役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第4章 成長

23話 考え方を改めるカノン達

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 マルク達は、順調にダンジョン攻略を進めて最短距離で、地下21階層に到着した。
 ここからはAランク冒険者でも辛い階層となり、慎重なAランク冒険者は20階層までで先は進まないようにしている。
 当然の事だが、18階層辺りで同業の冒険者にそれ以上先に進まないようにと注意されたが、マルクの姿を確認したとたん、余計なお世話をしたと反対に謝られた。
 冒険者達の間でマルクに絡む人間は相当モグリであり、王都の闇ギルドを壊滅した立役者に忠告など必要などなかった。

「マルクも有名人になったものね」

「うん。雷神だった時では考えられないよね。自力でもそう思うよ」

「だけど、そんなマルクでもここからは気を抜けないわね」

「そうだね。ここからの階層は気を引き締めて行こう」

「「「「えっ今まで気を抜いてたの?」」」」

「マルクは、カノン達に任せてたじゃない。当然だけど、ここからはあたしも戦闘に参加するからね」

「シオン、私達に気を抜くなと言っていたじゃないか?」

「まぁまぁ、カノン今までの階層でシオンが手を出すと、カノン達のやることはなくなるんだよ?」

「それはわかるんだが・・・・・・」

 真面目なカノンは、ちょっと不満げだった。

「それに、今までの階層でカノン達もどう動いたらいいか?実践して感覚がわかってきたんじゃないか?」

 シオンは、今まで手出しはしていなかったが、カノン達のサポートはしていた。カノン達が危ない所では、シオンが動きピンチにならないでいたのだ。

「まぁ、カノン達もこの階層からシオンの動きを見てたらわかるよ。ここからの魔物は、付与魔法だけでは通用しないからね」

「どういう事?」

「システィナは、今までの階層で後方からの攻撃していて、カノン達の戦いはどう思った?」

 システィナは少し考えて口を開き、遠慮せずに感想を述べた。

「たしか、10階層ではカノンとオウカは魔物の動きを見れていたけど、19階層からは見切れていない感じだったかな?」

「「システィナ!」」

「きゃっ!何よ。あたしは正直な感想を言っただけじゃない」

「前衛で戦うスタイルなんだからしょうがないじゃないか!」
「そうだ!見切れていない訳じゃない!」

 カノンとオウカは、遠距離攻撃の戦い方とは違うと反論した。

「それはそうかも知れないけど、さっきも結構な怪我をしてたでしょ?影からシャドーウルフに噛まれたじゃない!」

「あんな怪我、大したことはない!」

「ストップ!カノンここからの階層はそんな考え方はしに繋がるから改めてほしい」

「しかし、近距離攻撃の前衛は普通じゃないか?」

「それはそうかも知れないが、その考え方はBランクまでだね。ここからは回避力も上げていかないと駄目だよ」

「そんな事を言われても」

「だから、最初はシオンの動きを見ていてほしいんだ。ここからは魔物の攻撃を受けて耐えるんじゃなく、できるだけ回避して駄目だった場合、僕の魔法で回復するスタイルを徹底してほしいんだよ」

「そんな事が・・・・・・」

「まぁ、カノン達はとりあえず見ててよ」

「「・・・・・・」」

 カノン達は、21階層へと降りてマルクの言った意味がわかった。ここからの魔物は、付与魔法で攻撃力を上げただけでは無理だった。
 マルクの言った通り、魔物の攻撃を受けるんじゃなく回避していかないと状態異常となり、すぐに戦闘不能となってしまうのだ。

 出現する魔物は、今まででて来なかったエレメンタルでポイズンやアッシュは序の口でリーパーという、半透明の大鎌を振るう死神のような魔物が出現する。
 この鎌で斬りつけられると、出血・毒・スロー状態になる。こうした魔物ばかりで、シオンはその魔物の攻撃のほとんどを回避して、回避しきれない攻撃は盾で防いだ。
 そんな神業とも言える防御術にもダメージを与えてくる魔物が、ここ21階層の魔物がでてくるのだ。ダメージを与えられたシオンを、マルクがすかさず状態異常をクリアランスという魔法で正常状態に戻すのである。

「これは・・・・・・」
「あたし達じゃあ役不足だ・・・・・・」

「二人とも落ち込む必要はないよ」

「「マルク・・・・・・」」
「そんな事言ってもあれは無理だ」

「そんな事思う必要はないよ」

「「シオン」」

「あたしだって、最初からできたわけじゃないんだよ。これができるようになるためにここでレベルアップするだからね」

「そういう事だね」

「「だけど、あの動きは!」」

「マルクと話していたんだけどね」

「そうそう!」

「「マルクと話していた?」」

「そうなんだ。僕達は自分で言うのもなんなんだがランクにしたら強いと思う。だから、君達には僕達のレベルに近づいてもらいたいんだよ」

「「もらいたいって言っても!」」

「だけど、カノン達は僕達と一緒にパーティーを組みたいんだろ?」

「「「「うん!」」」」

「だろ?だから、カノン達は成長してほしいんだ。僕達はサポートをちゃんとするが、カノン達の考え方を直さないと本当に危険だからね」

 カノン達は、マルクのいう事は当然の事だと理解した。シオンのような戦闘をマスターしないと危険だからだ。
 それに成長しないと、マルクとシオンにいつまでもおんぶにだっこでは、暁月の明星で活動はできないからだ。
 
「わかった!私はシオンの戦闘をマスターしてみせる!」
「「「あたしも!」」」

 覚悟を決めたカノン達は、クレアを先頭に気合いを入れ直し、ダンジョンを攻略し始めた。
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