役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第4章 成長

37話 デミリッチの防御

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 ネクロマンサーは、闇ギルド総帥が死んで闇ギルドはもう終わりだと思い、その場から逃げ出した。

『貴様、どこにいくつもりだ?』

 デミリッチは逃げようとしたネクロマンサーを拘束した。

「は、離せ!ここにいたら死んでしまう!」

 デミリッチはネクロマンサーに顔を近づけた。ネクロマンサーは、デミリッチの魔法で身動きできない状態だった。

「な、何でデミリッチ様に顔が・・・・・・」

『ハハハハハハ!これぞ、我の研究成果だ!見てみろ!』

 デミリッチには、顔だけではなく手にも筋肉組織のようなものができていた。ただ、組織は半透明で骨も見えていた。デミリッチは、今まで魔法で俊敏な動きを可能にしていた。
 しかし、研究成果は下僕の負の感情を吸収して、自分の肉体を作り出しレベルアップする事だった。

「こんな化け物放ってはおけないな!」

『ハハハハハハ!お前達、下等生物は我の研究の実験材料でしか役に立たん』

「何が実験材料よ!お前こそずっと引き籠ってなさいよ」

 シオンは、デミリッチに斬りかかった。しかし、シオンの剣は確かにデミリッチを斬りつけたのだが手応えがなく空を斬った。

「な、何で?て、手応えが・・・・・・」

『ハハハハハハ!主に我は倒せぬ!しかし、我の攻撃はこの通りよ。シャドーカッター!』

「きゃっ!」

 デミリッチは至近距離のシオンに、シャドーカッターを放った。シオンもとっさに体をひねり、シャドーカッターを避けたが頬を少し切った。

『ほう!よく避けたな。誉めてつかわす』

「デミリッチ様!その調子です!」

『主には、召還してくれた事を感謝をしよう!』

「で、では、この拘束を!私もデミリッチ様と戦います」

『その命でな!』

「ぎゃあああああああ!」

 ネクロマンサーは、デミリッチの拘束に潰されてしまった。影のようなものが簀巻き状態になり、その影がネクロマンサーを覆い潰してしまったのだ。

『ようやく鬱陶しい人間がいなくなった』

「あなた!仲間を簡単に裏切って!」

『ハハハハハハ!仲間だと?我が下等生物を仲間?片腹痛い冗談を言うな!人間は我の研究材料に過ぎん!』

「何て事を!」

『要は人間は使い捨ての木偶人形よ。ハハハハハハハハハハハハ!』

 デミリッチは、闇ギルドの事はもうどうでもよくなっていた。現世に出てこれたおかげで、好き勝手できると思っていたからだ。

「よくしゃべる骸骨だな!」

『お?また怒りに身をまかせて、主がかかってくるのか?』

「もう、お前の下僕はいない!吸収できない」

『ほう!よくわかったな?しかし、下僕はレベルアップに必要なだけだ。主達を倒すのは、蟻を潰すより簡単な事よ』

「それはどうかな?」

「マ、マルク、あいつに攻撃できない!」

 システィナも、離れた位置から矢を放っていたが全部すり抜けていた。カノンの槍も手応えがなく、デミリッチの体には、一切ダメージを与えられなかった。
 
『ハハハハハハ!愉快愉快!最初から無謀だったのだ!私はすでに神の領域にある』

「神の領域?そ、そんな・・・・・・」
「マルク、どうすれば!」
「そうだよ!ダメージが与えられなければどうしようもないよ!」
「くっ!矢も素通りする・・・・・・」

 デミリッチは、余裕で構えシオン達の攻撃を好き放題させていた。

『さて、この状況も飽きてきたな。主達は闇ギルド総帥より良い下僕になりそうだ』

 その言葉を聞き、シオン達は一斉に引いた。

「マルク!」

「まあ、みんな落ち着いて!時間を稼いでくれたおかげで魔法ができたよ!」

 魔法ができたと聞き、シオン達の不安はなくなったようだった。

『ふはははははは!魔法ができただと?馬鹿を申うすな!』

 デミリッチが馬鹿にするのも当たり前である。魔法を作るとなれば研究に研究を重ねて、早くても十数年の年月をようするからだ。
 デミリッチも元は高ランクの魔法使いで、魔法の研究の為に不老不死となり魔法を作り出したのだ。
間違っても戦闘中に魔法を作り出すことなど不可能なのだ。

 マルクは、デミリッチにダメージが通らない原因を、神眼で探っていた。そして、その原因はとんでもない物であり、デミリッチの言うように神の領域にあるものだった。

「確かにデミリッチ!お前の防御はたいしたものだね。人間には手出しは無理だろうね」

『我が防御術がわかったと申すのか?』

「ああ、完璧にね。お前の防御はアストラル次元と同時に存在している」

「ふん!よくぞ見破ったな。しかし、わかったところでどうしようもあるまい!」

 マルクの言った、アストラル次元とはサイキックオークと同じ超能力を使うマインドフレイヤがいる次元である。
 人間には、理解しがたい生命体が存在する世界だ。

「マルク!アストラルって何?」

「分かりやすくいえば、別次元の化け物って事だね。ゴーストやレイスは知っているだろ?」

「うん。半透明のアンデッドでしょ?ダメージが通り辛いから面倒なのよね」

 シオン達は、アンデッドの中でも付与魔法がないと倒し辛いアンデッドに辟易した。

「あいつ等は、エセリアル次元に存在するアンデッドなんだ」

「「「「「そうなの?」」」」」

「そう、エセリアルはこの次元の隣に存在していて、その向こう側にアストラルがあると思ってくれたらいいよ」

「そんな世界が!」

 シオン達はマルクの説明に、頭がパンクしそうだった。

『ほう!人間にしてはよく知っていたな。敢闘賞ものだ!しかし、それがわかったところでどうしようもあるまい!主達の命運は尽きたようなものだ!』

 デミリッチは、勝ちを確証して大笑いしていた。
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