役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第1章 役に立たないスキル

18話 悪魔のような強さ

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 ディクト達は、闇ギルドから言われてすぐに、リーランの町の近くにある闇ギルドのアジトへ向かった。

「誰だ!」

「待て!味方だよ。俺はサムと言う。闇ギルドCランクの者だ」

 ディクトはサムと名のり、闇ギルドの指輪を見せた。すると見張りの盗賊達は、ホッと安堵しアジトの中へ招き入れた。そして、盗賊の親分である、大男に紹介されたのだった。

「俺はここを取り仕切っているレイビットだ」

 レイビットと言う男は、ここのアジトを取り仕切っている大男で筋骨隆々で2m以上の大男だった。頭はつるっぱげだが髭はボサボサで威圧感のある男である。

「俺はサムだ。闇ギルドではCランクの構成員だ」

「それで闇ギルドがこんなとこに、人を送り込むとはなんかあったのか?」

「闇ギルドでは、近々冒険者ギルドが人を送り込む情報を得た。その為、俺達がその冒険者を始末する為に送り込まれたと言う訳だ」

「ほう!Cランクと言ったがお前達で大丈夫なのか?」

「ためしてみるか?」

「ほう!俺様を見てそういう事が言えるとは大したものだ。頼りにしてるぜ」

 レイビットはディクトの胆力に驚いていた。自分で言うのもなんだが、初めてであんな事を言う人間は初めてだった。そして、レイビットはサムの事を、将来闇ギルドで活躍すると確信に似たものを感じていた。

「ねえ……サム(ディクト)?ここ退屈すぎるんですけど」

「ミル(ソフィア)我慢しろよ?もうすぐ冒険者達が来るから」

「だって、盗賊達ってあたしを変な目でじろじろ見てくるんだよ?」

 ディクト達は、闇ギルドの指輪で姿も変えていた。ミル(ソフィア)は元は可愛らしい顔だったが、今は妖艶な雰囲気を纏ったスタイル抜群な美女となっていた。

 ディクトは小声で、ソフィアにそんなスタイル抜群な美女に化けるからだと文句を言った。

「だって、この方がサム(ディクト)も嬉しいでしょ?」

「まあ、そうだけどな……そんなに退屈なら誘拐した人間と遊んできたらいいだろ?」

「えぇ……もう飽きたよ」

「ガラン(ヴァイス)は捕虜の女と楽しんでいるぞ?」

「ガラン(ヴァイス)と一緒にしないでよ」

 地下牢の方からは、女性の泣き声が聞こえてきていた。雷獣達のミッションは、盗賊達を逮捕しに来る冒険者達から守る事にある。つまり、近々来る冒険者を待つことにあるのだ。それまでやる事はなく退屈な日々が続いた。



 そして、その時がついに来たのだった。

「サム(ディクト)来たみたいよ?」

「分かった。みんな、冒険者きたみたいだ!アジトの奥へと下がっていてくれ」

 すると、盗賊達はディクトの指示に従い、入り口にいた見張りも冒険者の姿を確認すると、アジトの中へと引っ込んでしまった。

 

 その様子を見ていた冒険者達は、罠と思わず見張りの交代かと思ったのだ。

「そろそろ交代だな?」
「あいつ等忘れてんじゃねえのか?」
「また時間も忘れて捕虜の女と遊んでんじゃねえのか?」
「中に入ろうぜ?いつまでも見張りは辛いからな」

 そう言って見張りの盗賊は中に入ってしまったからだ。

「なんだ?えらく不用心な盗賊達だな?」
「ここらで最大の勢力の盗賊達だからな。油断してんじゃねえのか?」
「まあ、俺達にかかったらその勢力も蟻のようだけどな」
「まあ、とにかくチャンスだ!中に突入するぞ」
「「「「「おう!」」」」」

 盗賊の討伐に来たパーティーは、洞窟に流れ込んだ。見張りがいなければ奇襲をかけることができるからだ。

 入り口でもたもたしてると、中の盗賊を呼ばれて逃げられる恐れがあるのだ。しかし、このまま突入すれば、逃げ道をおさえることが出来るのだ。

 冒険者が、洞窟の入り口に入るとそこには二人の人間が立っていた。

「ようこそ盗賊のアジトへ!」

「な、なに!俺達が来る事を知っていたのか?」

「ああ!お前達を始末するのが俺達の仕事だよ」

「はっ!俺達相手にたった二人でどうするつもりだよ?」

「俺達二人じゃないよ。お前達は俺一人に始末されるのさ!」

「ガラン!」

「任せな!」

 ディクトがそう言うと、ヴァイスが洞窟の入り口に土壁を作った。ヴァイスは、闇ギルドに入り成長し土属性魔法を習得しており、ウォールオブストーンを、洞窟の入り口に唱えたのだ。

ウォールオブストーン
 土属性魔法を習得し、レベル30で使用可能。土壁を作る事が出来る。

 ヴァイスは森の外で待機していた。そして、冒険者達が洞窟の中に入ったタイミングで入り口に近づき、ウォールオブストーンを使ったのだ。その結果、盗賊を逃がさないように急いで入った冒険者達が逃げれなくなってしまったのだ。

「なっ!閉じ込められただと?」

「リーダーこうなれば先手必勝だ!」

 冒険者の前衛がディクトに突っ込んだ。すると、突っ込もうとした時目の前に光の壁が現れた。前衛の冒険者は見えない壁に衝突したのだ。

「ミラーウォール!」

 今度はソフィアが光属性の見えない壁を作り出した。その時、冒険者の魔法使いが魔法を唱えたのだった。

「馬鹿!魔法を唱えるな!」

 後方にいた魔法使いは、女の術者に攻撃を加える為に攻撃魔法を唱えたのだ。

 ミラーウォールの怖いところは視覚にとらえれない所だ。前衛がファイターであろうディクトに突っ込めば、パーティーでの魔法使いの役目は、敵の術者に攻撃を加えることである。

「エアーカッター!」

 魔法使いはソフィアにエアカッターを飛ばしたのだ。すると、エアカッターはミラーウォールにはじき返されたのだ。まさか、魔法使いはミラーウォールがあるとは思っておらず、自分の魔法で首を飛ばされてしまったのだ。

ミラーウォール
 光属性魔法を習得し、レベル43で使用可能。光の壁を作り出し、
また、レベル10で1回分魔法をはじき返す。50レベルならば5回
魔法をはじき返す事が可能。

「ミスト!」

 魔法使いの隣にいた聖職者が大声を出した。首を飛ばされてしまえば、蘇生魔法を使うしかない。聖職者はすぐにレザレクションを唱え始めた。

「マティス!」

 聖職者がレザレクションを唱え始めると、その後ろ影からヴィトラがスッと姿を現した。影潜みで姿を消していたようだ。

「バックスタッブ!ハートブレイク!」

 ヴィトラは、マティスにバックスタッブとハートブレイクを決めた。

バックスタッブ
 ローグのアクティブスキルでMPを10消費することで、敵の後ろに
回り込んで攻撃をする事で3倍に引き上げる。相手が気づくと通常攻撃
となる。

ハートブレイク
 ローグのアクティブスキルでMPを20消費することで、急所攻撃を
行なう。20%の確率で即死し、50%で攻撃が3倍となる。

「ぐはっ!」

 マティスは、そのまま崩れ落ち即死してしまった。ヴィトラは冒険者に、にやっと微笑みそのまま影の中に消えてしまったのだ。
 この間、一瞬の出来事だった。洞窟に入って2分も経たず、味方の術者が殺されてしまったのだ。

「何をよそ見している!お前達の相手は俺だぞ」

 いつの間にかミラーウォールが消えており、リーダーの懐にはディクトがいて、剣を振りかぶっていた。

「なっ!」

 ディクトの剣は炎が噴き出していた。ディクトは自分の剣にファイヤーウェポンを付与して斬りつけたのだ。火傷も負わす事が出来て、リジェネレートが使えなくなるようにしたのだった。
 高ランク冒険者は、たいていリジェネレートをアイテムで持っている。その為、手足をとばしても復活するのだ。しかし、飛ばしたところを焼いて細胞を殺してしまえば、そこから復活することは無くなる。

「もう終わりだな!死ねええええ!」

 ディクトの剣は、目にも止まらないスピードでリーダーの腕を斬り落とした。

「ぐわあああああああああああ!」

「貴様!よくもリーダーの腕を!」

 ディクトは、残りの3人の攻撃を余裕でかわし、その首を刎ねてしまった。

「みんな!」

 リーダーは自分の肩をおさえ痛みに耐えていた。しかし、もう反抗する気力は無くなっていた。ディクトは、冒険者にその燃える剣先を向けた。

「言い残す事は?」

「ぐっ……早く殺せ!」

 そう言った瞬間、ディクトは冒険者の脳を貫きあっさりと殺してしまった。


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