役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第3章 嫁

30話 救出!

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 マルクの部屋に、シオンとセバスチャンが慌ただしく入ってきた。

「マルク、大変よ!」

「うわぁ!なんだ?」

「カノン達がまだ帰って来ないの!」

「もうすぐ日が暮れるよ?当分は日帰りできる依頼をするんじゃなかった?」

「ええ!カノン様も晩御飯を楽しみに出ていかれたので、帰らないはずは・・・・・・」

「シオン、カノン達は何の依頼を受けたかわかるか?」

「確か、昨日オウカがオーガを狩るって」

「って事は東の森か!」

「マルク、どうするの?」

「探してくるよ」 

「でも、日が暮れるのにマルクまで危険になるじゃない・・・・・・」

「本当にそう思う?」

「ごめん。マルクが危険になるじゃ世界が滅びるような事が起きるわね・・・・・・じゃ行こうか」

 シオンがマルクと出発しようしたら、セバスチャンが驚き慌てた。

「ちょっ、ちょっと!シオン様!何を言っているんですか?」

「セバス、大丈夫だから。マルクが本気出せばあんたより強いし、何よりカノン達もすぐに見つけて、いや、もう見つけているよ。ねっマルク?」

「ああ、東の森の洞窟にいるみたいだ。盗賊達に捕まっているみたいだね」

「ご主人様!本当に見つけたのですか?」

「ああ。そんな事は余裕だよ」

 マルクは、カノン達を世界地図のスキルでサーチしてどこにいるか、また周りの状況まで把握していたのだった。
 その事実を知り、セバスチャンは絶句すると共にとんでもない主人に買われた事を理解した。

「じゃ、行ってくるよ」

「あたしも連れていってよ!」

「わかってるって!セバス達は晩御飯を食べてていいからね」

「ご主人様より先にいただくことはできません!それより、無事にお帰りください」

 セバスチャンは、紅の訓練に付き合って盗賊に遅れをとるような訓練はしていなかった。なのに、盗賊に捕まっていると聞き、主であるマルクに申し訳なかった。

 マルクは、屋敷の中庭に出てフェニックスウィングを唱えた。それを見てセバスチャンやララベルは目を見開き絶句した。

「ご、ご主人様!それはいったい・・・・・・」

 「まあ、帰ってから説明するよ。いってきます」

 マルクはシオンを、お姫様抱っこすると炎の翼を広げると宙に浮いた。

「「「「「なっ!」」」」」

 セバスチャン達は、フライの風属性魔法のレアスキルは知っていたが、マルクのそれは今までの常識と違い火属性魔法だった。
 そして、セバスチャン達はマルクがいなくなった宙にを見上げ言葉を失っていた。

「マルク、カノン達は本当に盗賊に?」

「うん、間違いないね。洞窟の出入口に盗賊が見張りをしているよ」

 マルクは、あっという間に盗賊のアジトにたどり着いていた。空中からマルクはシオンを抱き抱え見下ろしていると、盗賊達が見張りをしている。

「あそこに、カノン達が?」

「みたいだね。世界地図にはカノン達の反応があるよ。じゃあ行くよ!」



 時は、少し遡りカノン達は、あっという間に盗賊集団に囲まれてしまった。

「くっ!き、貴様はザックか!鉱山送りになったんじゃなかったのか?」

「ワハハハハ!私はお前達に、仕返しできるとは嬉しい誤算だ!なぜ、私が奴隷に落ちて鉱山送りにならなかった意味がわかった!」

「き、貴様は・・・・・・」

 ザックが、カノン達に向かって勝ち誇った。ザックはただ、盗賊達と誘拐をしようと森の中を徘徊していたところ、カノン達に遭遇したので嬉しい誤算だったのだ。

「亜人共、武器を捨てろ!蜂の巣にされたいのか?」

 周りの盗賊達は弓を絞る。それを見て、カノン達は武器を足元に置いた。それを見たザックは、やらしい笑みを浮かべ、部下の一人にカノン達の武器を回収させた。

「ザック!こいつらの武器、とんでもないいい武器だぜ!この武器だけでも大儲けだぜ!」

「「「「くっ!マルクからの・・・・・・」」」」

 武器を奪った盗賊達は、カノン達を縛り上げてしまい。洞窟のアジトに連行した。

「あたし達をどこに!」
「あたしにさわるな!」
「いやっ!」
「くっ・・・・・・」

「やかましい!お前達は奴隷に落として売られるんだよ!」
「言わなくとも分かるだろ?」
「その前に、俺達が楽しませてもらうか?ゲヘヘへへへ」

 カノン達は、盗賊達の顔を見た瞬間身の毛が走った。

「暴れるな!早く歩け!」

 カノン達は、後ろ手で縛られ足は四人で繋がれ逃げる事が出来ず、盗賊達のアジトに連れていかれ、鉄格子の中に入れられた。

 アジトに着くなり、盗賊の一人がカノンに襲いかかろうとしたが、ザックがそれを止めた。

「ザックの旦那!なんでだよ?」
「そうだぜ?こんなやつら襲っても」

「こいつらの容姿を見てみろ?亜人としては上玉だ。傷ひとつつけず奴隷商に売れば高く売れる」

 カノン達は、マルクに救われたといって良かったのだ。毎日のように、美味しい料理を出され風呂にも入っていたおかげで、町でも男性が振り返るほど健康で美しくなっていた。

 ザックは、それを見てナガレス商会の為に少しでも高く売れる決断をしたのだった。盗賊達は、不満を露にしたが商会長のナガレスの奴隷なので、ザックの意見に渋々したがったのだ。

 そして、カノン達は幸運だった。奴隷の仮契約をする隷属の首輪がなかった事だ。取り寄せるのに時間がかかったのだ。
 明日には届き、首輪をはめられれば終わりだが、日帰りのはずが帰らない事で救われる事になる。

「カノン。あたし達が油断してごめん・・・・・」
「カノンの言う事を聞かなかったから」
「うっ・・・・・・」

「今さら、そんな事を言ってもしょうがないだろ?それよりこの状況をなんとかしないと!」

「武器もないのにどうやって?」

「それを考えるんだ」

「お前達は、もう終わりだ。明日には隷属の首輪が届く!諦めろ!明日には闇ギルドの奴隷商に売られる事になるんだよ」

「ザック!貴様は!」

「ワハハハハ!本当に愉快だ!私の気分が晴れるおもいだよ!」

 その時、アジトが騒がしくなってきた。入口の方で叫び声が聞こえて、盗賊の一人が慌てた様子で駆け込んできた。

「敵襲だぁ~~~~~~~~~~~~~!」

 カノン達は、一部の希望に賭け笑顔になっていた。
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