役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

文字の大きさ
上 下
182 / 361
第5章 最強への道

40話 Sランクパーティーの最後

しおりを挟む
 まさか、廃れていたダンジョンが復活した事実に領主も驚いたのだ。本来ならダンジョンが復活したとなれば喜ばしい事なのだが、Sランク冒険者が帰らないとなると反対に危険すぎるダンジョンとして対策を講じないといけなくなるのだ。

「マルクよ。よろしく頼む」

「わかりました。ギルドマスター、その代わり報酬は弾んでくださいね」

「ちゃっかりしてやがるぜ」

 そう言ってマルク達は、復活したダンジョンに向かったのだ。そのダンジョンは、オークが沸いたダンジョンの手前を西に行った場所にあり、リーランの町の目と鼻の先にあり、冒険初心者には都合のいい場所にあった。
 しかし、今は一階層からバンパイアが徘徊する凶悪なダンジョンとして、リーランの町からしたら気が気ではないのだ。

 マルク達が、ダンジョンに到着するとそこはかつてのダンジョンの入り口とは違い、禍々しい雰囲気が感じ取れた。

「マ、マルク、これって・・・・・・」

 シオンも、レベルが上がりかつて自分達も世話になったダンジョンじゃなくなっている事にきづいた。カノン達四人もただならぬ雰囲気に息を飲んだ。

「これは不味い状況だね。僕はダンジョンじゃなく魔王が復活したと言われても信じるよ」

「「「「「ちょっとマルク!怖い事言わないでよ!」」」」」

「でも、君達もこの尋常じゃない魔力を感じ取れただろ?」

「「「「「・・・・・・」」」」」

 マルクの言葉に、シオン達は押し黙っていたのだった。



 
 マルクが、ダンジョンに来る数日前。ギルドからの指名依頼を受けた。Sランクパーティーは、デスナイトに縛られて生け捕りにされてしまっていた。

「ふはははははははは!俺様に勝てると思っていたのか?残業だったな」

「き、貴様・・・・・・」
「あたし達が手も足も出ないなんて」

「お前達は、冒険者にしては強い部類だ。確かSランクパーティーの暴風竜テンペストだったかな?」

「なぜ、魔物が我々を!」

「そして、お前はガライだったかな?」

「なぜ、お前が俺の事を知っているんだ!」

 デスナイトは、自分の頭を両手に持ち、首を
胴から切り離した。そして、自分の首を左手に持った。

「首が千切れても生きているのか?」

 テンペストの女冒険者は顔を背けた。ガライ達男性冒険者は驚愕しガタガタと震えていた。

「貴様はいったい・・・・・・」

 デスナイトの首は漆黒の甲冑に身を包み、顔はわからない。そして、デスナイトは甲冑の顔のガードルを上に開けた。

「お、お前は!」

 ガライ達テンペストは、甲冑の中の顔に見覚えがあった。

「覚えていたか?」

「お前は確か、拷問にかけられ死んだはず?何で生きてんだ?」

「リーダー知っているの?」

「お前達も知っているはずだ。こいつは元雷神のメンバーのヴァイスだ!」

「「「「「ええ!」」」」」

 テンペストは、雷神のメンバーに注目していた。パーティーの1つだ。ディクト達四人が優秀でいずれ自分達をも凌駕する新鋭気鋭の冒険者とかっていたのだ。
 しかし、自分達の力に溺れあんなことになって残念に思っていた。

「俺は、魔人となって生き返ったんだよ。生き返ったというのも変か?俺はデュラハンデスナイトとして甦ったのだ。ふははははははははははは!」

「「「「「デュラハンデスナイトだと!」」」」」

「ヴァイス。早く生け贄を渡しなさいよ」

 そこに霧状の何かが漂いながら、ヴァイスの側に現れたのだ。

「な、なに?」

 その霧状のなにかは次第に人の形を型どり始め、漆黒のドレスを着た女性になる。

「お、お前も生き返っているのか?」

「あら、あたしを覚えている下僕がいるなんて嬉しいわ」

「あれって!」

「ああ・・・・・・あのまま成長していれば聖女にもなれた女だ」

「はっ!聖女ねぇ。あんな教会のお飾りなんかにはなりたくないわ。今のあたしは対極にある存在よ!あははははは!」

 ソフィアが笑う口元には牙が生えていたのを見たガライは驚愕した。

「バンパイアクイーンか・・・・・・」

「あははははは!バンパイアクイーンねぇ」

「ガライよ。死んでいくお前達に特別に教えてやるよ」

「はっ?」

「ソフィアはバンパイアクイーンじゃあない。バンパイアの頂点だよ」

「バンパイアの頂点って、女性の頂点はクイーンじゃないのか?」

「あたしがそんな下等生物な訳ないでしょ」

「バンパイアクイーンが下等生物だと?」

「ソフィアはバンパイアの頂点、真祖だよ!」

「「「「「「!」」」」」」

 ヴァイスの口から、とんでもない事を聞いたテンペストだった。真祖なんて伝説の魔人であり、多分アインシュタル王国アーサー王も会った事のない魔物、いや魔人だと思ったのだ。

「おしゃべりは終わりにして、こいつらは下僕にするからもらうよ」

「ちょっと待て!今回はこのガライは俺がもらう」

「どうして?」

 ガライ達テンペストはヴァイスとソフィアの会話に恐怖した。体を貰うとか下僕にするとか訳がわからなかった。

「このガライは俺の体にするからよ。こいつはデスナイトとして活用する」

「まぁいいけどね」

 そう言って、ヴァイスは自分の首をガライの首に被せようとした。ガライはヴァイスから逃げようともがいたが、縛られ拘束されていて無駄な抵抗だった。

「「「「ガライ!」」」」
「リーダー!」

「うううう!」

 ガライは抵抗して、もがいてがピタッと動きが止まった。すると、ヴァイスの元の体はスッと消滅して、ガライの首の甲冑が浮き縛られていた鎖を引きちぎった。
 ガライの首はそのまま残っていたが人形のような無表情だった。そして、宙に浮いていた甲冑の首がガライの左手に収まったのだ。甲冑のガードルが開くとそこには、ヴァイスの首がありしゃべりだした。

「ふはははははははは!これでこいつは俺の体だ」

「また、強くなったみたいね」

 ガライはいつの間にか漆黒の甲冑に身を包み、ヴァイスに操られていた。

「「「「ガライ!」」」」
「リーダー!」

「無駄無駄。こいつはもう俺に食われたようなものだからな」

「「「「くっそぉ!」」」」
「あんたなんか、あたしが!」

「それは無理ね。あなた達はバンパイアげぼくになるのよ」

「きゃああああああああ!」

 ソフィアが女冒険者の首筋に噛みつき生き血を吸ってバンパイアにしてしまった。
 それを見た、残りのメンバーは恐怖を抱きなんとか逃げようとしたが逃げる事はできない。

「や、やめてくれぇ・・・・・・」
「た、頼む!」
「まだ、死にたくない!」
「この剣をやるから見逃してくれぇ!」

「Sランクパーティーも情けないねぇ。これからは、ダンジョンでエンカウントモンスターとして役にたってもらうよ」

「「「「ぎゃあああああああ!」」」」

 五階層のボス部屋で、Sランクパーティーテンペストの絶叫がこだました。
しおりを挟む
感想 99

あなたにおすすめの小説

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。 亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。 さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。 南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。 ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる

けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ  俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる  だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った

処理中です...