役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第2章 役に立つスキル

15話 村人の事実

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 マルクは、ギルドの決定に異論を申し立てた。このままじゃスタンピードが、いつ起こってもわからないからだ。
 しかし、ギルドマスターの立場として王国に助けを求めるしかないのも事実だった。

「ギルドマスター、このままじゃとんでもないことが起こりますよ?」

「マルクの言いたい事は分かるが、相手はオークマザーだ。王国に任せた方がいい!」

「本当にそれでいいのですね?」

「それでいいも何も選択肢はそれしかない!」

「わかりました。僕は忠告はしましたからね?後でどうこういうのは止めて下さいね」

「そんな事言うか!」

 マルクはシオンと冒険者ギルドを後にした。

「ねぇ、マルクオークの砦はどうするの?」

「僕達は何もできないよ。ギルドではあの場所に近づいたら駄目と発表をされたんだしね」

「こういう時、冒険者は何もできないわね」

「まぁしょうがないよ。オークは王国騎士団に任せよう。それより村に帰ろう」

「えっ?リーランの町にいないの?」

「そんな事より、シオンの家族が心配だよ」

「うん・・・・・・父さんも母さんも村に残るって絶対言うと思うよ」

「僕の父さんも母さんも、用心棒の仕事をしてるから村に一人でも残ってたら村をでないだろうしね」

「確かに!」

「休暇をもらってたし続きをしよう」

「うん」

 マルクとシオンは故郷に帰る事にした。故郷の村に帰ると両親のデビットとステラに驚かれた。

「マルクなんで帰ってきたんだ?」

「父さんも母さんも、村から逃げないんだろ?」

「そりゃ、村長をはじめ村人の8割がここに残る決断をしたからしょうがない・・・・・・」

「まぁそんな事だと思ったよ。父さんも母さんもなんで残るの?」

「なんでって、俺達はこの村で世話になったから今更放っては行けないよ」

「ここだけの話、オークの集落はヤバイものだよ」

「どういう事だ?」

「王国騎士団に討伐依頼を出したみたいだけど、相手はオークマザーなんだ」

「「えっ?」」
「本当なのか!」

「それを聞いても二人は町には逃げないの?」

「「うっ・・・・・・」」
「村の人間は良くも悪くも頑固でこの土地から離れようとしないんだ。俺達も説得を試みたんだが、スタンピードは人が多い町に向かう等、この村には来ないと思い込んでいる人間も多いんだ」

「こんな事言ったらどうかと思うんだけど、僕は父さん達とシオンの両親、村長からしか子供の頃可愛がってもらってない。だから、一緒にリーランの町に逃げてほしい」

「「マルク・・・・・・」」
「確かにあなたはスキルの事で村人達から厄介者として扱われてきたわ」

「母さん・・・・・・」

「だけどね。そんな風に思ったら駄目」

「なんで?」

「厄介者に扱って来た人間もいたけど、大半の人間
は哀れんでどう接していいのか分からなかっただけたからよ」

 マルクは誹謗中傷を受けることが多かった。挨拶しても大半は無視されていたが、それはどう声をかけたらいいのか分からなかっただけだというのだ。

「嘘でしょ?」

「マルク、あなたは冒険者という目標を諦めなかった。だけど、周りからしてみたらスキルがEランクでその上ノーマルスキルさえ覚えられなかった」

「うっ!」

「そんな事を見せられたら哀れすぎて、どう声をかけたらいいのか分からなかっただけなのよ。本当は村の人間達も心配していたのよ」

 ステラからの説明はマルクにとって驚愕だった。マルクを誹謗中傷していた人間は、ディクト達やその両親や一部の人間だった。
 そして、それらの人間は村の事より自分の命を優先してとっくに村を捨て逃げていた。

「つまり、今残っている人達って?」

「あなたの誤解なのよ?あなたが村を出てからも心配してくれていたしね」

「だったらなんで帰って来た時も僕を無視していたんだよ?」

「それは当たり前だろ?」

「父さん、なんで当たり前なんだよ」

「マルクが冒険者として成功しだしたら、声なんて掛けられないだろ?マルクもいい顔なんかできないんじないか?」
「あのね。マルクはそんな話いきなり聞いても納得できないかもしれないけど本当の事よ」
 
 マルクはデビットとステラの説明に下を向いて考え込んでしまった。

「俺達の事は考えず、お前はシオンちゃんと村を離れるんだ」
「明日にでも、リーランの町に避難したらいいわ」

「わかったよ。父さんと母さんがそういうなら信じるよ」

「「えっ?」」

「父さんも母さんもこの村が好きなんだろ?」

「ああ」
「ええ」
「だけど、あなた達はこれから頑張って冒険者として成功したらいいのよ」
「そうだ。村の事より自分達の未来を考えればいいんだ」

「だったら、冒険者として行動するよ」

「そうだ。今日はもう遅い。ゆっくりして明日に備えるんだ」

 マルクは、驚愕の事実を聞いてその日は眠りについた。
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