役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第2章 役に立つスキル

2話 ギルドマスター達のアドバイス

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 マルクとシオンは、ギルドマスターに諭されていた。マルク達は、冒険者として経験がまだ少ないから、戦闘力があっても精神がまだ弱かった。

「お前達は、幼なじみのディクト達の死をちゃんと受け止めていられないんだ」

「いや、僕達はちゃんと受け止めています」

「いや、僕達じゃあないな。お前の方が受け止められていないように見える。シオンは、そういう面ではドライに思えるな」

「ギルドマスター!あたしが人情味のない人間みたいに言わないでくださいよ!」

 ギルドマスターの意見に、シオンがたまらず大きな声を出した。

「そんな怒るな。シオンが幼なじみが死んでも悲しまない人でなしなんて言ってないから!」

「人でなし・・・・・・」

「まぁ、そんな落ち込むな。俺は誉めてんだ」

「人でなしが誉めてるって・・・・・・」

「まったく、ギルドマスターはもう少し考えてしゃべってください。それじゃ全然誉めてないですよ」

 ギルドマスターの意見に、副ギルドマスターがたしなめたのだった。副ギルドマスターは、ダークエルフの女性でスタイルはよく、妖艶な雰囲気をもつ冒険者達から大人気がある人物だった。 

「シオンさん、ごめんなさいね。ブカートは本当悪気はないから、ただ頭が悪いだけなのよ」

「レジーナちょっと待て!上司に向かってその言い方はなんだ!」

「何が上司よ。貴方も上にたつ人間ならもっと言葉を選びなさい。いつも私がフォローしないといけないじゃない!」

「うぐっ」

「シオンさん、本当にごめんなさいね。ブカートには後でしっかりお灸を据えておくから許してあげてね」

「お、おい、お灸って・・・・・・」

 レジーナは、にっこり笑顔でブカートを黙らせたのだった。

 マルクとシオンは、この冒険者ギルドの支配者が誰だかわかった感じがした。

「それで話は元に戻しますが、マルクさんはソフィアと元許嫁だったのでしょ?」

「ええ・・・・・・情けない話だけど、もう相手にもされてませんでした」

「そういう場合、世間一般では男性の方が後を引きずりますからね。マルクさんは元許嫁がああいう事になってショックが大きいのですよ」

「・・・・・・」

「だから、今は休んだ方がいいかと思いますよ」

「しかし、今は頑張って依頼を」

「貴方達の冒険者としての人生は始まったばかりです。精神が弱っているときは無理をしては駄目ですよ」

「わかりました」

「シオンさん、貴方もですよ。確かにショックはマルクさんより受けてはいませんが、幼なじみを亡くしたショックを受けています」

 レジ―ナは、シオンの精神を見抜いていた。そして、マルクとシオンに里帰りを薦めたのだった。

「「さ、里帰りですか?」」

「ええ。出身村に帰ってゆっくり休すんでくるのもいいかと思いますよ」

「しかし、あいつ等の思い出がある村に帰っても、反対に思い出すような・・・・・・」

「こういう時こそ、初心に帰って再スタートを切った方がいいかと思いますよ。まぁ、とにかく今の状態で冒険者を続けるのは止めておきなさい」

 レジ―ナは、マルク達にきつい口調で冒険にでるのを止めた。ここで、レジ―ナの言う事を聞かず、冒険を続けるのも選択の一つである。
 マルクが、ソフィアの事を思い出さない為に、仕事を頑張るのも自由である。
 仮に、マルク達が依頼を受けると言えば、ブカートとレジ―ナがそれ以上言う事はない。冒険者は自己責任であり、冒険で死亡しても誰の責任でもなく自分の責任だからだ。

「まぁ、どのような行動しようが、最後はお前達の自由だけどな。俺達の話は終わりだ。ホールに戻っていいぞ」

 ギルドマスターは、マルク達を解放した。とりあえず、マルクとシオンはブカートとレジ―ナの言う事を聞いて、その日は冒険に出ずギルドの酒場でのんびり過ごした。

「なぁ、シオン」

「何?」

「僕ってそんなに思い詰めてたかな?」

「そうね・・・・・・早くソフィアの事は忘れてほしいとは思うわね」

「忘れるって・・・・・・」

 シオンは、マルクに視線を外しながら言った。その態度にぎこちない雰囲気になっていた。

「でも、マルクは忘れる事はできないでしょうね」

「シオンは忘れる事は出来るのか?」

「多分ね」
(あたしは、ソフィア達よりマルクの方が大事だもの。ソフィア達には悪いけど死んだ人間を考えるなら、マルクと一緒に生きていく方が大事だもん)

 シオンは強い女性である。小さい子どもの頃からシオンはマルクの事が好きだったからだ。
 本当なら、ディクト達とも一緒に成長しずっと仲良く過ごせれば良かったが、こうなってしまえばマルクの事を第一に考えるのは当然だった。

「ねぇ、マルク・・・・・・ここでこういうのはどうかと思うんだけど・・・・・・」

「何?」

「ソフィアの事は忘れて、あたしの事を見てほしいの。これからはあたしを許嫁として見て!」

「それは・・・・・・」

「今すぐじゃなくていいの。マルクも、ソフィアがいなくなってすぐあたしを受け入れる事なんて出来ないでしょ?」

「うん・・・・・・ごめんなさい。僕はそんな器用な人間じゃないから」

「わかってるよ。あたし達は幼なじみだし、小さい子どもの頃から見てきているしね」

「わかったよ。ちゃんと考えるから」

「それにね。今のマルクなら甲斐性があるし、何人もお嫁さんを養えると思うし」

「何を馬鹿な事を言っているんだよ!」

「そうかな?マルクはもう昔のマルクじゃないんだよ。ソフィアの事は忘れて、もっと好い人を作った方がいいかと思うよ」

「僕はそんな器用な人間じゃないから!もし、お嫁さんになってくれる人を考えるならシオン一人がいいよ!」

 それを聞いて、シオンはニヤニヤ仕出した。それを見たマルクは、自分の口を押さえたがもう遅かった。

「マルク、言質はとったからね」

 シオンはニヤニヤしてたが、近い将来マルクにはシオンの言った通り何人ものお嫁さんが出来ることになるが、今はそんな事になるとはマルクもシオンも夢にも思っていなかった。

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