役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第1章 役に立たないスキル

20話 望まぬ再会

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 マルクとシオンは、元パーティーメンバーのディクト達が、そんな非道な事をしているとは思ってもいなかった。
しかし、マルク達がそんな事など知る由もなく、依頼をこなす毎日だった。

「ねえ、マルク。そろそろパーティーメンバー増やしても良くない?」

「僕はそんな必要性は感じないけど?」

「でもそろそろCランクになりたいと思わない?」

「シオンはダンジョンに行きたいの?」

「やっぱり、冒険者はダンジョンにいってなんぼでしょ」

「だったらそう言ってくれたらよかったのに」

「どういう事?」

「僕達、ダンジョンから生還したんだよ?2人で行っても大丈夫だよ」

「でも、やっぱり不安でしょ?」

「そんな事ないよ。ファイターはシオンがしてくれたら大丈夫だし、魔法使いは僕が出来るしね。聖属性も使えるしヒーラーも大丈夫だよ?」

「確かにそうだけど……やっぱりダンジョンは6人の方が安心できると言うか……」

「まあ、確かにそれは言えてるけど……信用できる人いる?」

「それが問題よね?Dランクの人で4人組なんて、そうそういないものね」

 冒険者の低ランクは大抵6人パーティーが出来上がっている。これは低ランクで戦闘力が低いのでなるべく大人数でいる為だ。
 1パーティー最大6人であり、前衛3人とヒーラー魔法使いローグのパーティーが理想的な形だからだ。それ以上で活動するとなれば、2パーティー12人で連合と言う形になる。10人でもいいかと思うが、それだと6人パーティーがいい気がしない感じになるので、連合を組むときは普通は同じ人数のパーティーが一緒になる。

 何でと疑問に思うかもしれないが、少ない人数だと多い人数のパーティーに寄生すると思われるのだ。やはり、組んでみないと分からないのだが、普通に考えた場合6人パーティーの方が活躍することが出来て、少ない人数の方は
ついていく形になる。

「やっぱりソロで活動している人間を誘うのがいいけど?」

「まあ、そんなに焦らずゆっくり行こうよ。ダンジョンに行きたいのなら、そんな奥に入らなくても浅い層で、依頼を受けてもいいんじゃないか?」

 シオンは、少し考えてマルクの言う通りにした。同じ村の出身のディクト達に裏切られたと言う事もあり、パーティーを組むのは慎重にしようと言う事になった。

「今日は、ストーンゴーレムの討伐にしようか?」

「うん。Dランクにはちょうどいいわね。10体で8000ミストか」

Dランク依頼
 ストーンゴーレムの核10個納品して欲しい。
核一個に着き800ミスト。
もし、魔石が取れた場合、1個1000ミストで
5個まで購入可能
              依頼主 サンチェ

 マルク達は、荒野に向かった。期限は2週間とあり、乗合馬車で二日の距離にある場所に出向いた。そして、この場所でマルク達は大変な目に遭う事になるのだった。




 ところ変わって、闇ギルドではディクト達が先輩のアサシンに、頼みごとをしていた。

「先輩!申し訳ねえ……俺達に時間をくれねえか?」

「どういう事だ?お前達に自由なんかないぞ?」

「俺達は今まで頑張ってBランクになった。これは闇ギルド歴代最速だ。これから、闇ギルドでのしあがる上でも借りを返したい奴がいるんだ!」

「マルクとシオンと言う奴か?」

「そうだ!あいつ等が、なぜ生きて帰ってきたのかはわからねえが、あいつ等のせいで俺達はギルドに捕らわれたんだ。あいつ等に報復がしたい!」

「それは構わねえが、失敗はお前達の命で償ってもらうぞ?闇ギルドに失敗の二文字はない。それでもいいのか?もっと腕を上げてからにしたらどうだ?」

「いや……これから闇ギルドでやっていくために、あいつ等はどうしても許せねえんだ」

「本当にいいんだな?次はもうねえぞ?俺はお前達が失敗し生き残った
場合、始末しなきゃいけなくなるんだぞ?」

「ああ!分かっている」

 闇ギルドは仲間意識など無い。失敗した場合、捕まると闇ギルドの情報が外に漏れないようにする為、暗殺されるのだ。
 それとアサシンの先輩は、ディクト達に依頼をやらせて上前をはねていた。その為、救いだした恩はもう返してもらっていたので、成功しようが失敗しようがどちらでも良かった。
 成功すれば、Sランクになるまで依頼をやらせて、依頼料をはねればいいだけと思っていたのだった。




 ヴィトラの情報では、マルクとシオンが荒野に向かった事を掴んでいた。ヴィトラも、闇ギルドで成長し諜報部員として腕を上げていたのだった。

「じゃあ、マルクとシオンを始末しに行くぞ!」

「「「おお!」」」

 そして、ディクト達もマルクと同じ荒野に向かうのだった。



 そして、マルク達は二日ほど乗合馬車で揺られて、小さな町に着いた。ここはサテランの町で村より少し大きな町である。荒野を探索するには、この町を拠点にして捜索するのが便利な町だった。

 荒野は草木が生えていなくて、土がむき出しになっている土地である。ストーンゴーレムやバジリスク、ボスモンスターがいるクイーンアントや兵隊蟻が巣くう不毛の大地だった。

「マルク、ストーンゴーレムは?」

「うん。荒野の浅い場所にいるから問題ないよ」

 ストーンゴーレムは、荒野の浅い場所にある砂塵の谷にいた。この場所はいつも風が吹き砂塵が巻き起こる場所である。

「あっ。いたよ!シオンよろしく!」

 マルクは、シオンに攻撃は任せてストレングスやプロテクションをかけて、シオンのHPの管理をしたのだった。
 シオンは、どんどんゴーレムを討伐していく。スト-ンゴーレムは防御力が高くHPが多いのだが、シオンはマルクのバフのおかげで難なく倒していく殆ど2撃で倒していくのだった。

「マルクの付与魔法は凄いわね。ゴーレムがスライムの様に柔らかいわ」

「油断するなよ?」

「分かってるって!」

 シオンはゴーレムをドンドン討伐していると、どこからかシオンめがけて剣気が飛んできたのだった。

「シオン危ない!」

 シオンはマルクの声に、反応して盾でその剣気を薙ぎ払った。

「なにっ?」

「シオン大丈夫か?」

 マルクはすぐにシオンの側に駆け寄り、剣気が飛んできた方向をみるとそこには4人の人影があった。

「何でこんな事をする?」

「くかかかかかかかか!俺様の剣気を弾くとはお前も成長していたんだな。シオン?」

「何であたしの名前を?」

「あいつはディクトだよ。俺達を始末にしに来たみたいだな?」

「えっ?ディクトなの?だけど顔が?」

「後の3人は、ソフィアにヴァイス、ヴィトラだ」

「なんで?マルクに正体がばれてんだ?」

 ディクト達は指輪でその姿を変えており、看破のスキルじゃないと正体が分からないのだ。なのにマルクが正体を見破った事で、ディクト達は目を見開き驚いていた。

「貴様!もしかして看破を習得したのか?」

「誰が言うかよ!ディクト何で脱走をした?大人しく罪を償えば、まだやり直せたものを……」

「何がやり直せただ?調子に乗ってんじゃねえぞ?」

「罪は償わないというのか?」

「当たり前だ!俺達は好き勝手に生きれるようになったんだ!冒険者なんてもう未練なんかねぇよ!」

「ヴァイス、ソフィア、ヴィトラお前達もそうなのか?」

「「「当たり前だ(よ)!」」」

「しょうがない……ディクト、幼馴染だったのに残念だよ。闇ギルドに落ちているとは思いもしなかった……」

「嘘でしょ?ディクト達闇ギルドに所属しているの?」

「うん……みたいだね。シオン、ディクトを頼んだよ」

「うん。わかった……」

「はっ!シオンが俺に敵うはずねえだろうが!」

「本当にそう思う?」

 シオンはディクトの懐に飛び込んだ。

「なっ、なんだと?いつの間に⁉」

「あんたは、不意打ちでやっとあたしにダメージを与えられるのよ。今のあたしは昔と一緒じゃないわ!」

 ディクトも成長していたが、30レベルから38レベルだった。かたやシオンはすでに45レベルとなっていて、基本能力で勝っていた。その上、マルクのバフが掛かっているのである。勝てる見込みは万に一つもなかったのだ。


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