役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第4章 成長

9話 アサシンになった理由

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 マルクは、シオン達と屋敷で話し合いをした。

「マルク!一体どういう事なの?あの首狩りは、アサシンであたし達を殺そうとしたじゃない!」

「本当にごめんなさい。だけど、僕は首狩り、いやカエデが本当に不憫に思えてしょうがなかったんだよ」

「「「「「「不憫って?」」」」」」

 マルクは、カエデを鑑定した時にスキルに暗殺がある事を明かした。そして、自分はシオンや両親がいて良かったが、カエデは別の意味で苦労してきたのではないかと伝えた。
 その意見を聞いても、アサシンを引き取る事はないとシオン達はマルクに反対していた。

「だけど・・・・・・暗殺ってスキルを授かって、カエデは行き場をなくしてしまったんだよ?」

「だから、なによ?マルクには関係ないじゃない!違う?マルクが首狩りを引き取る必要性がどこにあるのよ?」

「だけど・・・・・・」

「今ならまだ間に合うわ。引き取れば必ず厄介事が起きるわよ」

「そうなるだろうね」

「だったら!」

「だけど、僕のわがままを聞いてほしい!絶対みんなには迷惑をかけないようにするから!」

 マルクは、シオン達に頼み込んだ。そして、最後はシオン達が根負けして、マルクの言う事を聞く形となった。

 カエデは拷問をされなくなって、兵士達はカエデから闇ギルドのアジトの情報を聞き出す事が難しいと判断し、カエデをマルクに引き渡す事にしたのだ。 
 
「マルク殿、首狩りから情報を聞き出す事が難しくなったので首狩りの奴隷契約をしてください」

 奴隷契約をすると、首狩りはマルクの財産となり兵士達もそう簡単に手を出すことはできなくなる。
 兵士達が、首狩りをマルクに引き渡す事にしたのは、闇ギルドの情報を聞き出すのを諦めたわけではないからだ。

「ありがとうございます」

「それでマルク殿、確認したい事があるのですがよろしいですか?」

「あっ、はい?」

「この間屋敷の方に不法侵入したアサシンも引き取るおつもりですか?」

「あっ、ああ!あのアサシンは奴隷にするつもりはないのでお好きにどうぞ!」

 兵士達は、マルクが屋敷に忍び込もうとして三日間庭に放置されていたアサシンから情報を引き出そうと思っていた。
 マルクがあの五人のアサシンはいらないと言ったので、今度はあの五人に絞ったのだ。

「でも、あの五人のアサシンと首狩りとでは、どこに引き取る決め手になったのですか?やはり、幻のアサシンと言われたからでしょうか?」

「アサシンの腕は関係ないですよ。あの五人は人殺しを自ら進んでやっていたからだよ」

「首狩りは違うと言うのですか?」

「多分ね・・・・・・」

 マルクの鑑定は、カエデは神聖の儀で授かったスキルだが、庭に放置されていた五人のアサシンは、ノーマルスキルで暗殺が(AやB)にまで成長していたので引き取るのをやめたのだ。
 暗殺スキルがAにまで育つとなると、相当な数の暗殺をこなしたことになる。そんな人間は処刑された方が世のためだと、マルクは思ったのだ。

 カエデは、マルクの屋敷に連れてこられていた。当然すでにマルクの犯罪奴隷としてである。

「カエデ、これからはここが君の家だ」

「なんで私を奴隷にしたのだ?それに私の名前までなぜ知っている?」

「僕のスキルは特別でね。カエデのステータスが解るんだよ」

「・・・・・・そんな事信じろと言うのか?」

「まあ信じなくてもいいよ。カエデのアサシンとしてのスキルは興味はないけど、偵察としてのスキルは買っているからね」

 カエデは目を見開いた。マルクには、本当に全部把握されていたからだ。レアスキルは鑑定では看破でもわからない。霞隠(A)を持つ自分のステータスは看破以上のスキルが必要なのだ。

「まぁ、しばらくは屋敷で警備をしていてほしい」

「なんで私が!」

 すると、カエデの首にある奴隷紋が反応して絞まり始めた。そして、体にライトニングがほとばしることになる。
 カエデは犯罪奴隷であり、ゴーダの時のように借金奴隷ではない。ライトニングの威力も強いのである。主人であるマルクには絶対服従が基本なのだ。

「ぐはっ・・・・・・」

 カエデはその場に倒れてしまった。

「マルク、ゴーダの時のように厄介になるよ?」

「シオンごめんな。もう少し様子を見てやってほしい」

「なんでそこまでカエデに執着する方の?」

「僕達の役に立ってくれるからだよ」

「厄介事じゃなくて役に立つの?」

「まぁ、僕達の事を・・・・・・いや、カエデが他人を信じてくれたらだけどね。こればかりは時間をかけないとどうしようもないけどね」

「他人を信じてないのか?」

「カノン達も、帝都にいるときはそうだったんじゃないの?」

「「「「そ、それは・・・・・・」」」」

 カノン達も、帝都にいるときはヒューマン族を信じていなかった。当然である。人至上主義国家では何かと差別されるため王国領へとやって来たのだから。

「カエデはスキルのせいで、故郷の人間に裏切られたと思うよ」



 カエデは、神聖の儀で暗殺(S)を授かって両親からも裏切られたのである。カエデは、村の人間から暴行を受け、村を逃げ出した。
 七歳の子供が暴行を受け村を逃げ出したら、魔物に襲われてもおかしくはない。しかし、村からふらふらになりながらもなんとか逃げ、森を何日もさまよい毒草の群生地を見つけたのだ。
 毒のエキスパートになっていたカエデは、猛毒を作り野生動物を狩り生き延びた。カエデはこの事は運が良かったといえよう。

 父さん母さん、なんで私を・・・・・・そして、村のみんなも、なんで私のスキルを知っているの?

 カエデは、村の人間が自分のスキルを知って、自分を殺そうとして来たことで必死に逃げ出した。
 
 誰も知らないはずなのに・・・・・・知っているのは司祭だけ!

 カエデは、この時自分が売られたんだと思い、復讐を誓った。カエデは傷を治して変装をして村に近づき、猛毒を使って村の人間の一人を殺した。
 村では、畑仕事をしていて他人に会うことはまずないのだ。暗殺スキルを持つカエデにとって、村人一人片づけるのは簡単だった。
 そして、カエデは殺した村人を隠し、その村人に変装をして村の人間を全て殺してしまった。

 そして、最後に自分のスキルを村の人間にばらした司祭は、他の村に神聖の儀に訪問したところで、暗殺されてしまった。

 こうして、信じられるのは自分だけと思い、カエデはアサシンになった。

 

 
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