役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

文字の大きさ
上 下
198 / 361
第6章 異世界転移

11話 王都の物価を下げる

しおりを挟む
 国王に謝罪させると言ったマルクに、ギルドにいた人間は言葉を失っていた。

「そんな事出来るわけねぇだろうが!いい加減な事を言うんじゃねぇ!」

 大きな声を出したのは、魔族のビートだった。しかし、マルクは冷静に言い返した。

「ビート、君達はヒューマンの僕が、ドラコニアのブレスに勝てると思ったかい?」

「今はそんな事関係ねぇだろうが!」

「僕がブレスに勝てると思ったかい?」

「そんな事、世界がひっくり返っても無理だと思っていたよ!」

「だよな?でも僕はブレスに圧勝した」

「くっ・・・・・・そんな事言うなよな」

 マルクのセリフに、ブレスがぶちぶち小声で文句を言っていたが、マルクは聞こえないふりをした。

「そんな奇跡を起こせた僕は国王に謝罪させる事等簡単なんだよ」

「はぁあ?訳わかんねぇ!国王だぞ?弱小国だと言ったも一国の王にどうやって謝罪させるんだよ!」

「まぁ時間はかかるが見ていてくれ。だけど、それにはギルドから変えなくてはいけない。僕はここに来たばかりだからね。君達には、王都の人間の為に依頼を受けてもらうよ」

「だ、誰がそんな事・・・・・・」

「ビート。すまんがマルクの言うとおりにしてくれないか?」

「ブレス!何を言うんだよ」

「お前達の気持ちはわかる。しかし、俺はマルクを殺そうとしたのに治療してもらった。そればかりか決闘を無視してギルドを追放されるところを救ってもらった恩がある」

「はぁあ?なんでブレスがギルドを追放されなきゃいけないんだよ」

「バナー達は、ちゃんと決闘の手続きをとったが、俺は暴走しただけだ。本来なら手足がなくなって、殺人未遂の汚名を着せられ追放だ」

「それは・・・・・・」

「しかし、マルクがギルドに交渉をしてくれたおかげで目をつむってくれたんだ」

「本来なら絶対無理ですからね。しかし、ギルドにも事情というものがあるからです」

 マーブルが、横から割って入ってきた。ギルドも本部からのノルマがきついからである。

「まぁ、僕は君達のリーダーに貸しがあるから言う事を聞いて貰うよ。今はこうした強引な手を使うが、君達を納得させるから今は言う事を聞いて欲しい」

「わ、わかったよ!ブレスがそういうなら、ブレスに従う!」

「ああ。それでいいよ。その代わり、君達が以前のように、ヒューマン族に迷惑をかけるようだったら、ブレス達ドラゴンスピリッツに責任をとって貰うから、努々ゆめゆめ忘れるなよ」

「マルク!それはないだろ。なんで俺達が!」

「責任取りたくないなら、お前達は下の者によく言い聞かせるんだな。お前達はヒューマンをまだ信じていないように、僕達も信じきれてないんだからさ」

「ひ、卑怯だぞ!」

「ブレス、お前は僕に負けて救われたんだ。それを忘れるなよ」

 マルクにそう言われて、ブレスはガクッと項垂れたのだった。マルクはそれだけ言って、マーブルとギルドの買い取り場に向かった。
 ギルドの隅では、ハンスは気絶して同じパーティーメンバーに介抱されていたのは言うまでもなかった。

「それでマルクさん、ギルドに卸してくれる素材は?」

「まずは、王都の食糧事情を改善させますよ」

 マルクはオークやボアの肉を大量に出した。

「この量はなんですか?」

 マーブルはその量に目を見開いた。今まではオークの肉は、他種族の冒険者から買い取りをしていたが、相場の倍以上の値段で買い取らされていたのだ。なぜ、オークは他種族の冒険者かというと、オークが強い魔物だからだ。
 ヒューマン族の冒険者にも、狩れない事はないがやはりヒューマンのレベルと比べると死人が出る魔物なのだ。
 マルクが、精霊の泉を出た時、ゴブリンが強いと感じた事は勘違いではなく、この世界の魔物は明らかにレベルが高いのだ。

 今のマルクには理由が分からなかったが、これはヒューマン族の数が減った事で、この数百年で魔物を間引くヒューマンがいなくなったからだ。それにともない、他種族の人種のレベルが上がり、魔物もそれに対応して強くなっていたのだ。つまり、ヒューマン族が時代に取り残された形と言っていいだろう。

「これだけあれば、食糧の高騰は少しはましになるだろ?」

「それはそうですが、どれだけ貴方のマジックボックスは容量があるんですか?」

「まぁ、そんな事いいじゃないか。魔物の素材はどうですか?」

 又、マルクが出した魔物の素材は、DやEランクではなく、Bランクのブラックグリズリーやサーベルタイガーの素材を出した。

「こ、これは一体どこで?オーガだけでも凄いというのに!」

 マルクは、行商人のカイン夫妻を助けた時のオーガの素材も出していた。最近、解体はずっとクレアに任せていたが、一人なのでカッティングで解体をして、インベントリに収納していた。

「オーガもまともに買い取りできていなかったのか?」

 マーブルはオーガなんて買い取ったら完全に赤字になると言って買い取れなかったと言った。

「じゃあ、他種族の冒険者はオーガとかの素材はどうしていたんだよ?」

「町には、ドワーフ達生産活動をしている他種族がいますからね。そちらに買い取りをお願いしていたんですよ」

「なるほどね・・・・・・」

「どちらにしても、ヒューマン族は他種族から搾取されるようになっていたか」

「ええ・・・・・・ヒューマン族より、長生きするドワーフのスキルの腕は間違いないですからね」

「まぁ、これからは当分の間、僕がギルドに素材を卸すから楽しみにしてください」

「本当ですか?」

「その代わり条件はあるよ」

「な、なんですか?そんなにお金は出せないですよ・・・・・・」

「馬鹿な事を・・・・・・そんな事したら、ブレス達の反感を買うだろ?」

「じゃあ何を?」

「冒険者ギルドはちゃんと適正価格で、町の人間に販売をして、ヒューマン国の高騰した物価を下げることだ」

「それは当然です!」

「とりあえず、ヒューマンの生産職にだけこれらの素材を卸すようにしてくれるかい?」

「でも、そんな事したら他種族の生産者が?」

「いいかい?冒険者の中にはまだわだかまりを持つ他種族はいっぱいいるはずだ」

「それは当然です。マルクがああ言ってくれましたが、冒険者ギルドに足元を見てつり上げるでしょう」

「冒険者ギルドは、そういう素材は買い取らないだろ?」

「当然ですよ。買い取りしたら大赤字になります」

「と、言う事はそいつ等は、他種族の生産者に買い取ってもらわないといけなくなるだろ?他種族の生産者は、ヒューマン国の人間に高値で売って今まで利益を出してきたんだ」

「そうです」

「しかし、これからはそんな高値の商品を誰が買う?他種族の生産者の商品は売れなくなるとどうなるか?」

「他種族の冒険者の素材も、適正価格で買い取りしないといけなくなるんですね」

「そういう事!」

「しかし、そんなに上手くいきますか?」

「物量の事を言っているのか?」

「そうです」

 マルクは、マーブルの心配をよそに笑顔で任せておけと言った。


しおりを挟む
感想 99

あなたにおすすめの小説

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜

赤井水
ファンタジー
 クロス伯爵家に生まれたケビン・クロス。  神に会った記憶も無く、前世で何故死んだのかもよく分からないが転生した事はわかっていた。  洗礼式で初めて神と話よく分からないが転生させて貰ったのは理解することに。  彼は喜んだ。  この世界で魔法を扱える事に。  同い歳の腹違いの兄を持ち、必死に嫡男から逃れ貴族にならない為なら努力を惜しまない。  理由は簡単だ、魔法が研究出来ないから。  その為には彼は変人と言われようが奇人と言われようが構わない。  ケビンは優秀というレッテルや女性という地雷を踏まぬ様に必死に生活して行くのであった。  ダンス?腹芸?んなもん勉強する位なら魔法を勉強するわ!!と。 「絶対に貴族にはならない!うぉぉぉぉ」  今日も魔法を使います。 ※作者嬉し泣きの情報 3/21 11:00 ファンタジー・SFでランキング5位(24hptランキング) 有名作品のすぐ下に自分の作品の名前があるのは不思議な感覚です。 3/21 HOT男性向けランキングで2位に入れました。 TOP10入り!! 4/7 お気に入り登録者様の人数が3000人行きました。 応援ありがとうございます。 皆様のおかげです。 これからも上がる様に頑張ります。 ※お気に入り登録者数減り続けてる……がむばるOrz 〜第15回ファンタジー大賞〜 67位でした!! 皆様のおかげですこう言った結果になりました。 5万Ptも貰えたことに感謝します! 改稿中……( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )☁︎︎⋆。

 社畜のおじさん過労で死に、異世界でダンジョンマスターと なり自由に行動し、それを脅かす人間には容赦しません。

本条蒼依
ファンタジー
 山本優(やまもとまさる)45歳はブラック企業に勤め、 残業、休日出勤は当たり前で、連続出勤30日目にして 遂に過労死をしてしまい、女神に異世界転移をはたす。  そして、あまりな強大な力を得て、貴族達にその身柄を 拘束させられ、地球のように束縛をされそうになり、 町から逃げ出すところから始まる。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

処理中です...