役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第4章 成長

53話 ワークス逮捕される

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 マルクがステファニーを救出した頃、マルクの屋敷ではワークスが訪問していた。

「今日はマルクさんはご在宅ですか?」

「主人は今は出掛けていますが、すぐに帰られると思いますので中でお待ちしますか?」

「それは都合がいい。中で待たせてもらう事にしよう」

「そうですか。それではこちらへどうぞ」

 セバスチャンはワークスを客室へと案内をした。そして、マルクが帰るまで帰らないように接待したのだった。

「それで今日はどのようなご用件で?」

「そんな事決まっておるではないか?マルクさんが所有しておる絵画を受け取りにきた」

「それでは、五千万ミストを支払うおつもりですか?」

 セバスチャンは、わざとらしくワークスに言った。しかし、ワークスもやらしい笑みを浮かべ牽制しつつとんでもない事を言うのだった。

「いやいや、マルクさんがワシにあの絵を贈呈してくれるのだよ」

「そのようなことは?」

 セバスチャンは、驚き目を見開いた時、マルクが一人で客室に入ってきた。

「そうですね。贈呈などありえないよ」

「いやいや、マルクさんは必ずワシにあの絵を渡す事になるよ。はっはっはっ!」

 ワークスは、シードからステファニーを捕らえたと聞いていたので余裕の笑みを浮かべていたのだった。

「ワークスさん。なんの根拠があってそんな事を?」

「あの絵は、今は亡きワシの大事な女性の絵なんだ!その絵を取り戻す為なら、ワシはなんでもするぞ」

 客室に入ってきたのは、マルクだけだった為セバスチャンはもちろんだが、シオン達もステファニーの救助はどうなったのか不安だった。
 救出していたならこの場に、ステファニーを連れてくるはずである。しかし、マルクだけで戻って来たという事は、ステファニーを見つける事ができなかったという事かと思っていた。

「その大事な絵は、あなたがもとの持ち主から奪ったみたいなものだろ?」

「はっ!ワシはあやつから正当に買っただけ。あやつは借金のかたに差し出したんだ」

「それもあんたが画策したんだろ?わざと300万ミストの借金を背負わせてな!」

「ふん!あやつが馬鹿なだけだ。ワシはあの絵だけでも手に入れたかっただけだ!それにあんな儲け話を信じる方が馬鹿なんだよ!」

「じゃあ、詐欺を認めるというんだな?」

「だからどうした?次はマルクお前の番だ」

「どういう事だ?」

「お前の大事に想っているギルド受付嬢は、ワシの手の中だ。どうだ悔しかろう?」

「何を言っている?」

「あの娘を無事返して欲しければ、ワシの大事な絵と交換してやってもよいのだぞ?さぁ!どうするのだ?」

「そんな事、どうでもいいよ」

「なっ!お前の大事な女をどうでもいいとは!本当に殺すぞ?」

「何か勘違いしているみたいだが、お前にステファニーはどうにもできないよ。それより自分の心配をするんだな」

「はぁ?いいのか?ワシの指示であの娘はどうにでもできるんだぞ?脅しじゃないぞ?本当に殺せるんだ」

「ステファニーは、お前にはどうにもできないよ」

「何を訳のわからんことを!」

「訳のわからんのはワークスお前だよ。ステファニー入って来て!」

 すると、この場にステファニーが入室してきたのだ。

「なっなっなっなっ!何でお前がこの場にいるんだ!」

 ワークスは、ステファニーの姿を見て焦りまくった。そして、ステファニーの姿を見て、シオン達も安堵したのだった。

「そんなの僕が助けたに決まっているだろ」

「ば、馬鹿な!」

「馬鹿はお前だ!ワークス!誘拐及び殺人容疑で逮捕する!」

 ワークスは、声のする扉の方をみると衛兵が槍を構えていた。

「何で衛兵が!」

「今までの会話は全部この耳で聞かせてもらったぞ!殺人未遂だけでなく、マルク殿を恐喝までしたな!」

「まっ待ってください!ワシがやった証拠は何処にあるのです」

「馬鹿な!今私が二人の会話を聞いたばかりなんだぞ?」

「あれは冗談です!どうしても絵が欲しいばかりに冗談を言っただけなんです」

「そんな事が通じるとでも?」

「じゃ、ステファニーさんだったかな?ワシの顔を知っているかな?誘拐したというなら、ワシの顔を知っているはずだよな?」

「ステファニーとやらどうだ?」

 衛兵の隊長がステファニーに、ワークスの姿をを見たかどうか聞いた。

「し・・・・・・知りません・・・・・・」

 それを聞いたワークスは、ホッとため息をついた。

「ぐぬぬぬ!しかし、先程の会話は!」

「あれは冗談ですよ」

「ワークス、逃げられると思っているの?」

「マルクさん、逃げられるも何も、先程の会話は全部冗談ですよ」

「本当にごまかせるとおもうのか?今ならまだ正直に話せば死刑にならずにすむぞ?」

 マルクは、ワークスに最後のチャンスを与えた。

「正直になるもワシにはなんの事やら?」

 マルクは、牢獄を使い中からシードを引きずり出した。

「シード!」

 ワークスは、思わず誘拐犯の名前を呼んでしまった。そして、シードはこの場でワークスの指示に従った事を自供したのだった。

「シード!何を言っておる!このワシを裏切るつもりかぁ!」

「ワークス!証人がいたら言い逃れはできぬぞ!おとなしく縄につけ!」

「ちっ、ちくしょう!」

 ワークスとシードは、衛兵に簀巻きにされて連行されてしまったのだ。
 そして、ステファニーは全部終わったと思い、マルクに抱きつき泣きながら謝っていた。

「マルクさん、本当にごめんなさい。私が足手まといになって大事な絵が奪われるところでした・・・・・・」

「僕は絵より、ステファニーの方が大事だよ」

「えっ・・・・・・」

「ステファニー、これからは一緒に暮らそう。僕が絶対に守るから安心してください」

「は、はい!」

 マルクの言葉に、ステファニーは返事をした。そして、シオン達はステファニーを歓迎して、その夜はパーティーとなりマルクの屋敷は一晩中お祝いムードだった。
 
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