの頭の中に直接語りかけて、マルクさんも頭の中でしゃべってくれて結構です。私は世界樹の精霊です。
何で僕に語りかけてくるんだよ。
お願いします・・・・・・あなたにもう頼るしかなくて私を助けて下さい。エルフにはあの化け物は倒せないのです。
その化け物ってなんだよ?
ヒュージクローラー・・・・・・別名エルフクローラーです。世界樹の守り人と言われるエルフを食らうワームです。成長したワームはエルフの魔力を受け付けない特性を持ち、結界が役に立たないのです。
だから?僕には関係のない話だろ?エルフは鎖国気質があるから、不足の事態に対応が出来ないんだよ。完全な自業自得だな。
このままでは世界樹が枯れてしまうのです。ヒュージクローラーに根を噛られ今やボロボロです。貴方ならヒュージクローラーを一人で討伐できます。
だから、僕じゃなくとも!
確かに、ドラコニア国からの援軍を頼る事もいいのですが、今はドラコニア王国も動けません。あなたに頼るしかなくて!
はぁあ?なんだよそれは!それにエルフの国の奴らは僕を受け入れないだろ?
貴方が来てくれると言うなら、私が反対派を抑える事をお約束いたします。
だけどなぁ・・・・・・
私が枯れてしまうと、ブリーナッシュ王国だけでなく大陸中が大変な事になるのです。
大変な事?
はい・・・・・・脅すようなことを言って申し訳ありません。しかし、事実で薬草などポーションの材料が不足し、上級ポーションの材料はまず採取不可能となります。
採取はダンジョンのみとなり、ダンジョンの深い階層にいかないとまず採取できないでしょう。
マルクは、世界樹の精霊の言葉にため息をついた。その間、キャロルはマルクの足元にすがりつき、エルフ国に来て欲しいと懇願していたのだ。
「どういうわけか、ドラコニア王国はエルフ国に兵士を送ってくれないのです。今は国の有事の方が大変だと・・・・・・」
「わかったよ!僕がエルフ国に行ってやるよ」
「本当ですか?」
キャロルはマルクの言葉に歓喜した。
「ただし、その化け物を討伐したあかつきにはエルフ国は、ドワーフ王国と同じ条件を飲んでもらう!それは最低条件だ」
「わかっています」
そして、エルフ国にはポーションや薬草を、ブリーナッシュ王国に安値で輸出する事を約束させた。
この話を聞いて、冒険者ギルドの職員は拍手喝采した。ドワーフ王国に続きエルフ王国も、マルクの活躍で和平条約が結ばれる可能性が出てきたのだ。
マルクさん、本当にありがとうございます。ヒュージクローラーを討伐したあかつきには、私からの報酬を差し上げたいとおもいます。
討伐は確実にしてやるよ。だから前払いを要求するよ。
申し訳ありません。今は私の魔力は自分を守る為に使わないと、あっという間に根を食い尽くされてしまいます。
討伐を完了した後、その魔力を使えますので・・・・・・
ここで、世界樹の精霊の念話が途切れてしまった。マルクは世界樹が相当弱って来ているのだと思った。
「それじゃ、エルフ王国にすぐに向かおうか」
「今すぐでよろしいのですか?」
「世界樹が枯れてしまうんだろ?ヒュージクローラーは大食間だからな!エルフが食い尽くされてしまうぞ」
「な、なんでそれを!あたしは言ってませんよね?」
「まあそんな細かい事はいいじゃないか。それよりも討伐した後、エルフ王国からブリーナッシュ王国に書簡をおくり表明をしてもらうからな」
「わかっています。あの化け物を討伐できたなら、反対派も承諾するしかありません」
「反対派はもう何もできないとは思うがな」
「えっ?どういう事ですか?マルクさんは何を知っているのですか?」
その頃、エルフ王国では反対派の王族や貴族達に、世界樹の精霊が力を振り絞り、ヒューマン族のマルクに協力を募ったと説明し、反対派もマルクをエルフ王国に招き入れるように言った。
当然、王族や貴族は憤慨したが、マルクを追い返した場合エルフ族の王族や貴族は世界樹の守り人を剥奪すると言われたのだ。これは、世界樹の加護がなくなるということで、今生きているエルフは加護の剥奪はできないが、今後誕生するエルフには世界樹の加護はつかないという事になる。そして、世界樹の加護は一部のエルフだけとなる。
それを聞かされた王族や貴族は世界樹の精霊の言葉を聞かない訳にはいかなかった。何故ならば、世界樹の加護が聖職者だけ、つまりマルクに協力を求めた賛成派の聖女が、エルフ族のトップとなることを意味していた。
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