役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第4章 成長

45話 ステファニー絡まれる

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 マルクとステファニーは服屋に入り、マルクはステファニーの服を選んでいた。ステファニーは、自分に自信がないようで、自分にはちょっと派手すぎるとか言っていた。
 今日、着ている服も似合ってはいるがどことなくシンプルだった。

「この服はどうかな?」

「こんな可愛らしい服はちょっと・・・・・・」

「そうかな?ステファニーに似合うと思うよ。じゃあこっちの服はどうかな?」

 ステファニーは、こんなにも人から誉められたことはなかった。最近では仕事で言い寄ってくる冒険者もいたが、興味がない為業務として動いているだけで、誉められていても話を聞いていなかった。
 ステファニーの興味は、マルク達暁月の明星だけである。

「そんなに誉めないで下さい・・・・・・対応に困ります・・・・・・」

「ステファニーはもっと自信を持った方がいいよ。ほら?こんなに可愛いく似合ってるよ」

「か!かわっ・・・・・・」

 ステファニーは、マルクの言葉にうつむいて顔が真っ赤になっていた。マルクも自分で言っていて照れていたが顔は真っ赤だ。
 マルクは本来こんな軽い人間ではない。全部シオン達のアドバイスである。シオン達もステファニーをよく見ていて、差別をされていたから自信が持てないと教えてくれていた。
 なので、ステファニーを誉めまくれと言われていたのだ。ステファニーはマルクの言葉は聞いているから、少しでも自信がつくようにアドバイスしていたのだ。

「で、でも私はこっちの服の方が・・・・・・」

「じゃあ、その服も買おう」

「へっ?」

「ステファニーは美人だから、何着ても似合うよ」

「び、美人!」

「すいませーん!この服全部下さい!」

「そんな、こんなにもたくさん服を買うお金なんてない・・・・・・」

「僕が買うから大丈夫だよ。プレゼントさせてよ」

「はい!毎度!お兄さん太っ腹だね」

「今着ている服はそのまま着ていこうか?」

「えっ!」

「女将さん、いいかな?」

「構いませんよ。よくお似合いです」

 店主の女将さんは、マルク達が上客で笑顔で対応してくれた。

「お会計してくるから、ここで待ってて!」

「あっ・・・・・・」

 マルクはステファニーの制止も聞かず、会計を済ませてしまった。

「お兄さん、これから彼女と食事にいくのかい?」

「えっ?」

「だったらアクセサリーもいかがですか?食事が落ち着いたらプレゼントなんかしたらいいですよ」

 店の女将は、マルクの足元を見てアクセサリーを勧めてきた。

「わ、わかったよ。商売上手だなぁ」

「毎度ありぃ~~~~~」

 マルクは、女将勧められた指輪も購入した。その指輪はステファニーに似合う小振りのエメラルドが光っていた。

 ステファニーは、服屋の前でマルクを待っていた。今まで着ていた服とは違って、通りすがりの男性達はステファニーを見ていた。
 
「おっ!あんな美人初めて見るな」
「しらないのか?」
「お前知っているのか?」
「冒険者ギルドの受付嬢だよ」
「あんないたか?」
「最近、人気急上昇中のハーフエルフだよ」
「まじっ?」

 服屋の前に立っているだけで注目を集めていた。

「こ、声かけようかな」
「やめておけって!どう見ても人待ちじゃねぇか」
「でもあんな美人、そう滅多に・・・・・・」

 そう言って、勇気の出ない周りの男性達が話していると、昼間から飲んでいたであろうゴロツキのような冒険者が三人、ステファニーに絡み出した。

「おっ、ねぇちゃん!ひっく!美人だなぁ」
「俺達の飲もうぜ」
「奢るからよぅ」

「や、やめてください・・・・・・」

「そんなこと言うなよ。ひっく!」
「俺達とイイコトしようぜ」
「なぁ、こっちにこいよ!」

「ひっ!」

 ステファニーは、酔っぱらいに腕を捕まれてしまい、周りに助けてもらおうと周りを見渡した。
 しかし、周りの人達は視線をはずし巻き込まれないように、遠巻きに見ていただけだった。

 やっぱり、私がハーフエルフだから誰も助けてくれない・・・・・・・ステファニーは、目に涙を溜めて恐怖で声も出せずにいた。
 そして、ステファニーは酔っぱらい達に腕を引っ張られ、その場から連れ去られそうになった。

「待て!そのの手を離せ!」

「「「ああん!誰だ!」」」

「そのは僕の連れだ!」

「ガキが粋ってんじゃねぇ!」

 酔っぱらいの一人が、いきなりマルクに殴りかかってきた。マルクはため息をつき、酔っぱらいの拳をよけて足を掛けた。

「うおっ!」

 酔っぱらいは、足元がふらふらで盛大にスッ転んでしまった。気絶してしまった。

「もういいだろ?お前達では僕に勝てないからさっさと失せろ!」

「このガキが!」

 そして、ステファニーを捕まえていない酔っぱらいは、頭に血が上り腰のものを抜いたのだった。

「マルクさん!逃げて!」

「へっ?マルクだと!」

 ステファニーの腕を捕っていた酔っぱらいは、マルクと言う名に血の気が引き、酔いが一気に覚めガクガクと震え出した。そして、剣を抜いた仲間を止めに入った

「お、おい!や、やめろ!あいつに手を出したら駄目だ!」

「な、なんだよ?おい!お前はムカつかねぇのかよ!」

「よく見てみろ!あいつはマルクだ!暁月の明星のリーダーだよ」

「よく僕だとわかったね。さて、この落とし前はどうつけるつもりだ?」

「「す、すいませんでした!」」
「俺達酔っぱらって、わけわからなかって?マルクさんだとわかってたらこんなことしません!」

 酔っぱらいの二人は、マルクに土下座して謝罪した。

「僕に謝ってどうすんだよ?」

「「へっ?」」

「ステファニーに謝るのが筋だろ!」

「「は、はい!申し訳ありませんでした!」」

 酔っぱらいはステファニーに向き直り、何回も土下座を繰り返した。

「今回は酔っぱらいのたわごととして目をつむる」

「「あ、ありがとうございます!」」

「じゃ、さっさとそこで気絶しているやつを連れていけ!」

「「はい!申し訳ありませんでした!」」

 二人は、気絶した仲間を担ぎ上げ、物凄いスピードでこの場からいなくなってしまった。
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