役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第5章 最強への道

27話 父デビットはまだ現役

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 父デビットは、マルクの魔法で完治してマルクを抱きしめた。母ステラも涙を流しマルクを抱きしめた。
 その様子をカノンとシスティナは見て感動していた。オウカとクレアはシオンの実家について行ったようだ。

 落ち着いたマルクは、カノン達を紹介した。

「父さん母さん遅くなってごめん」

「それでこの達は同じパーティーなのか?」

「うん。カノンとシスティナだ」

「「お義父様お義母様、マルクの妻です」」
「私がカノンと言います」
「あたしがシスティナと言います」

「「はっ?」」

 マルクが紹介した女性が妻と名乗り、デビットとステラは目が点になった。

「おい?マルクお前シオンちゃんとはどうしたんだ?」

「ちょっと落ち着いて!シオンもちゃんと一緒に帰ってきてるよ」

「そうじゃないだろ?なんで俺ができなかったのに、息子が三人も妻がいるんだよ!」

「いや、三人じゃ・・・・・・」

 そこに、シオンが両親の無事を確認できてマルクの家にやってきた。デビットは家にきたのが、シオン以外に又別の二人の女性がやって来た事が信じられなくて、マルクの肩を掴んで揺さぶった。

「どういう事なんだ?シオンちゃんだけじゃないのか?五人全員美人ばかりじゃないか!マルクばっかりずるいぞ!」

「お義父さんったら相変わらずですね。でも、マルクの妻はまだもう一人いて、王都でギルド受付嬢をやってますよ」

「な、な、な、なんだと!」

 マルクの父デビットが、言葉がどもったのも無理はなかった。ギルド受付嬢と一緒になれる冒険者はごく一部の人間だからだ。
 冒険者は、受付嬢を推し気に入った受付嬢から依頼の手続きをしてもらい、なんとか気を惹こうと頑張るが大抵は無駄に終わるのがほとんどなのだ。
 そして、王都の冒険者ギルドは王国本部のギルド職員は優秀な人間ばかりで、受付嬢も優秀な人間で冒険者からも憧れの存在である。その憧れの存在である受付嬢と結婚したとなれば、デビットじゃなくても嫉妬されるのは当然の事だった。

「と、父さん。落ち着いて・・・・・・」

「くっそぉ!息子に嫉妬する日がくるなんておもいもしなかったぜ・・・・・・」

「それくらいにしておいた方が・・・・・・」

「何を言っているんだよ!ギルド受付嬢と結婚できる冒険者はごく一部の人間だぞ?」

 デビットは、マルクの肩を揺さぶって力説していた。

「あ~な~たぁ~!あたしの前でいい度胸しているじゃない!あたしが不満だって言いたいの?」

「ひっ!」

 デビットは硬直して、ステラの方をゆっくり
向いた。その首の動き方は、魔力の切れたゴーレムのようにギッギッギッとぎこちない動き方だった。
 デビットが、ステラの方を見ると全身を炎に身を包み鬼の形相で睨んでいた。

「あなたは、あたし一人でいいと言ったじゃない!」

「そ、そうだよ!俺はステラ一筋だ」

「父さん・・・・・・それは無理があるよ」

「ば、馬鹿!お前は黙ってろ!父さんがどうなってもいいのか?」

 この世の中は一夫多妻・一妻多夫制であり、デビットがこのように焦る必要はないが、夫婦間で生涯お互い一人でいようと約束する夫婦の方が多いのだ。
 マルクのように一夫多妻ができる人間は、まず甲斐性がなくてはならないのだ。デビット達もエターナルという有名なパーティーだが、依頼人に寄り添い活動をしていた普通のCランクパーティーである。

「あなたはやっぱり、下半身不随のままの方が良かったかしら。フッフッフッ・・・・・・」

「ちょっと待ってくれ。俺が悪かった!浮気なんてしてないだろ?ちょっと、マルクが羨ましかっただけだから!俺が愛しているのはステラだけだから!」

「・・・・・・その言葉は本当ね」

「ああ!嘘じゃない!」

 すると、ステラの全身に纏っていた炎は消えた。それを見たデビットは、気が抜けたようにその場に膝をついたのだった。

こえぇ・・・・・・」

「父さん・・・・・・本当に変わらないね」

「うるさい。お前が悪いんだぞ」

「あなた!マルクのせいにしない!」

「はい!」

 ステラは、シオン達に笑顔を向け家の中に招き入れた。息子が嫁をたくさん連れてきて、ステラは大歓迎していた。

 そして、マルクは村の現状をデビットとステラから聞いた。

「そういえば、さっき父さん達がどうやって村に到着したって言ってたけどどういう事?」

「それがね。リーランの町からの東街道が通ってないのよ!そして、西の町に続く橋を崩れ落ちて、ここは今陸の孤島状態なのよ」

 ステラの説明を聞いて、この村の現状がわかってきた。唯一の救いは、この村には冒険者や商人が集まっていた事だった。
 以前にマルクが、村に城壁を作った事でリーランと西にある町を繋げる村に変わってきていて、村に人が増えていたのだ。
 その為、村に冒険者ギルド出張所ができる話も持ち上がっているほど、冒険者がこの村に立ち寄っていた。今は、行き場をなくした冒険者と協力をして、魔物や動物を狩って食糧の到達に尽力を注いでいたのだ。
 しかし、デビットのように怪我人も多く出て、ポーションでは治らない人間も多数いた。食糧の到達も尽力を注いでいたとはいえ、まだまだ少なくて、全員がストレスを抱えているのである。

「わかったよ。とりあえず、村長の所に行ってくるよ」

「マルク、又お前に頼る事になってすまん」
「本当にごめんなさい。そしてありがとう」

「僕は当然の事をしているだけだよ」

「「マルク!」」

「そうそう、父さんはまだ休んでいて、母さんは父さんの体力がつくように、これで料理を作ってあげてよ」

 マルクは、母ステラに食材を大量に渡した。ステラは自分達だけもらえないと言ったが、マルクは村の食材を大量に買い込んでいるから、大丈夫と言い遠慮せずに使えばいいと言った。
 そして、シオン達はステラと一緒に料理を作る事にしたのだった。マルクは、家から出て、村長の家に向かったのだった。
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