役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

文字の大きさ
上 下
171 / 361
第5章 最強への道

29話 街道の土砂崩れの状況

しおりを挟む
 マルクは、教会から村長を家までおぶって運ぶと、家にいたお手伝いさんが慌てて出てきた。

「村長!やっぱり倒れちゃったの?だからあれほど無理をするなと言ったのに・・・・・・」

「大丈夫ですよ。今は僕の魔法で眠らせているんで、朝まで目は覚ましません」

 マルクの説明を聞いて、お手伝いさんはホッと一息ついた。マルクは、お手伝いさんに村長の寝室に案内してもらいベッドに寝かせた。
 
「明日には目を覚ますと思うので後はよろしくお願いいたします」

「マルク本当にありがとう。このまま村長にはゆっくりしてもらいますので後の事はお願いいたします」

 お手伝いさんはマルクも子供の頃から顔見知りの女性でサリーという。マルクが神聖の儀でEランクを授かった時、なんて声をかけたらいいかわからなかった一人だが、村長のそばで気にかけてもらった女性である。

「それでは、僕はリーランへ続く街道を見てきます。村長が起きたらそのように伝えてもらえますか」

「わ、わかりましたが、マルクが街道を通すつもりですか?」

「そのつもりだよ」

「そうですか。気をつけてくださいね」

 サリーは、マルクがこの村の城壁を一人で建築した実力を知っている人間だ。マルクなら、街道をすぐに通す事ができると信じて見送るのだった。
 村の中は、村の男達が早速村の倒壊した建物の撤去を始めていた。

「マルク!ありがとうよ」
「俺もこうして働けるよ!」
「マルク、うちの旦那ひとを助けてくれてありがとう!」
「マルクや!本当にありがとうのう!」

 村の人間は、村長の家から出てきたマルクに感謝した。マルクは、村の人間に礼を受けながら村の城門までやってきた。

「マルク、聞いたぞ。本当にありがとうな」

「僕は、この村の人間ですから当然の事をしただけですよ」

「いや、自分のしたことを見てみろよ」

 用心棒が、指を指した先には嬉しそうに肉を頬張る子供達の姿だった。マルクが倉庫に出した大量の食糧が配給されて、広場では炊き出しが行われていて、パンと肉とスープが配られ久しぶりに満足に食べ物をもらっていた。

「本当にありがとう!」

「良かったです。じゃあ、僕はリーランに続く街道を見てきます」

「あの辺りはまだ危険だ。地盤が弱っていつ土砂崩れがあるか・・・・・・」

「大丈夫。僕がこの村の城壁を作ったのを忘れましたか?」

「な、なるほど!マルクの魔力があれば、地盤を固める事が!」

「そういう事です。じゃあ日暮れまでには戻りますから、本格的に動くのは明日からになるので安心してください」

「わ、わかった。気をつけて行けよ」

 門番の用心棒は、マルクに頼るしかないと信じて見送った。マルクは、ファントムスティードに乗り、街道を東に走らせた。
 すると、街道は両脇の崖が見事に崩れて、向こう側には行くことが出来なかった。
 この街道が使えないと、みなみの海に近い街道を迂回する事になるが、そうなると村にいちいち立ち寄る事はなくなる。そのまま、行商人は西の大きな町へと急ぐ事になるのだ。
 ちなみに今は、西に続く橋も崩れていて封鎖状態なので、南の街道を行き来する行商人は皆無ではある。

 マルクは、ファントムスティードを飛行させて土砂崩れの向こう側を見ると、兵士達が土砂を撤去していた。中には魔法使いも駆り出されて、土属性魔法で地盤を固めたりしていたが、時折起こる余震で避難しながらの作業は時間がかかりそうだった。

 マルクは土砂崩れの場所で、土砂崩れの向こう側には兵士達が撤去作業していた事を村に報告をした。
 すると、村人達は笑顔で喜んだがマルクの報告に落胆した。あの調子では少なくとも三ヶ月はかかるからと聞いたからだ。

「三ヶ月だと?」
「じゃあ、俺達は三ヶ月間乗りきらないといけないのか?」
「そんな馬鹿な!王国騎士団がリーランの町に派遣されるだろ?」
「リーランの町も被害が出ているはずだよ。順番になるはずだよ」
「そんな!村はどうなるんだ?」

「皆さん落ち着いてください!」

「マルク。この状況で落ち着けるわけがないだろ?」
「「「「「そうだ!そうだ!」」」」」
「マルクに出してもらった救援物資だって、いずれは底をつくだろ?もって1ヶ月だ!」
「それまでには、街道が開通してもらわないと不味いじゃないか?」

「大丈夫です。僕が明日からこちら側から撤去作業を始めますから!」

「俺達は村の中の事で手が離せないんだぞ?」

「皆さんは、村の中の倒壊した建物の撤去作業を続けてください。街道は僕一人で十分です」

「本当に大丈夫なのか?」

「皆さんも知っている通り、村の城壁は僕が建築した物です。街道の開通ぐらいわけないですよ」

 マルクは、村の人間に説明をして、明日からはシオン達にも、村の倒壊した建物の撤去作業を手伝ってもらう事を言った。
 そして、次の日の朝マルクは土砂崩れのあった場所に出向き、撤去作業を開始したのだった。
しおりを挟む
感想 99

あなたにおすすめの小説

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。 亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。 さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。 南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。 ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる

けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ  俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる  だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った

処理中です...