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第2章 役に立つスキル
13話 ダンジョンに待ち構えるもの
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マルクは、オークの集落を囲むように土壁をたてた。オークは逃げる事もできず壁を引っ掻いて外に出ようともがいていた。
「さすがマルクね。これでオークは閉じ込めに成功したも同然ね」
「いや、閉じ込めは無理かもしれないね」
「何で?オークは出れなくて壁を引っ掻いているだけじゃない!」
「あそこを見て」
マルクの指差した場所は、崖の一角にできた洞穴だった。
「あ、あれは!」
「あの洞窟はやっぱりダンジョンみたいだね。中を確認しないと分からないけどたぶんとんでもない怪物がいるかもしれない」
「マルク、あなた世界地図があるじゃない。中はわからないの?」
「ダンジョンは、異次元空間みたいだからね。中はわからないな。中にいる場合は、外の様子もわからないからね」
「ならしょうがないね。でも、オークがダンジョンからどんどん出てくるわ」
「このままじゃ、オークが土壁を越えて溢れるかもしれないね」
「まずいじゃん」
「まぁ、このままおとなしく見てる訳じゃないけどね」
マルクは、そう言ってオークの集落にファイヤーボールを撃ち込んだ。ウォールオヴストーンで取り囲まれた集落に逃げる場所はなく、壁の内側はこの世の地獄と化した。
オークは、灼熱地獄となった集落で逃げる場所もなく下級種であるオークファイター等は、マルクのファイヤーボールに耐えられず、骨も残らず灰となってしまった。
又、上級種であるキングやジェネラル、そして、今回のターゲットである、エンペラーの姿はいなくなっていた。
「この調子だと、冒険者達の力を借りなくてもマルク一人で全滅できるんじゃないの?」
「いや、さすがは上級種だ。野生の勘が働いたみたいだ。ダンジョンに避難したみたいだね」
「オークにそんな知能が?」
「まぁ、キングとなるとしゃべる個体がいるらしいからね。一筋縄では行かないよ。それに、ダンジョンの中にはもっと大物がいるみたいだしね」
「大物って、エンペラーじゃあないの?」
マルクはシオンの問いに首を横に振った。
「じゃあ、今回のボスって・・・・・・」
「オークマザーだよ」
「う、嘘・・・・・・」
シオンは、マルクの口からオークマザーと聞き冷や汗を流した。オークマザーは、SSランクの天災級の魔物だ。
オークマザーは子供をどんどん産み続けて自分の帝国を作り上げてしまう最大級に危険な魔物の一角に君臨する魔物だ。
余談ではあるが、ゴブリンマザーやクイーンアントなんかが同じ系統の魔物である。
「エンペラーでも、Sランクの魔物で脅威なのに、あのダンジョンの中にはマザーが?」
「あのオークの数はそれしか説明がつかないよ。たぶんだけど、犠牲になった女性がたくさんいたのかもね・・・・・・」
オークマザーが生まれるのは本当に希である。オークやゴブリンは他種族の女性を苗床にして、種族繁栄するからだ。キングやエンペラーがマザーが揃った時、爆発的にオークが増えるのだ。これを俗にオークバンと言う。
「悪いけどシオン。陣営にいるギルドマスターに伝令をしてくれないか?」
「わ、わかったわ」
「それと、陣営自体この辺りに設営しても構わないと言ってきて」
「ここに陣営を?」
「うん。マザーとなると、王国騎士団の人達にも、協力してもらわないといけないからね」
「うん・・・・・・」
シオンは、マルクの説明に息をゴクリと飲んだ。まさかマザーを討伐する事になるとは思いもしなかったからだ。シオンはすぐに陣営に戻り、ギルドマスターにわかった事を報告した。
「はぁあ?何を言っているんだ?」
「本当です!確認はしていませんが、マルクが状況的にそれしか考えられないと!」
「嘘だろ?」
「エンペラーでも信じられないのに」
「その上、ダンジョン内にマザーだと?」
「もう終わりだ・・・・・・」
「シオン、本当にマルクはそう言ったのか?」
「ええ。マルクのオーク討伐数もとんでもない数に登ってます。あの数はマザーが産まないと考えられないかと!」
「ば、馬鹿な・・・・・・マザー討伐等、国家で対応する案件だぞ」
ギルドマスターやブリュゲン達王国騎士団魔法師団は頭を抱えた。
「ギルドマスター、マルクは陣営をオークの集落近くに移してくれと言ってます。たぶん、討伐できると考えているかと思います」
「馬鹿な!マザーの討伐となると敵の数は200とかではないんだぞ!それこそ20000いや、それでも少ないはずだ」
「だったら、ギルドマスターはどうするというのですか?今から、王国に救援要請を送ると言うのですか?」
「そ、それは・・・・・・しかし、それしかあるまい!ここには、400人もいないのだぞ?この人数ではどう考えても勝ち目はない!」
「だけど、マルクは!」
「いくらマルクが、この中で一番頼りになると言っても、突入をする決断はできん」
この決定は当然だった。ギルドマスターは全体の指揮者として、冒険者達を死地に向かわせることはできなかった。
この決定は、ブリュゲンとナディアも賛同であった。王国騎士団団長の力が必要だと思っていた。
「今すぐ、マルクを呼び戻すんだ。そして、王国に早馬を!」
「そんなぁ!」
「そんなではない!指示に従うのだ」
シオンは、渋々マルクを呼び戻したのだ。
「さすがマルクね。これでオークは閉じ込めに成功したも同然ね」
「いや、閉じ込めは無理かもしれないね」
「何で?オークは出れなくて壁を引っ掻いているだけじゃない!」
「あそこを見て」
マルクの指差した場所は、崖の一角にできた洞穴だった。
「あ、あれは!」
「あの洞窟はやっぱりダンジョンみたいだね。中を確認しないと分からないけどたぶんとんでもない怪物がいるかもしれない」
「マルク、あなた世界地図があるじゃない。中はわからないの?」
「ダンジョンは、異次元空間みたいだからね。中はわからないな。中にいる場合は、外の様子もわからないからね」
「ならしょうがないね。でも、オークがダンジョンからどんどん出てくるわ」
「このままじゃ、オークが土壁を越えて溢れるかもしれないね」
「まずいじゃん」
「まぁ、このままおとなしく見てる訳じゃないけどね」
マルクは、そう言ってオークの集落にファイヤーボールを撃ち込んだ。ウォールオヴストーンで取り囲まれた集落に逃げる場所はなく、壁の内側はこの世の地獄と化した。
オークは、灼熱地獄となった集落で逃げる場所もなく下級種であるオークファイター等は、マルクのファイヤーボールに耐えられず、骨も残らず灰となってしまった。
又、上級種であるキングやジェネラル、そして、今回のターゲットである、エンペラーの姿はいなくなっていた。
「この調子だと、冒険者達の力を借りなくてもマルク一人で全滅できるんじゃないの?」
「いや、さすがは上級種だ。野生の勘が働いたみたいだ。ダンジョンに避難したみたいだね」
「オークにそんな知能が?」
「まぁ、キングとなるとしゃべる個体がいるらしいからね。一筋縄では行かないよ。それに、ダンジョンの中にはもっと大物がいるみたいだしね」
「大物って、エンペラーじゃあないの?」
マルクはシオンの問いに首を横に振った。
「じゃあ、今回のボスって・・・・・・」
「オークマザーだよ」
「う、嘘・・・・・・」
シオンは、マルクの口からオークマザーと聞き冷や汗を流した。オークマザーは、SSランクの天災級の魔物だ。
オークマザーは子供をどんどん産み続けて自分の帝国を作り上げてしまう最大級に危険な魔物の一角に君臨する魔物だ。
余談ではあるが、ゴブリンマザーやクイーンアントなんかが同じ系統の魔物である。
「エンペラーでも、Sランクの魔物で脅威なのに、あのダンジョンの中にはマザーが?」
「あのオークの数はそれしか説明がつかないよ。たぶんだけど、犠牲になった女性がたくさんいたのかもね・・・・・・」
オークマザーが生まれるのは本当に希である。オークやゴブリンは他種族の女性を苗床にして、種族繁栄するからだ。キングやエンペラーがマザーが揃った時、爆発的にオークが増えるのだ。これを俗にオークバンと言う。
「悪いけどシオン。陣営にいるギルドマスターに伝令をしてくれないか?」
「わ、わかったわ」
「それと、陣営自体この辺りに設営しても構わないと言ってきて」
「ここに陣営を?」
「うん。マザーとなると、王国騎士団の人達にも、協力してもらわないといけないからね」
「うん・・・・・・」
シオンは、マルクの説明に息をゴクリと飲んだ。まさかマザーを討伐する事になるとは思いもしなかったからだ。シオンはすぐに陣営に戻り、ギルドマスターにわかった事を報告した。
「はぁあ?何を言っているんだ?」
「本当です!確認はしていませんが、マルクが状況的にそれしか考えられないと!」
「嘘だろ?」
「エンペラーでも信じられないのに」
「その上、ダンジョン内にマザーだと?」
「もう終わりだ・・・・・・」
「シオン、本当にマルクはそう言ったのか?」
「ええ。マルクのオーク討伐数もとんでもない数に登ってます。あの数はマザーが産まないと考えられないかと!」
「ば、馬鹿な・・・・・・マザー討伐等、国家で対応する案件だぞ」
ギルドマスターやブリュゲン達王国騎士団魔法師団は頭を抱えた。
「ギルドマスター、マルクは陣営をオークの集落近くに移してくれと言ってます。たぶん、討伐できると考えているかと思います」
「馬鹿な!マザーの討伐となると敵の数は200とかではないんだぞ!それこそ20000いや、それでも少ないはずだ」
「だったら、ギルドマスターはどうするというのですか?今から、王国に救援要請を送ると言うのですか?」
「そ、それは・・・・・・しかし、それしかあるまい!ここには、400人もいないのだぞ?この人数ではどう考えても勝ち目はない!」
「だけど、マルクは!」
「いくらマルクが、この中で一番頼りになると言っても、突入をする決断はできん」
この決定は当然だった。ギルドマスターは全体の指揮者として、冒険者達を死地に向かわせることはできなかった。
この決定は、ブリュゲンとナディアも賛同であった。王国騎士団団長の力が必要だと思っていた。
「今すぐ、マルクを呼び戻すんだ。そして、王国に早馬を!」
「そんなぁ!」
「そんなではない!指示に従うのだ」
シオンは、渋々マルクを呼び戻したのだ。
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