役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第3章 嫁

3話 冒険者の心得

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 マルクとシオンは、乗り合い馬車で王都に向かった。途中で、冒険者ギルドで依頼を見て王都の方向に行く行商人の護衛依頼があれば受けながら、王都に向かっていた。

「マルク、王都までって遠いのね」

「そりゃそうだよ。馬車はゆっくり移動するから、しょうがないよ」

「あたし、おしりが痛いわ」

「ハハハ!嬢ちゃんは、馬車の移動はまだあまり経験がないのか?」

「はい。この間Cランクに上がって、最近護衛依頼を受けれるようになったんです」

「そうかそうか。君達のおかげでワシ等は安心して行商ができるからありがたいよ。嬢ちゃんこいつを使いな。少しはましになるだろうさ」

「おじさん、ありがとう!」

 行商人のおじさんは笑いながら、シオンに座布団を渡したのだった。

「フカフカだぁ」

「坊主もいるだろ?」

「ありがとうございます!」

「こういうのは経験がないとわからないだろ?」

「はい。次の町で座布団を買おうと思います」

「ああ。そうしな」

 そんな喉かな時間を、マルク達は過ごして次の町に着いた。

「坊主も嬢ちゃんもありがとよ。おかげで荷物を100%届けることができたよ」

 マルク達は、着実に行商人の護衛依頼をこなし、行商人の間で暁月の明星に頼めば、商品を確実に届けることができると噂されるようになっていた。

 今回も、マルク達はバグベアに遭遇したが、シオンの一撃で撃退して行商人から感謝されていた。
 行商人達に、最初挨拶をすると若い冒険者二人だけで行商人達はマルクとシオンを見ると大丈夫かと怪訝そうに見てきていた。
 Cランクに上がったばかりで、二人パーティーに自分の命を預けるわけになるので不安になっていたからだ。
 しかし、Cランクにしてはマルクとシオンの実力はAランク以上で、安全に旅ができるので行商人はすぐに笑顔となるのだ。

「最初は、行商人達に怪訝そうに見られていたけど最近は、暁月の明星の名前を言ったら歓迎してくれてなんかいいね」

「うん、そうだね。やっぱり、ファイヤーウィングで飛んでいかなくて良かっただろ?」

「そうだね。やっぱり暁月の明星として実績を積むのも大事だね」

「だね。僕達はずっと冒険者稼業で生活していくんだしね」

「そうだね。そういえば、この町は何て名前だったっけ?」

「ルノーバだよ。確か薬草の町と言われているほど、薬草が取れてたはずだよ」

「マルク、よく知ってるね」

「父さんが言ってたんだよ」

「なるほどね。そういえば、王都に近づいて来ただけあるわね」

「いきなりどうしたの?」

「ほら、周りを見てよ。あっちにはエルフがいるし、向こうには人狼族も!」

「いろんな種族がいるよね。なんか都会に着いた感じだよね」

 マルクとシオンが、冒険者ギルドに入ると特にいろんな種族がいて、都会に来た感じがした。

「ガハハハ。兄ちゃん達、どこから来たんだ?」

「「えっ?」」

「この町ははまだまだ田舎だぞ。王都に行けばもっと賑やかだぜ」

「本当ですか?僕達、リーランから来たんですよ」

「なるほどな。リーランじゃ無理もねぇか」

「「はい」」
「ここは、いろんな種族の方がいて、本当に賑やかです」

「そうかそうか。だったら兄ちゃんにアドバイスしてやるよ」

「「アドバイスですか?」」

「ああ!王都に行くなら、その敬語はやめた方がいいな!」

「なんでですか?」

「冒険者に上下関係はいらないからな。敬語を使うと確かに受けはいいが、下にみられるとナメられるぞ」

「なるほど!」

「そのように思われたら冒険者として、パシらされたり協力していた時に厄介事を押し付けられたりするぞ」

「わかりまし・・・・・・い、いや、わかった。アドバイスありがとう」

「それでいい」

 冒険者の先輩からアドバイスをもらい、マルクとシオンはこういったコミュニケーションが冒険者を育てていると思った。

 そして、マルクは受付に顔を出した。

「こんにちは!」

「あなた達、見たことない冒険者ですね。この町は初めてですか?」

「ああ!リーランの町からさっき着いたばかりだ」

 マルクは、さっそく柔らかな口調だが敬語をやめたのだった。

「私はハナと申します。それで今日はどういったご用件でしょうか?」

「行商人の護衛依頼の清算と魔物の素材を買い取ってほしい」

 マルクは、この町までやった護衛の完了証明書とバグベア等の素材とマルクとシオンはギルドカードを出した。
 受付嬢のハナは、目を一瞬見開いたが、すぐに冷静に処理をした。手続きが終わり、マルクとシオンはギルドの酒場に行こうとしたが、ハナに呼び止められたのだ。

「あ、あのマルクさん・・・・・・」

「えっ?僕?」

「はい。少しよろしいですか?」

「はぁあ、僕になにか?」

 そういうと、ハナはマルクとシオンを奥の部屋へと案内した。

「えーと、なにかありましたか?」

「暁月の明星の二人に頼みたいのです」

「それって、指名依頼ですか?」

「ちょっとシオンいきなり何を言ってんだよ。指名依頼はAランクからだろ?」

「だって、頼みたいって言ったから、その辺ははっきりさせないと!」

「い、いえ、そうではないのですが、暁月の明星の噂はここルノーバでも噂されるほどなんです。話だけでも聞いていただけませんか?」

「聞くだけでいいなら」

「そんな事言わないで下さいよ」

「しかし、その言い方じゃ厄介なお願いじゃ?」
「あたし達、今は王都に向かわないといけないんだよ」

「それは、私共でもわかっています」

「じゃあ、お願いされても無理じゃないか」

「そうじゃないんです。お二人には、王都で国王様から授賞式を終えた後でいいので、この町に寄って頂きたいのです」

「「何で?」」

「今、この町は薬草が採れなくなっているんです。その原因を取り除いて貰いたいのです」

 受付嬢のハナは、マルク達の予定も聞かずお願いしてきたのだ。

「それって完全に指名依頼じゃないか。ギルドがルールを曲げるのはどういう事?」

「申し訳ありません。お二人はオークマザーを討伐したと聞いております。そんなお二人だから頼みたいのです」

「いやいや。そういうんじゃなく、指名依頼なら僕達じゃなくAランク冒険者に頼むべきだろ?」

 マルクとシオンは、冒険者ギルドのいきなりのお願いに戸惑った。
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