役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

文字の大きさ
上 下
13 / 361
第1章 役に立たないスキル

13話 ディクト達、闇に落ちる

しおりを挟む
 マルクとシオンが新たな一歩を歩んでいた時、ディクト達は影に連れ去られていた。

「ちくしょおおおおおお!マルクの奴ぜってえぶっ殺してやる!」
「本当だぜ!あのやろう、なんで生きて帰ってきたんだ!」
「本当よ!あんな奴死んじゃえばよかったのに!」
「……」

「やかましいぞ。大人しくついて来い!」

「それでお前はいったい何者なんだ?」

「察しの悪い奴だな。俺は闇ギルドの人間だよ」

「闇ギルドだと?闇ギルドが俺達に何ようなんだ?」

 ディクト達4人は、黒ずくめの男と地下道を連れられていた。

「お前達は闇ギルドに認められたんだよ!あのまま処刑されるのは勿体ないと思ってな!」

「俺達が勿体ない?」

「ああ!そうだ。おまえたちはSランクスキル持ちなんだろ?このままじゃ、お前達のスキルは無駄になると思ってな。それなら闇ギルドで働いてもらおうと思ったわけだ!」

「だが、闇ギルドに所属すればもう抜けれないんじゃないのか?」

「どちらにしてもお前達は脱走したんだ。戻れると思わないが?それなら、やりたい放題出来る闇ギルドに籍を置いた方が都合は良くないか?」

「本当にやり放題できるのか?」

「まあ、最初は無理だぞ?闇ギルドに所属すればFランクだからな。最初は毒草の採取など雑用ばかりだと思ってくれ」

「なんだよそれ!」

「しかし、Bランクになればお前達も一流として認められる。そうなれば、闇ギルドもお前達の要望は聞けると思うぞ?」

「な、なるほど!」

「特にお前達はSやAランクスキル持ちだ。ランクもすぐに上がるだろう?違うか?」

 ディクト達を救い出したアサシンは言葉巧みに誘導し、ディクト達をその気にさせた。強いとはいえ、まだまだ成人したばかりの子供だ。アサシンはディクト達がいい気分にさせるのは簡単だった。

「あたしは闇ギルドに入るよ!」

「おお、そうか!お前はヴィトラだったな?お前はローグだからな隠密活動に向いてると思うぞ?」

「闇ギルドで成り上がりいずれマルクとシオンをこの手で殺してやる」

「その意気だ!そういう心意気はかうぞ」

 ヴィトラが今までずっと沈黙を貫いていたが、ここにきて発言をした事でディクト達は驚いた。

「それでお前達はどうする?逃げるなら今の内だぞ?所属すれば絶対に逃げれないからな。今なら俺も目をつむってやろう」

「「「……」」」

 ディクト達3人は、お互いを見つめ合い頷くのだった。ここで逃げてもギルドから指名手配になっているのは分かっていた。

「俺達も行く!そして、4人で闇ギルドで成り上がってやるよ!」

「そうか!よく決断をした!ここが闇ギルドリーラン支部だ!」

 アサシンはそう言って、地下道の壁を押したのだった。すると、地下道の壁がゴゴゴゴっと動いて部屋が現れた。そこには、暗い雰囲気の酒場があった。

「お前達には、所属すれば依頼をこなしてもらうぞ」

「「まじかよ!」」

「闇ギルドの依頼は、自分で選ぶんじゃないからな。全部指示だ!」

「なるほど……」

「無理という言い訳は聞かない。依頼成功か失敗だけだ。失敗すれば消されると心しろ!」

「分かったよ……」

 ディクト達は、先輩であるアサシンに闇ギルドの掟をいわれた。そして、所属の手続きをすますとギルドカードではなく指輪を与えられた。

「こ、これは?」

「ギルドカードのようなものだ。そこにお前達の報酬や依頼達成の情報が記録される」

「ほう!カードより便利だな」

「そして、その指輪はマジカルアイテムでな。姿形を変えることが出来る」

「なるほど!逃亡者の俺達にはうってつけと言う訳だな」

「そう言う事だ。それとその姿形は鑑定ではばれることはない」

「それじゃあ、無敵じゃねえか!」

「上位スキルの看破を持つ人間には注意しろよ」

「なるほど看破ならばれると言うのか……」

「まあ、看破を持っている人間は滅多にいないから大丈夫だろ」

「「「「確かに!」」」」

「お前達パーティー名は雷神でいいのか?」

「いや……雷獣にする!」

「ほう!いい名だ。早速お前達に依頼を出す」

「ああ!俺達は成り上がってやる」

 ディクト達は、闇ギルドに入り、のし上がっていくことになる。それも歴代一位早くBランクへと。そして、マルク達に近い将来襲い掛かる事になる。




 そして、一方マルクとシオンは、着実にその実力を伸ばしていた。

「ねえ、マルク?」

「どうかしたのか?」

「何でこの依頼を受けたの?」

「冒険者は、依頼主が困っているものから順に受けるものだって、父さんが言っていたからね」

「でも、アイアンウルフの討伐って大丈夫かな?それにフォレストウルフが何十頭もついているみたいだって……」

 マルクとシオンは、その被害があった村に馬車で向かっていた。乗合馬車で半日の距離にある名もない村だった。
 アイアンウルフとは、牙は鉄のように硬く毛並みも欠のように硬い魔物である。しかし、村の予算が無いようでDランクとしては安くて誰も受けていなかったのだ。

「確かに5000ミストは安いかもしれないけど、お金じゃないと思うよ。討伐すれば感謝され、人とのつながりが増えるんだよ」

「確かにおじさんとおばさんは、今でもリーランの町で感謝されていたものね」

「うん。父さんと母さんのおかげで僕はあの町で生活できていたと言っても過言じゃないからね。今度は俺がいろんなとこで返していく番だよ」

「うん、わかったわ。あたしもおじさん達のような冒険者になるわ」

 二人はこれからの事を笑顔で話していた。しかし、村で起こる問題はマルク達には予想もしていなかった。

 村に着いたマルク達は、村の門番に挨拶をした。この村にも、マルクの父親と同じく冒険者を引退し、村の用心棒がいる。

「冒険者か?」

「はい!依頼を受けやってきました」

「君達がか?まだ若いように見えるが、相手はアイアンウルフだぞ?それにフォレストウルフが20頭以上しもべのようについている。やめておいた方が……」

「だいじょうぶです!こう見えても僕達は強いので」
「そうよ。見かけで判断したらおじさんでも許さないんだから」

「そうか……それは悪かったな。冒険者は自己責任だ。まあ、頑張ってくれ。村長の家はここを真っ直ぐいって、鶏小屋がある家だ」

「はい!ありがとうございます」

 用心棒の元冒険者は、村長の家を教えたのだった。マルクとシオンは教えられた家に向かった。この村もマルク達の村の様に時間がゆっくり流れて、子供達の声が聞こえていた。冒険者が珍しいのであろう。遠くからこちらを興味津々に見ていた。

「すいませーん。リーランの町から依頼を受けに来ました」

 マルクの声に、家の中から村長が出てきた。村長は、長い眉毛で長いひげを生やし、まるで仙人のような風貌だった。しかし、マルクとシオンが依頼を受けてくれたと聞いて、笑顔がしわくちゃになって喜んでいた。

「依頼料が安くてすまんのう……よく依頼を受けてくださった。感謝します」

「いえいえ!あたし達が来たら大船に乗った気持ちでいてください」

「ほう!若いのに頼りになるのう」

「それで、狼の出没はどのあたりに?」

「もう向かうのかい?もうすぐ日が落ちる明日の朝にしたらどうだね?」

「なんでも村の家畜が荒らされると聞いたのですが?」

「そうなんじゃ……村の牛がもう何十頭と被害が出ておる……今晩も襲ってくるかもしれんのう……」

「だったら、ここで見張りをした方が早そうですね」

「構わぬのか?」

「そうですね、森の中に入るより待ち伏せの方が早そうです」

 そういって、マルクとシオンは徹夜をすることになった。


しおりを挟む
感想 99

あなたにおすすめの小説

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。 亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。 さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。 南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。 ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる

けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ  俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる  だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った

処理中です...