役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第6章 異世界転移

19話 マルク、ドワーフ国に入国する

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 ドワーフ国が騒然となっていた頃、マルクはマーブルに他国に行く事を止められ、ギルドの一室で引き止められていた。

「マルクさん、本当にそれだけは止めた方がいいです」

「大丈夫だよ。僕はマーブルさんが思う程弱くないからね」

「確かにマルクさんは、ブレスさん達に圧勝されました。だけど、ドワーフ国に行けば周りの人達は全員が他種族なんですよ?」

「まあまあ。僕の実力はあんなもんじゃないからね」

 マルクは、実際の所ヒューマン国をどうこうするのは二の次であり、色んな場所で情報を集めたかっただけだった。

「だけど!」

「とにかく、町の食料在庫はまだ余裕がんだよね?じゃあ、ちょっとドワーフ国に行って来るよ」

「ちょっと待って下さい」

「しょうがないな・・・・・・少しだけ僕の実力を見せたげるよ。ちょっとついて来てもらっていいかな?」

「どこに行くのですか?」

 マルクはマーブルと話している部屋の中で、ゲートトラベルを開いた。
 ゲートトラベルを唱えると、青く輝くモヤモヤした穴が門のように口を開いた。

「これはなんですか?」

「異次元の門です。中に入って下さい。出た先はドワーフ国との国境の手前です」

「そんな馬鹿な事が!」

 この世界にも瞬間移動の魔法はないので、マーブルは躊躇した。マーブルはなかなかゲートの中に入らなかったので、1分が経過してしまい穴が閉じてしまったのだ。

「あっ・・・・・・消えちゃった。なんで入らないんですか?」

「だ、だって・・・・・・」

「もう一回出すからついて来てください」

 マルクはもう一度、ゲートトラベルを唱えて異次元の門を出した。そして、マルクは青く輝くモヤモヤの穴の中に入ってしまった。
 マーブルは、勇気を出して両目をつむり穴の中に一歩踏み出した。

「マーブルさん、目を開けて大丈夫ですよ」

「ええ!」

 マーブルは目を見開き驚いた。確かに先程までギルドの一室にいたはずだったが、目を開けると林の切れ目に立っていた。そして、遠くには他国の国境が見えて、国境の関門にはドワーフ国の紋章があったのだ。

「嘘でしょ・・・・・・」

「言っておくけど、僕の実力はまだまだこんなもんじゃないからね」

「マルクさんは一体何者なんですか?」

「普通の冒険者・・・・・・」

「普通じゃありませんよ!」

「だったら、過去のヒューマン族がやった過ちを正しにきた冒険者と思ってくれたらいいよ」

「過去の過ち・・・・・・」

「理由は言えないけど、僕は僕のやりたい事があるんだ。それを絶対に達成するつもりだ」

「やりたい事?」

「何かは言えないけど、ついでにヒューマン国を立て直してあげるよ」

「ついでに?」

「うん。僕にとって拠点は大事だからね。足元を固めないとやりたい事が安心して進められないよ」

 マーブルは目をつむり少し考えていた。

「マルクさんは、ヒューマン国を離れるつもりはないんですね?」

「今の所はね。いずれは王都からいなくなるけどね」

 マーブルはマルクを束縛するのは得策ではないと思った。瞬間移動の魔法を使う人間が、ギルドの人間に手綱が握れるわけがないと理解した。いや、ギルドだけでなく国でも無理だと思うマーブルだった。

「分かりました。だけど、ドワーフ国に行けば危険なので絶対に死なないで下さいね」

「僕が死ぬのは反対に難しいですよ。じゃあ、マーブルさんはこのままギルドの部屋に帰って下さい」

「わかりました」

 マルクは、又ゲートトラベルの門を出して、マーブルはモヤモヤした穴の中に入って帰っていったのだった。

「さてと行くか!」

 マルクは林を抜け、遠くに見えるドワーフ国の国境を目指した。国境が近づくと国境の関門は空高くそびえる城壁で、ブリーナッシュ王国の王都エリンダムの町の城壁より高かった。

「これはすごいな。これもドワーフの建築技術が優れているんだな」

 マルクが国境の関門に目を奪われていると、関門警備のドワーフに声をかけられた。

「なんでこんなところにヒューマン族が来ているのだ。ここからはドワーフ国になる」

「はい。僕はマルクという冒険者で、ドワーフ国に来ました」

「何を言っている。お主は自殺でもしにきたのか?冗談はそのぐらいにしてヒューマン国に帰れ」

「ブリーナッシュ王国に、ドワーフ国からの塩が必要なんですよ」

「塩だと?塩は輸出制限されている。ドワーフ国でも足りなくなっているから無理だ。直接買い付けるつもりだろうがやめておけ」

「ギルドカードを持っているんだから、入国はできるだろ?」

「確かに出来るが、お主の為に言っているんだぞ?入国すればお主は最悪殺される。そうじゃなくとも誘拐されて奴隷に落とされるんだぞ」

「冒険者は自己責任だ」

「わかっているのか?ヒューマン族は何されてもいいと、他国では暗黙の了解が成り立っているんだぞ?我々兵士でも手が出せん」

「いいよ。正当防衛はできるんだよね?」

「ヒューマン族がドワーフ相手に正当防衛が出来るつもりなのか?」

「そのつもりだよ」

「分かった。ワシ等は忠告はしたぞ?入国を認める」

 マルクは関門警備の兵士に、ドワーフ国の入国を認められ街道を進んだ。
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