役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第6章 異世界転移

26話 ドワーフ国との架け橋

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 ドーンの案内で、ドワーフ国王都リズムダルムのダンジョンに案内されたマルクは、細切れにしたアダマンタイマイの遺体をダンジョンに廃棄した。

「へぇ。ここに棄てたらいいのか?」

「そうだ。アダマンタイマイの遺体は崖の底でいずれダンジョンに吸収されるからな」

「わかった」

 マルクはインベントリから、アダマンタイマイの遺体を少しづつ崖の底に捨てていった。

 こやつ・・・・・・本当にアダマンタイマイの遺体処理を1日で終わらせるとは!

 ドーンは、マルクの底知れぬ実力に息を飲んだ。アダマンタイマイを切断したエアカッターを目にした時は言葉に詰まった。
 ドワーフは魔法は得意ではないが、マルクの魔法は誰が見ても威力が半端なかった。その魔力で攻撃されたら、マルクの言うようにドワーフ王国は手も足も出ない状況に陥る可能性が十分に想像ができた。

「お前はいったい何者なんだ?勇者なのか?」

「僕が勇者?とんでもない!最近山奥から出てきたばかりのFランク冒険者だよ」

「Fランク冒険者の実力ではない!その魔力はその昔、大陸を恐怖に陥れた魔王に匹敵するものだ!」

「じゃあ、勇者じゃないだろ?」

「違う!勇者のパーティーにいた魔導師様と言いたかったんだ!」

「まあ、どちらにしても僕は勇者のような自己犠牲的な感覚は持ち合わせてないよ。今回の事だって、ドワーフ王国に条件を出してアダマンタイマイを処理したしね」

 その日の内に、王都リズムダルムに帰ってきたドーンはギルド職員達に声を掛けられていた。

「ギルドマスター!こんなに早く帰ってどうしたのですか?」

「とんでもない無い奴だよ。アダマンタイマイの遺体処理は終わったよ」

「「「「「嘘でしょ?」」」」」

 帰ってきたドーンは、今日あった事をその場で漏らすように口ずさんだ。それを聞いたギルド職員は驚き、冒険者達は言葉を失った。
 そして、その事はすぐに国王ドンガリオンに報告された。

「まさか本当に・・・・・・」

「はい!冒険者ギルドの報告は嘘ではありませんでした!」

 国王ドンガリオンはドーンの報告を信じられなく、兵士を鉱山に視察を向けさせたのだ。
 そして、その報告は兵士達からも虚偽ではなく、アダマンタイマイの遺体はどこにも無いとの事だった。
 この事で、王国から公式に鉱山の立ち入り禁止は解除された。そして、今回の功労者はマルクとなりドワーフ王国から感謝される事になった。

 ドワーフ王国から、ヒューマン国ブリーナッシュ王国に公式に表明されて、ブリーナッシュ王国国王のローランドは目を見開き驚いた。

「宰相、これをみてくれ!」

「これは!」

 ドンガリオンの書状には、塩など輸出品を他国と同じ値段に引き下げると書いてあった。
 そして、塩の産出が再開され輸出制限を解除するとあった。
 この事で、ブリーナッシュ王国は盛り上がったのは言うまでもなく、塩等輸入価格が下がり別の品物も購入できる余裕がうまれた。

 マルクは、まだドワーフ王国にいた。今日はドンガリオンに王城に招かれていた。

「今回、貴殿の働きに感謝を申し上げる」

 マルクは、ドンガリオンに感謝の言葉を受けていた。マルクは、ドンガリオンの言葉を聞き頭を下げた。

「これを貴殿に渡したい!」

 頭を下げたマルクの前には、山積みとなったミスリル金貨と宝剣が贈呈された。
 ミスリル金貨は金貨の10枚と同じ値段となり、宝剣はドワーフの技術を使い叩き上げて製作し、柄の部分には宝石や装飾が豪華な剣である。

「国王様、これは受け取れません」

 マルクがこれらの受け取りを断ると、側にいた貴族達が身を乗り出した。

「国王の謝礼を断るとは無礼な!」

 声を出したのは宰相だ。他の貴族達もざわめきを隠せずにいた。

「宰相、待つのだ!」

「しかし、国王!」

 ドンガリオンは宰相を抑え、マルクに向き合い理由を聞いた。

「これらはドワーフ国からの報奨だ。なぜ断るのだ?」

「恐れながら、国王様からアダマンタイマイの遺体処理の報酬はすでにいただいております。このお金と宝剣をいただくと、僕は貰いすぎとなるからです」

「ワシは貴殿への報酬は与えておらん!」

「いいえ。アダマンタイマイの遺体処理の報酬の条件は飲んでいただきました。ブリーナッシュ王国への輸出価格を元に戻していただきました。又、ヒューマン族の不当な奴隷の解放を随時していただいています」

 マルクは、その約束をかなえてくれたらタダでアダマンタイマイの遺体処理を受けると言っていた。

「だから、この報酬をもらうと貰いすぎになります」

 宰相を始め、ドワーフ国の貴族達は理由を聞いて納得しているようだった。

「がはははは!貴殿はヒューマン族なのに欲はないのか?」

 ドンガリオンは、マルクの行動に大笑いした。

「国王様、ヒューマン族は余計な言葉ではないですか?」

「ああ!許せ。他意はないのだ。貴殿に対して言ったのではないのだ。ワシも長く生きているから、ヒューマン族には思うところがあるだけだ」

「ヒューマン族は多種族に比べて欲望は強い印象がありますが、個人差と考えてもらいたく思います」

「わかった。貴殿は誠実なのだな。黙ってこの報奨を受けとればいいものを・・・・・・」

「それでは信頼は生まれませんからね」

「フム!確かにその通りだ。この報奨は引き下げさせてもらう」

 マルクは、ドンガリオンの言葉を受け入れ頭を下げた。

「では、改めてこの報奨金と宝剣を受け取ってもらえないか?」

 ドンガリオンは、王座を立ち上がりマルクの側に近寄った。

「「「「「国王!」」」」」

 この行動に貴族達は驚いた。ドワーフ族でも側に近寄る事が許されているのは、親族の宰相や公爵だけで、後は親友のドーンだけである。

「これはワシ個人の感謝の意を込めたものだ。ワシの親友として贈らせて欲しい」

 ドワーフの国王が、ヒューマン族のマルクを親友と言ったのだ。その言葉に貴族達は驚き、目を見合わせていた。

「分かりました。これらは受け取らせていただきます」

「そうか!ワシの意を汲んでくれて感謝する」

 ドンガリオンは、マルクが報奨を受け取り笑顔となった。




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