役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

文字の大きさ
上 下
123 / 361
第4章 成長

36話 研究結果

しおりを挟む
 部屋には、デミリッチの頭蓋骨の音がこだましていた。

『クッカッカッ!研究がここまで進んだのも愚かな闇ギルドのおかげだ!』

「我々が役に立てた事は至上の喜びです」
「我らも、デミリッチ様のお役に立てるように精進いたします」

 ヤンゴン達斥候部隊も、デミリッチの下僕へと成り下がってしまった。
 その時、デミリッチの部屋の外が騒がしくなってきた。

 時は少し遡り、マルク達は闇ギルドのアジトをどんどん制圧していた。

「ここをどこだと思っているんじゃあ!」
「死ねぇ!」
「くそがぁ!」

「知らないわよ。あえていうなら、あなた達は社会のゴミ!」
「あたし達が掃除しにきたのよ!」
「ありがたく思いなさい」

 シオン達は、闇ギルドの人間を躊躇なく叩き斬った。シオンはもちろんだが、カノン達も盗賊やアサシンにはもう遅れをとったり油断はなかった。
 マルクが指示を出さなくともクレアが周りを注意出来ていたからだ。マルクは、魔法使いとして役目に徹していた。

 ネクロマンサーは、デミリッチの部屋に逃げ込んだ。

「デミリッチ様!我らに力をお貸しください。闇ギルドは風前の灯火です」

『何事だ。騒がしいぞ!我は研究が忙しい』

 デミリッチにとって、自分の研究が第一である。侵入者はどうでもよかったのだ。

「このままでは闇ギルドがなくなってしまいます」

『なんだと?それは少し不味い状況だな』

 デミリッチの話し方が、少しずつだがスームズになっていた。代わりに、ヤンゴン達がやつれているようだ。
 ネクロマンサーは、デミリッチの後ろに闇ギルド総帥の姿を見つけてギョッとして驚いた。

「そ、総帥ではありませんか?何でこのような所にいるのですか?避難したはずじゃ!」

「余はデミリッチ様の側にいる。ここが闇ギルドの拠点である」

『クハハハハハ。その通りである。我は研究が進み気分が良い。力を貸してやろう』

 ネクロマンサーは、眉をひそめたがデミリッチがあの侵入してきた冒険者を撃退してくれると言ってくれて、ホッと胸を撫で下ろした。

『お前達ついてくるのだ』

「「「「「「はっ!」」」」」」

 ヤンゴン達と同じように、下僕となったSランクの冒険者が現れた。Sランク冒険者は、森に調査依頼を受けた冒険者達である。

 デミリッチが、部屋から出ようとした時、扉が勢いよく開いた。

「ここにいたのね!やっと見つけたわよ」

『クハハハハハ!飛んで飛び込む夏の虫とはこの事だな。お前達かかれ!』

「「「「「はい!デミリッチ様」」」」」

「あなた達なによ!冒険者が何でデミリッチの言いなりになっているの?」

 面を食らったシオン達は、なんとか冒険者の剣を弾きかえした。

 俺達の意思じゃないんだ!俺達はもう助からん殺してくれ!

 冒険者達は、なにも言えないデミリッチの木偶と化していた。ただ、デミリッチの下僕となり命令を聞く木偶人形だった。

「シオン!そいつ等はもう助からない!」

「で、でも!ヤンゴンさんまでいるんだよ」

(クハハハハハ!そのまま共倒れになってしまえ!冒険者の負の感情を下僕達が吸収しておるわ)

 デミリッチの研究は、人間を木偶人形化して人間の負の感情を吸収する事にあった。
 当然、下僕にした人間の意識をはっきり持たせる事で、下僕にした人間の負の感情をもデミリッチは吸収していたのだ。

 シオン達は、顔見知りに躊躇して防戦の一方である、マルクはシオン達の気持ちは分かるが、今回ダンジョンでのレベルアップをしたが、割りきる精神が育っていないと反省した。
 マルクは、ヤンゴン達を神眼で鑑定をしたが、治すには神聖水が必要とでた。
 ヤンゴン達は、すでに死亡している。意識を呪術で肉体に固定しているだけである。ゾンビとはまた違うが生きる屍だ。そして、負の感情をデミリッチに送る触媒みたいなものだった。

 神聖水なんか手に入らないな・・・・・・

 マルクは、ヤンゴン達に向かってファイヤーフェザーを撃ち込んだ。ヤンゴンと冒険者達は一瞬で燃え上がり焼失してしまった。

「マルク!何で撃ったの」

 シオンはマルクに詰め寄った。しかし、マルクはデミリッチを睨み付け、シオンを怒鳴った。

「今はそんなこと言っている場合か!敵はデミリッチだ!」

 シオンは、マルクに怒鳴られ前を向き直した。シオン達の前には、デミリッチと闇ギルド総帥、ネクロマンサーの三人だけだ。

『クハハハハハ!主は賢いな。奴等はもう治らんからな。だが、我にはもう必要はない。人間はいくらでもいるからな』

「お前!」

 マルクの怒りは、闇ギルド総帥からデミリッチに流れ込んでいた。

 クハハハハハ!もっと怒れ。そうすれば我は強くなれる。デミリッチは負の感情を食べていた。

 マルクは、神眼でデミリッチの研究がどういうものか理解して怒りをおさめて笑顔になった。

「みんな、怒りをおさめて!」

「「「「「何を言って・・・・・・」」」」」

「説明している時間はない!僕を信じて」

『な、なんだと?』

 デミリッチは、マルクが怒り抑えて笑顔になった。それを見たデミリッチは驚愕した。何で、自分の研究がわかったのか理解出来なかった。

「システィナ!闇ギルド総帥を撃ち抜け!」

「は、はい!トルネイドショット!」

 システィナは、マルクの指示に従い、闇ギルド総帥に矢を撃ち込んだ。

「ぎゃあああああ!」

 闇ギルド総帥の体は、システィナのトルネイドショットを受け、螺切られてしまった。

『まだまだ下僕は改良の余地がありそうだ』

「ひっ!」

 デミリッチは、闇ギルド総帥が死んでも余裕で見ていた。そればかりか、自分の研究の下僕があまりにひ弱という結果が知れて喜んでいるようにも見えた。

しおりを挟む
感想 99

あなたにおすすめの小説

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。 亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。 さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。 南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。 ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる

けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ  俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる  だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った

処理中です...