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第3章 嫁
8話 マルクの勝利
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マルクは訓練場の中心で、ゴーダと向かい合っていた。周りの観客席には、賭けに参加した冒険者達が興奮していた。
「ゴーダ!負けんじゃねぇぞ」
「こちとら、今日の依頼報酬賭けたんだからな」
「俺は坊主に賭けたぜ!坊主頑張れよ」
観客席から見ている冒険者達からすれば、一種のお祭り騒ぎだが、当人達はそうではない。負ければ莫大な資産を失い、借金を背負う可能性がある。 ゴーダに至っては、賭けるものがなくて負けたら奴隷落ちである。
そして、この決闘は建前上、相手を殺さないようにとなってはいるが、実のところ何でもありだ。
決闘試合が始まれば、審判はすぐに観客席に移る形になるので、殺し合いと言ってもよかった。
「マルクさん、とりあえず勝てたらゴーダさんを奴隷に落とす形になっていますが、手加減はしないようにしてください」
「なんで?手加減しないとあいつ死んじゃうよ?」
「実は、負けた時の条件で自分を担保に入れた方がいいのですよ」
ステファニーは、この決闘は真剣勝負で殺し合いになることを伝えた。担保に入れた方は怪我をしにくい。相手は怪我をさせた場合、奴隷に落とした時治療費は自分持ちになるし、殺してしまえば奴隷として売れなくなるからだ。
しかし、相手は負けたら奴隷に落ちる事で必死に攻撃してくるので、こちら側がどうしても不利になる事を言ってきた。
「手加減したら殺されますからね」
「ステファニー!要らんことを言うんじゃねぇ!」
ゴーダは、ステファニーに怒鳴った。そんなゴーダを見て笑うマルクだった。
「ステファニーさん、怯えないでください。あいつはもうすぐ奴隷に落ちる。もう誰にも偉そうには出来なくなるよ」
「ああ!俺が負けるだと?調子に乗るな」
「ステファニーさんは、開始の合図をしたらすぐに決闘場からでてくださいね」
「は、はい・・・・・・」
「マルクぅ!負けたら許さないからね!」
観客席から、シオンが応援していた。そして、ステファニーが試合開始の号令をしたのだった。
ゴーダは、ステファニーの号令と同時にマルクに突進した。
「ブレイクブレード!」
ゴーダは、開始と同時に必殺スキルを使った。このスキルは、相手の距離を一瞬で詰め、剣を急所を突く突進技だ。
「死ねぇ~~~~~~~~~~!」
マルクは、まさかこんなスキルを初っぱなに使って来るとは思わなかった。
「やれやれ!これならオークの集団の方が厄介だ」
マルクは、手を前方に向けて魔法を発動させた。
「な、なんだぁ?」
ゴーダが突進するスキルを使ったので急には止まれなかった。
「ウォール・オヴ・ストーン!」
マルクとゴーダの間には、分厚い土壁が出来て、ゴーダは土壁にめり込んだ。
「だぁあ~~~~~~~~~~~!」
ゴーダは、めり込んだ土壁を気合いで吹き飛ばした。
「てめえ!一体何をしやがった!」
一瞬で土壁ができたことが、ゴーダには信じられなかった。それも当然であり、王国魔法師団の団員でも無詠唱をする団員はいないからだ。
つまり、無詠唱のスキルを持つ魔法使いはレアなのだ。
「お、おい・・・・・・」
「ああ!あいつはとんでもない魔法使いだ」
「俺、無詠唱のスキルを使った魔法使いは始めて見たよ」
「これでゴーダは終わったな」
「ああ・・・・・・あいつには勝てないな」
「マジかよ。俺の掛け金は?」
「ギルドは大儲けって事だ」
観客の冒険者達は全員、勝負がついたと諦めヤジを飛ばし、1割の勝負師は安心して観戦をいていたのだ。
そして、この危機的状況がつかめていなかったのが、ゴーダだけである。
「貴様ぁ!いったい何者だ?」
「そんなことよりどうすんだ?降参するか?」
「うるせぇ!」
ゴーダは、土壁に突っ込みダメージを受けていたが、マルクに剣をふるって攻撃をしかけた。
「どうして当たらねぇんだ?」
「どうした?腰を入れて踏み込まないと当たらないよ?」
「うるせぇ!魔法使いのお前に何がわかる」
マルクには、十分理解できるのだ。スキルが覚醒する前は、父のデビットに死ぬほどしごかれて、短剣術や剣術を仕込まれていたからだ。
しかし、スキルは習得出来なかった経歴を持っていた。マルクから見れば、ゴーダは確かに実力はあるが、弱いものに威張り散らしていて鈍っているのがすぐにわかった。
「今なら、怪我もしてないし高値で売れるんだけどなぁ?」
「やかましい!はぁはぁ・・・・・・」
「もう疲れたのか?息があがっているぞ?」
「余計なこと言ってんじゃ・・・・・・はぁはぁ」
「じゃ、しょうがないね。テレキネシス!」
「な、な、なんだぁ?」
ゴーダの体は無重力状態で、空中に浮かび上がった。ゴーダは動こうにもどこにも力を伝わる事ができず無防備になった。
「なぁ?」
「何をするつもりだ!」
「降参するか?」
「馬鹿野郎!するわけねぇだろうが!」
「いいのか?」
マルクは、ゴーダに手を向けて、攻撃魔法を撃ち出す構えを取った。
「どうする?降参するか?」
「馬鹿野郎!お前の攻撃魔法でダメージを受けるはずが・・・・・・」
「誰が攻撃魔法を撃ち出すと言ったんだ?」
「何をするつもりだ?」
マルクは、ゴーダを上空に浮かび上がらせた。テレキネシスとは、物質を自由に移動させる魔法である。人間にかけることはできない。
では、なんでゴーダは宙に浮かんでいるかというと、マルクはゴーダの防具に魔法をかけていた。
「さあ、どうする?」
「ま、待て!そんなことをされたら死んじまう!」
ゆっくりゴーダの体は上昇していた。
「上空で魔法を切ったら自由落下だな?」
「待てぇ~~~~~~~~!俺は死にたくねぇ!」
決闘場で、ゴーダの泣き声が響き、観客席からは大爆笑が起こった。
「降参するか?」
「し、します!降参するから助けて下さい!」
そこで、決闘終了の笛の音が鳴り響き、ステファニーの声が聞こえた。
「この勝負、マルクの勝ち!」
マルクは、余裕の勝利を納めたのだった。
「ゴーダ!負けんじゃねぇぞ」
「こちとら、今日の依頼報酬賭けたんだからな」
「俺は坊主に賭けたぜ!坊主頑張れよ」
観客席から見ている冒険者達からすれば、一種のお祭り騒ぎだが、当人達はそうではない。負ければ莫大な資産を失い、借金を背負う可能性がある。 ゴーダに至っては、賭けるものがなくて負けたら奴隷落ちである。
そして、この決闘は建前上、相手を殺さないようにとなってはいるが、実のところ何でもありだ。
決闘試合が始まれば、審判はすぐに観客席に移る形になるので、殺し合いと言ってもよかった。
「マルクさん、とりあえず勝てたらゴーダさんを奴隷に落とす形になっていますが、手加減はしないようにしてください」
「なんで?手加減しないとあいつ死んじゃうよ?」
「実は、負けた時の条件で自分を担保に入れた方がいいのですよ」
ステファニーは、この決闘は真剣勝負で殺し合いになることを伝えた。担保に入れた方は怪我をしにくい。相手は怪我をさせた場合、奴隷に落とした時治療費は自分持ちになるし、殺してしまえば奴隷として売れなくなるからだ。
しかし、相手は負けたら奴隷に落ちる事で必死に攻撃してくるので、こちら側がどうしても不利になる事を言ってきた。
「手加減したら殺されますからね」
「ステファニー!要らんことを言うんじゃねぇ!」
ゴーダは、ステファニーに怒鳴った。そんなゴーダを見て笑うマルクだった。
「ステファニーさん、怯えないでください。あいつはもうすぐ奴隷に落ちる。もう誰にも偉そうには出来なくなるよ」
「ああ!俺が負けるだと?調子に乗るな」
「ステファニーさんは、開始の合図をしたらすぐに決闘場からでてくださいね」
「は、はい・・・・・・」
「マルクぅ!負けたら許さないからね!」
観客席から、シオンが応援していた。そして、ステファニーが試合開始の号令をしたのだった。
ゴーダは、ステファニーの号令と同時にマルクに突進した。
「ブレイクブレード!」
ゴーダは、開始と同時に必殺スキルを使った。このスキルは、相手の距離を一瞬で詰め、剣を急所を突く突進技だ。
「死ねぇ~~~~~~~~~~!」
マルクは、まさかこんなスキルを初っぱなに使って来るとは思わなかった。
「やれやれ!これならオークの集団の方が厄介だ」
マルクは、手を前方に向けて魔法を発動させた。
「な、なんだぁ?」
ゴーダが突進するスキルを使ったので急には止まれなかった。
「ウォール・オヴ・ストーン!」
マルクとゴーダの間には、分厚い土壁が出来て、ゴーダは土壁にめり込んだ。
「だぁあ~~~~~~~~~~~!」
ゴーダは、めり込んだ土壁を気合いで吹き飛ばした。
「てめえ!一体何をしやがった!」
一瞬で土壁ができたことが、ゴーダには信じられなかった。それも当然であり、王国魔法師団の団員でも無詠唱をする団員はいないからだ。
つまり、無詠唱のスキルを持つ魔法使いはレアなのだ。
「お、おい・・・・・・」
「ああ!あいつはとんでもない魔法使いだ」
「俺、無詠唱のスキルを使った魔法使いは始めて見たよ」
「これでゴーダは終わったな」
「ああ・・・・・・あいつには勝てないな」
「マジかよ。俺の掛け金は?」
「ギルドは大儲けって事だ」
観客の冒険者達は全員、勝負がついたと諦めヤジを飛ばし、1割の勝負師は安心して観戦をいていたのだ。
そして、この危機的状況がつかめていなかったのが、ゴーダだけである。
「貴様ぁ!いったい何者だ?」
「そんなことよりどうすんだ?降参するか?」
「うるせぇ!」
ゴーダは、土壁に突っ込みダメージを受けていたが、マルクに剣をふるって攻撃をしかけた。
「どうして当たらねぇんだ?」
「どうした?腰を入れて踏み込まないと当たらないよ?」
「うるせぇ!魔法使いのお前に何がわかる」
マルクには、十分理解できるのだ。スキルが覚醒する前は、父のデビットに死ぬほどしごかれて、短剣術や剣術を仕込まれていたからだ。
しかし、スキルは習得出来なかった経歴を持っていた。マルクから見れば、ゴーダは確かに実力はあるが、弱いものに威張り散らしていて鈍っているのがすぐにわかった。
「今なら、怪我もしてないし高値で売れるんだけどなぁ?」
「やかましい!はぁはぁ・・・・・・」
「もう疲れたのか?息があがっているぞ?」
「余計なこと言ってんじゃ・・・・・・はぁはぁ」
「じゃ、しょうがないね。テレキネシス!」
「な、な、なんだぁ?」
ゴーダの体は無重力状態で、空中に浮かび上がった。ゴーダは動こうにもどこにも力を伝わる事ができず無防備になった。
「なぁ?」
「何をするつもりだ!」
「降参するか?」
「馬鹿野郎!するわけねぇだろうが!」
「いいのか?」
マルクは、ゴーダに手を向けて、攻撃魔法を撃ち出す構えを取った。
「どうする?降参するか?」
「馬鹿野郎!お前の攻撃魔法でダメージを受けるはずが・・・・・・」
「誰が攻撃魔法を撃ち出すと言ったんだ?」
「何をするつもりだ?」
マルクは、ゴーダを上空に浮かび上がらせた。テレキネシスとは、物質を自由に移動させる魔法である。人間にかけることはできない。
では、なんでゴーダは宙に浮かんでいるかというと、マルクはゴーダの防具に魔法をかけていた。
「さあ、どうする?」
「ま、待て!そんなことをされたら死んじまう!」
ゆっくりゴーダの体は上昇していた。
「上空で魔法を切ったら自由落下だな?」
「待てぇ~~~~~~~~!俺は死にたくねぇ!」
決闘場で、ゴーダの泣き声が響き、観客席からは大爆笑が起こった。
「降参するか?」
「し、します!降参するから助けて下さい!」
そこで、決闘終了の笛の音が鳴り響き、ステファニーの声が聞こえた。
「この勝負、マルクの勝ち!」
マルクは、余裕の勝利を納めたのだった。
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