役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第6章 異世界転移

22話 アダマンタイマイ倒れる

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 そこには、ドワーフ族のギルドマスターがマルクを睨んでいた。

「ギルドマスター。いったい何を言っているのですか?」

「冒険者は最後は自己責任だ!ランファは何回もそのヒューマンを止めたではないか?」

「それは・・・・・・」

 ギルドの奥から顔を出したドワーフは、マルクを睨んでいた。ギルドマスターを見たマルクは、その姿を見て驚いたのだった。

「貴方は本当にドワーフ?」

「ああ。俺はドワーフだ」

 ギルドマスターのドワーフは、普通のドワーフとは思えないほどデカイという印象が強かった。
 身長は180と大きく、当然だがビア樽体型で本当に威圧感が凄いのだ。

「はじめまして。ヒューマン国から来たばかりのマルクと言います」

「ふん!自己紹介などいらん!ランファの忠告を無視して、どうせすぐに死ぬヒューマンに興味などない!」

「まあ、それでいいよ。アダマンタイマイを討伐できれば、鉱石と一緒に岩塩の産出も再開されるんだろ?」

「まあ、無理だかな!」

「僕としては、アダマンタイマイを討伐する事で、ドワーフ国に恩を売れて一石二鳥だ」

「せいぜい死なぬようにな!」

 ランファは、ギルドマスターに言われてマルクのアダマンタイマイの討伐依頼を受注した。

「SSSランクの報酬って意外に安いんだな」

「馬鹿を言わないで下さい。一億ゴールドですよ!これは討伐報酬だけで、魔物の素材は別にあります」

「だけど素材は売らなければ金にならないんでしょ?」

「それはそうですが・・・・・・それになんでもう討伐出来た時の事を言っているのですか?アダマンタイマイが一人で討伐出来るわけがないでしょ!」

「出来るから考えているだろ?あんなのでかくて固いだけじゃないか」

「せいぜい死なないようにね!」

 ランファはマルクの言葉に鼻で笑い嫌味を言うのであった。

「じゃ、行ってくるよ」

 マルクは、アダマンタイマイを討伐する事で自分の中に違和感を感じる事になるのを、この時のマルクはまだ知らない。

 そして、マルクはリズムダルムの城門に向かうと、城門警備の兵士に声をかけられた。

「あんた!生きていたのか?」

「いきなりなんだよ?僕の足がないようにみえるのか?」

 声をかけてきたのは、マルクの入場手続きをしたドワーフである。

「てっきり、町に入ったとたん誘拐され奴隷にされたと思ったんだ」

「はっ!そんな簡単に誘拐されるわけないだろ?」

「まあとにかく、塩は購入できたんだな?もうここには来るんじゃないぞ?」

「ああ。またね」

 城門警備の兵士は、マルクを見送ったのだった。

「なぁ・・・・・・アイツ今またなって言わなかったか?」

「単なる挨拶だろ?ヒューマンがそう何回も王都リズムダルムに来るわけないだろ?」

「そうだよな?」

 城門警備の兵士達は、数時間後マルクのアダマンタイマイの討伐報告に驚く事になる。

「さすが、ドワーフだよね。鉱山の近くに王都を作るんだから。あの鉱山がミスリルやアダマンタイトの三大産出鉱山なんだな」

 ドワーフ国領地には、ミスリル鉱山が三つある。大陸の中でもこんなにレア鉱石が出るのはドワーフ国だけである。
 他の領地にもあるが、ここまで地上で取れるところはない。他の領地ではダンジョンに行くのが普通である。

 マルクは、リズムダルムを出て王都が見えなくなると、すぐに世界地図を開きサーチを開始した。
 そして、リコールを唱えるとマルクの姿は、シュっと言う音と共に瞬間移動をした。

「こいつはデカイな!山の形が変わっているじゃないか!」

 マルクは、アダマンタイマイが見える場所に姿を現した。アダマンタイマイは食事中なのか山をボリボリもさぼっていた。
 アダマンタイマイの甲羅は、アダマンタイトの金属のような輝きを放ち陽の光が反射していた。

「あの甲羅でシオンの盾を作ってあげたいな」

 アダマンタイマイの甲羅を盾や鎧にしたら、とんでもない防御力になる。あれだけデカイ甲羅になればたくさん作れると思うがそうではない。アダマンタイマイが死亡すれば、使える箇所は少なく魔力が集まった箇所だけだ。
 だが、アダマンタイマイが巨体な為甲羅の一部でもデカイ。

「さて、アダマンタイマイを討伐しないと鉱山がなくなってしまう」

 マルクは、アダマンタイマイの首をめがけて風属性魔法のエアスクリューを唱えた。
 アダマンタイマイは土属性の魔物で、反発する風属性の攻撃が弱点となる。アダマンタイマイの首に巨大な竜巻が発生した。

『ぐおおおおおおおおおおおお!』

 アダマンタイマイは、自分に何が起こったのかわからない。とんでもない威力の風の塊が渦を巻いていた。
 アダマンタイマイの首が風の威力でネジ切られそうになり、その苦痛に雄叫びをあげる。
 しかし、このマルクのエアスクリューの本当の恐怖はそこではない。アダマンタイマイの雄叫びは周りに聞こえていなかったからだ。
 エアスクリューは、アダマンタイマイの首にまとわりつきアダマンタイマイは苦しみだしていた。アダマンタイマイは、首を地面に擦り付け風の渦を消滅させようと必死だった。
 しかし、この渦は風であり実態がない。アダマンタイマイは雄叫びをあげ苦しみのたうち回る。

「苦しいだろ?その風の渦は空気を遮断して、窒息死させる魔法だからな」

 ちなみに、この魔法で今の状態で生きていられるのは、アダマンタイマイだからだ。普通、人間がこの魔法をかけられた場合、窒息死する前に首がネジ切れてしまうからだ。
 体長が20mもあるアダマンタイマイの首はそれほど太く頑丈だからだ。その結果、アダマンタイマイはすぐに楽に死ねず、苦しみながら逝き絶えたのである。

「やっと死んだか。一時間もかかるとは思わなかったな」

 マルクは、アダマンタイマイにカッティングの魔法を唱えると、アダマンタイマイの素材が綺麗に採取できた。

「やっぱり、解体はクレアの方が綺麗に採取できるな」

 マルクは、アダマンタイマイの素材の牙と爪それと魔石と甲羅を手に入れてインベントリに収納した。
 
「遺体はどうしようかな?僕を侮っていたし、ドワーフ国に任せるか」

 マルクなら、アダマンタイマイの素材のない使い物にならない遺体をインベントリに収納する事はわけないが、自分の事を侮った事を分からせる為、アダマンタイマイの遺体はそのままにしてドワーフ国や冒険者ギルドに後始末を任せたのだ。

「さて、帰るか・・・・・・リコール!」

 マルクは、リズムダルムの手前に瞬間移動をして、そこから徒歩でリズムダルムに向かった。

「なんでお前がまた帰って来るんだよ。ヒューマン国に帰ったんじゃ・・・・・・」
 
 そう言って驚いていたのは、城門警備の兵士だ。

「僕はまたねと言ったじゃないか?」

「ああ。確かに言ったな。だけど、あれは別れの挨拶だろ?」

「いいえ。僕はまた帰って来るつもりだったからまたねと言ったんだよ」

「それでなんで帰ってきたんだ?」

「別にいいじゃないか。この時間に町を出たら夜営になるだろ?」

「た、確かに・・・・・・」

「町を出るなら、朝早くに出るに決まってるだろ?」

「わかった。なら、今日はリズムダルムに泊まるんだな?」

「当たり前です。野宿は嫌だからな」

「わかった。どうなってもしらんからな?」

「責任取れとは言いませんよ」

「ふん!リズムダルムへの入場を許可する」

 マルクは、リズムダルムに入る事を許され、冒険者ギルドに向かった。
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