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第1章 役に立たないスキル
2話 絶望
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その日はこの小さな村は、朝からお祭りのようになり生誕7年祭と称され年に一回のお祭りだった。
村の広場には出店が並び、教会の司祭様が村の教会に出張される日である。神聖の儀は、司祭様という位の高い聖職者が村にやって来る。
日頃は、シスターが一人この教会を管理しているのだ。そして、村の子供達はこの日を楽しみにして前の日は興奮して眠れない日を過ごす。寝坊して神聖の儀に遅刻してしまうと、町の教会に行き神聖の儀を受けないと1年待たないといけなくなるのだ。
朝、教会の前にはこの年に生まれた子供達が集まっていて、賑やかに司祭様の到着を待っていた。
「おおおお!司祭様の馬車だ!」
司祭の馬車は、重厚感にあふれ鉄で作られた馬車だ。馬も4頭引きで豪華であり、周りには豪華なフルプレートメイルを装備した聖騎士がその護衛をしていた。
窓から顔を出した司祭は笑顔で子供達の顔をみた。
「この村は良いのう。子供達も元気そうじゃ」
司祭は、高齢の男性だが威厳に満ち溢れているが、その権威を振りかざす訳ではなく、馬車から降りると子供達に近づき頭を撫でるような優しい人間である。
そして、護衛を務める聖騎士達も子供達からあこがれの目で見られて、子供達を抱き上げ相手をするような優しい人間だった。
すると、この村の教会を管理するシスターが、司祭に近づき挨拶をした。
「司祭様、遠路はるばるようこそおいでになられました。神聖の儀の準備は整っております」
「そうか。メルも久しいのう。元気だったか?」
「はい。この村は実に生活しやすい場所でございます」
毎年同じ挨拶だが、お互いニッコリ笑い挨拶を済ませた。司祭は子供達にニッコリ微笑みかけ、教会の奥へと入っていった。聖騎士達10人もまた司祭についていくのだった。
「やっぱり聖騎士ってかっこいいなあ!」
「本当だぜ!」
「あたしは聖職者になりたいなあ」
ソフィアはそう言った。
「ソフィアちゃんは教会に入るつもりなのか?」
ディクトが驚いてそう聞いてきた。
「違うよ。聖職者になって神聖魔法を使って、マルクと冒険者になるって約束しているの」
「そういう事か!なら、俺も剣士になってソフィアちゃんを守ってあげるよ」
「ディクト君も冒険者になるつもりなの?」
「ソフィアちゃんが冒険者になると言うのなら俺もなるぜ」
「じゃあ、みんな一緒に冒険者になって冒険が出来るといいね?」
「そうだな?で、マルクは何になるつもりなんだ?」
「僕は魔法使いになる!」
「そうか。お前のお母さんも魔法使いだったよな?」
「うん!小さいころから魔法に興味があってね。魔法でソフィアを守りたいんだ」
7歳になると、マルクとディクトは普通にライバル関係にあった。ディクトの言葉はきついものはあるが、今の状況はそこまできついものではなかった。そして、時間が来て神聖の儀がとりおこなわれる。
「さて、どの子から神聖の儀を行うかのう?」
「じゃあ、俺からお願いします!」
「ほう!ディクト君からじゃな。女神神像の前に来なさい」
「はい!よろしくお願いします!」
「元気な良い子じゃ。女神様この子に良いスキルを与えたまえ。そして、将来幸せな生活が送れる手助けをしてください」
司祭は、ディクトの生活がよくなるように女神神像に祈った。すると、女神神像が輝きだし、淡い光がディクトを包み込んだ。
「ほう!これは凄い!」
司祭は、ディクトに与えられたスキルが分かったが、それを言う事はなくディクトの頭をポンポンと撫でた。
「ディクト君はこれまでいい子だったようじゃ。スキルもとてもいいものが授けられたのう!」
「あ、ありがとうございます!」
ディクトもステータスと唱えると何がもらえたのか分かる。その結果に大喜びをしたのだった。ステータスオープンと言えば、他人にも見せることができるが、この地点で他人にみせることは絶対にないのだ。
ディクトに与えられたレアスキルは、剣術(S)盾術(S)とインフィニティーブレイク(S)というスキルであった。
剣術(S)
剣を扱えば達人クラス以上で人外といわれるクラス。
ダメージ・クリティカル威力・クリティカル率・攻撃回数全てが、Dランクの
10倍になる。
盾術(S)
盾を扱えば達人クラス以上で人外と言われるクラス。
防御・回避力がDランクの10倍になる
インフィニティーブレイク(S)
自分の中心に半径10m以内にいる敵全てに極大ダメージを与える事が
でき、スキル発動中は攻撃力・攻撃回数・クリティカル威力・クリティカル率・
防御・回避力全て20倍に跳ね上がる。
ダメージは、剣の基本ダメージ×(STR÷10)×20。効果時間は
1分。クールタイムは1時間である。
ディクトはとんでもないスキルを手に入れたのだった。このスキルは100年に1度の才能と言っても良かった。
そして、ヴァイスは鈍器(S)と戦斧(A)を貰いパワー系のファイターになれると喜んでいた。ソフィアも又神聖魔法(S)信仰心(S)を貰い聖女クラスのスキルを貰った。
次にヴィトラは短剣術(A)罠発見解除(A)を貰いローグとして活躍できそうだった。レアスキルがAランクと言えどDランクの5倍の威力を持ちとんでもない才能である。
「じゃあ、次は僕が!」
「マルク待って……次はあたしにやらせて?」
「えっ?」
「何かみんなすごいスキルを貰っているみたいだし……最後はなんかね……」
「な、なるほど……構わないよ。シオンが先に行きなよ」
「ありがとう。じゃあ先に行かせてもらうわね」
「いいスキル貰えるといいね」
「うん」
そうしてマルクは、シオンに先に受けてもらう事にした。シオンのレアスキルは剣術(C)だった。これはDランクの2倍の威力を出せるスキルで冒険者として活躍できるものだった。
決して悪いスキルではなく、周りが凄すぎただけである。しかし、何を貰ったかは個人情報となり秘密である。
「やった!いいスキルだわ」
「ふむ。良かったのう。君も普通以上の生活が保障されたと言っても良いぞ」
「司祭様ありがとうございます」
「シオンちゃんの活躍を期待しておるぞ」
「はい!」
そして、最後はこの年最後の7歳児マルクだった。
「最後は君じゃな。マルク君、女神神像に祈るのじゃ」
マルクは返事をして、女神神像に祈りをささげた。すると、女神神像が輝きだしたが、今までとは違い淡い光が包み込む事はなく、光が集束しマルクの脳天に撃ちこまれたのだった。
「な、なんじゃ⁉こんな現象は初めてじゃ」
司祭も驚き声をあげたほどだった。そして、マルクに与えられたレアスキルは魔法(E)だった。その結果に司祭は驚愕し、そしてマルクの顔を見て哀れんだ表情となっていた。
「マルク君……このようなスキルに負けず力強く生きるのだぞ……」
司祭も又、どのように声をかけたらいいのかわからず励ます事が精一杯だった。
Eランクスキルも又、Sランクスキルと同じぐらい出にくいもので、50年に一人出るかどうかだったのだ。絶望に打ちひしがれていたマルクは、司祭の言葉が耳に入ってこなかった。ステータスで見ると魔法(E)MPが異常に多くなると書かれていた。
そして、不思議な事に魔法スキルなのに属性が記載されていないのだ。普通なら火属性魔法(E)とかになるのにただ魔法としか書かれていないのだ。
「これは生活魔法なのか?レアスキルで生活魔法って……役に立たないだろう……ははっ」
マルクには、乾いた笑いしか出てこなかった。
村の広場には出店が並び、教会の司祭様が村の教会に出張される日である。神聖の儀は、司祭様という位の高い聖職者が村にやって来る。
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朝、教会の前にはこの年に生まれた子供達が集まっていて、賑やかに司祭様の到着を待っていた。
「おおおお!司祭様の馬車だ!」
司祭の馬車は、重厚感にあふれ鉄で作られた馬車だ。馬も4頭引きで豪華であり、周りには豪華なフルプレートメイルを装備した聖騎士がその護衛をしていた。
窓から顔を出した司祭は笑顔で子供達の顔をみた。
「この村は良いのう。子供達も元気そうじゃ」
司祭は、高齢の男性だが威厳に満ち溢れているが、その権威を振りかざす訳ではなく、馬車から降りると子供達に近づき頭を撫でるような優しい人間である。
そして、護衛を務める聖騎士達も子供達からあこがれの目で見られて、子供達を抱き上げ相手をするような優しい人間だった。
すると、この村の教会を管理するシスターが、司祭に近づき挨拶をした。
「司祭様、遠路はるばるようこそおいでになられました。神聖の儀の準備は整っております」
「そうか。メルも久しいのう。元気だったか?」
「はい。この村は実に生活しやすい場所でございます」
毎年同じ挨拶だが、お互いニッコリ笑い挨拶を済ませた。司祭は子供達にニッコリ微笑みかけ、教会の奥へと入っていった。聖騎士達10人もまた司祭についていくのだった。
「やっぱり聖騎士ってかっこいいなあ!」
「本当だぜ!」
「あたしは聖職者になりたいなあ」
ソフィアはそう言った。
「ソフィアちゃんは教会に入るつもりなのか?」
ディクトが驚いてそう聞いてきた。
「違うよ。聖職者になって神聖魔法を使って、マルクと冒険者になるって約束しているの」
「そういう事か!なら、俺も剣士になってソフィアちゃんを守ってあげるよ」
「ディクト君も冒険者になるつもりなの?」
「ソフィアちゃんが冒険者になると言うのなら俺もなるぜ」
「じゃあ、みんな一緒に冒険者になって冒険が出来るといいね?」
「そうだな?で、マルクは何になるつもりなんだ?」
「僕は魔法使いになる!」
「そうか。お前のお母さんも魔法使いだったよな?」
「うん!小さいころから魔法に興味があってね。魔法でソフィアを守りたいんだ」
7歳になると、マルクとディクトは普通にライバル関係にあった。ディクトの言葉はきついものはあるが、今の状況はそこまできついものではなかった。そして、時間が来て神聖の儀がとりおこなわれる。
「さて、どの子から神聖の儀を行うかのう?」
「じゃあ、俺からお願いします!」
「ほう!ディクト君からじゃな。女神神像の前に来なさい」
「はい!よろしくお願いします!」
「元気な良い子じゃ。女神様この子に良いスキルを与えたまえ。そして、将来幸せな生活が送れる手助けをしてください」
司祭は、ディクトの生活がよくなるように女神神像に祈った。すると、女神神像が輝きだし、淡い光がディクトを包み込んだ。
「ほう!これは凄い!」
司祭は、ディクトに与えられたスキルが分かったが、それを言う事はなくディクトの頭をポンポンと撫でた。
「ディクト君はこれまでいい子だったようじゃ。スキルもとてもいいものが授けられたのう!」
「あ、ありがとうございます!」
ディクトもステータスと唱えると何がもらえたのか分かる。その結果に大喜びをしたのだった。ステータスオープンと言えば、他人にも見せることができるが、この地点で他人にみせることは絶対にないのだ。
ディクトに与えられたレアスキルは、剣術(S)盾術(S)とインフィニティーブレイク(S)というスキルであった。
剣術(S)
剣を扱えば達人クラス以上で人外といわれるクラス。
ダメージ・クリティカル威力・クリティカル率・攻撃回数全てが、Dランクの
10倍になる。
盾術(S)
盾を扱えば達人クラス以上で人外と言われるクラス。
防御・回避力がDランクの10倍になる
インフィニティーブレイク(S)
自分の中心に半径10m以内にいる敵全てに極大ダメージを与える事が
でき、スキル発動中は攻撃力・攻撃回数・クリティカル威力・クリティカル率・
防御・回避力全て20倍に跳ね上がる。
ダメージは、剣の基本ダメージ×(STR÷10)×20。効果時間は
1分。クールタイムは1時間である。
ディクトはとんでもないスキルを手に入れたのだった。このスキルは100年に1度の才能と言っても良かった。
そして、ヴァイスは鈍器(S)と戦斧(A)を貰いパワー系のファイターになれると喜んでいた。ソフィアも又神聖魔法(S)信仰心(S)を貰い聖女クラスのスキルを貰った。
次にヴィトラは短剣術(A)罠発見解除(A)を貰いローグとして活躍できそうだった。レアスキルがAランクと言えどDランクの5倍の威力を持ちとんでもない才能である。
「じゃあ、次は僕が!」
「マルク待って……次はあたしにやらせて?」
「えっ?」
「何かみんなすごいスキルを貰っているみたいだし……最後はなんかね……」
「な、なるほど……構わないよ。シオンが先に行きなよ」
「ありがとう。じゃあ先に行かせてもらうわね」
「いいスキル貰えるといいね」
「うん」
そうしてマルクは、シオンに先に受けてもらう事にした。シオンのレアスキルは剣術(C)だった。これはDランクの2倍の威力を出せるスキルで冒険者として活躍できるものだった。
決して悪いスキルではなく、周りが凄すぎただけである。しかし、何を貰ったかは個人情報となり秘密である。
「やった!いいスキルだわ」
「ふむ。良かったのう。君も普通以上の生活が保障されたと言っても良いぞ」
「司祭様ありがとうございます」
「シオンちゃんの活躍を期待しておるぞ」
「はい!」
そして、最後はこの年最後の7歳児マルクだった。
「最後は君じゃな。マルク君、女神神像に祈るのじゃ」
マルクは返事をして、女神神像に祈りをささげた。すると、女神神像が輝きだしたが、今までとは違い淡い光が包み込む事はなく、光が集束しマルクの脳天に撃ちこまれたのだった。
「な、なんじゃ⁉こんな現象は初めてじゃ」
司祭も驚き声をあげたほどだった。そして、マルクに与えられたレアスキルは魔法(E)だった。その結果に司祭は驚愕し、そしてマルクの顔を見て哀れんだ表情となっていた。
「マルク君……このようなスキルに負けず力強く生きるのだぞ……」
司祭も又、どのように声をかけたらいいのかわからず励ます事が精一杯だった。
Eランクスキルも又、Sランクスキルと同じぐらい出にくいもので、50年に一人出るかどうかだったのだ。絶望に打ちひしがれていたマルクは、司祭の言葉が耳に入ってこなかった。ステータスで見ると魔法(E)MPが異常に多くなると書かれていた。
そして、不思議な事に魔法スキルなのに属性が記載されていないのだ。普通なら火属性魔法(E)とかになるのにただ魔法としか書かれていないのだ。
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マルクには、乾いた笑いしか出てこなかった。
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