役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第2章 役に立つスキル

6話 マルクの欠点

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 デビットとステラは、マルクの話を聞いた。そして、その顔は怒りで満ち溢れていた。

「それでディクト達はどうなった?」

「結局、僕達に捕らわれて処刑されたよ」

「そうか・・・・・・」

「と、言うか、この村にディクトの話は入ってきてないの?」

「ああ。今まで知らなかった。ディクト達4人は村の誇りであり、冒険者で大成すると思われている」
「そうよ。母さん達はそんなパーティーにマルクとシオンちゃんが一緒についていけるのか心配だったのよ」

「そうなの?」

「ああ。お前達は幼なじみだから、一年もったようなものだな。やはり同じパーティーを組むなら、同じ位のランクが上手くいくと思うぞ」

「そうなのかなぁ?」

「まぁ、これは一般的な事だ。全部が当てはまる訳じゃない。現にお前とシオンちゃんは上手くいっているんだろ?」

「それはそうだけど」

 マルクは、父にシオンへの気持ちがばれたような気がして気恥ずかしかった。

「わかった。ディクト達はもう忘れてお前とシオンちゃんは、これからの事を考えるんだ」

 デビットは、マルクの性格が心配だった。しっかりしているようで、こういう場合マルクは自分のせいだと思い込む性格だったからだ。
 昔、シオンと高原に行った時、マルクのミスじゃないがシオンが魔物に怪我をさせられた事があったが、マルクはそれが自分のせいだと思い込んだ事があった。
 そして、長い間立ち直ることができなかった事があった。デビットは、マルクにその時の顔とダブって見えたのだった。

「マルク、お前は優しい人間だが、ディクト達が処刑されたのは自分のせいだと思ってないか?」

「そんな事は・・・・・・」

「今回の帰省は、近況報告じゃないな?」

「それもあるけど、ギルドマスターに少し休めと言われた」

「そうか。わかった!お前はもっと精神的に鍛えた方がいいな。今はゆっくりしてたらいい」

 デビットは、マルクの状況を理解した。デビットとステラは元冒険者であり、こういう精神的なものはもっとも危ないと理解していた。
 自分は大丈夫と思っていても、深層意識では気にしていると何気ない時に、体が硬直してしまい行動できなくなってしまうのだ。

「あなた。それでもうひとつ嬉しい事があったの」

「お母さん!」

「なに照れてんのよ」

「他になにかあったのか?」

「シオンちゃんがね、あたしの事をお義母さんって呼んでくれたの」

「はぁあ?お前、シオンちゃんを彼女にしていたのか?それに、ステラの事をお義母さんだと?」

「そんな大声出さなくてもいいだろ?」

「そっかそっか。マルクもやることはやっているんだな!」

「言い方!僕はシオンに手を出してないよ!」

「はっ?なんで?」

「なんでって、僕は前までソフィアの事を想ってたのに、ソフィアが処刑されたからシオンにすぐに乗り換えるみたいでシオンに失礼な感じがするじゃないか」

「「はぁ・・・・・・・」」

「マルクはまだまだ子供ね」
「そうだな。父さんは情けないぞ!」

 マルクの説明に、デビットとステラは大きくため息をついた。

「マルクよ。お前はまだソフィアの事を想っているのか?」

「いや、とっくに振られてその上犯罪者になったソフィアの事はなんとも想ってないよ」

「だったら別に構わんだろ?マルク、お前は昔から気を使いすぎなんだ。まぁ、お前は村の人間から役立たずと言われてきたから無理はないと思う」

「そうよね。だけど、シオンちゃんはそんなあなたを支えてくれてたじゃない」

「それは僕が情けないから・・・・・・」

「「はぁ・・・・・・」」

「そこまで鈍感だとは、お母さん情けないわ。シオンちゃんはあんたの事が好きだから、支えてくれてたんじゃない」

「それに、お前は考えすぎるんだ」

「考えすぎる?」

「マルクのステータスを見させてもらったが、お前は冒険者として大成すると思うぞ。そうなれば、周りの女性はお前に言い寄ってくるはずだよ」

「はぁあ?いきなり父さんは何言ってんの?」

「つまりだな。冒険者として大成すると甲斐性が出る。そうなれば、シオンちゃんだけじゃなく他にもいい人ができると言う事だ」

「僕はそんな器用な人間じゃないよ。シオンにはこんな状態じゃ悪いと思っているから保留にさせてもらっているくらいなんだよ」

「まぁ、マルクの気持ちは誠実でいいけどな。世の中は普通に一夫多妻、一妻多夫制だろ?マルクは、今のステータスで冒険者を続けたら、絶対そうなるぞ」

「だけど・・・・・・」

「つまりだな。シオンちゃんの事を大事にするのは当然だが、今はいない第2第3の妻の事を大事したらいいんだよ」

「そんな簡単にできるわけないだろ。それに父さんは母さん一人じゃないか」

「そりゃ、父さんだってそれができるならそうしてたさ」

「そうね。あなたにそんな甲斐性があるわけないから、あたし一人で大変なんだもの」

「はっきり言うなよ!俺だって頑張ったんだからよう・・・・・・」

 ステラは笑いながら話、デビットはプライドを傷つけられて下を向いて落ち込んでしまった。

「ほらほら、デビット落ち込まないの。あたしが妻になったからいいじゃない。あなたは、あたし達家族をちゃんと養ってくれたんだから」

「そ、そうだな」

「そういう事だから、マルクはこれからの事だけを考えて、シオンちゃんの事を大事にしたらいいの。わかった?」

「そうだぞ。シオンちゃんは昔からお前の事を気にかけて、魔物を討伐しスキルを習得させようとしてくれたりして、お前にはもったいないくらいいい女性じゃないか」

 マルクは、両親に色々指摘され、考えすぎないようにと注意された。
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