無能と呼ばれてパーティーを追放!最強に成り上がり人生最高!

本条蒼依

文字の大きさ
上 下
51 / 60

51話 新たな頼み事

しおりを挟む
 リコールで瞬間移動したクロスは、オウカの家に戻って来た。王都にあるクロスの家には誰も侵入することができない結界を張って心配することはなかった。

 これは、魔石を使った結界方法で王城と同じシステムだった。しかも、クロスの張った結界は、魔王スキル6レベルで張ったのもである。
 つまり、クロスの購入した家の敷地には誰も入ることが出来ない程強力な結界である。

「おい……これ見てみろよ」
「なんだこれ?」
「この結界って王城と同じものか?」
「あのクロスと言う人間いったいどうなっているんだ?」

 王都では兵士達が、クロスの家を警戒していたが入る事も出来ず、佇むだけしかできなかった。そして、まさかクロスがこの地点でムーンタリアに出かけているとは思いもしていなかった。

「これで、自由に王都とムーンタリアを気軽に行き来できるな」

 クロスは、そう言いながら工房に入りポーションを作り、オウカの帰りを待っていた。夕方、オウカは家に帰ってきた。すると家から美味しそうな匂いがしてオウカは家に飛び込んできた。

「クロス!帰ってきてるの?」

 オウカの声に、クロスが厨房から顔を出した。

「あっ、オウカおかえり。ご飯もう少しでできるから……」

 オウカはクロスの姿を見て、腕の中に飛び込んで来た。

「クロスぅーーーーー!」

 オウカは、1週間ぶりにクロスを見て泣き出してしまった。クロスには今回の計画を聞いてはいたが、やはり相手は王国であり上手く行くのか心配だった。
 普通、平民であるクロスが国王や貴族に対して反抗などしたら、不敬罪で一発アウトである。オウカはクロスが無事に帰ってきたことが本当に嬉しかった。

「何だよ。泣かなくたっていいだろ?」

「だってぇ。クロスは心配するなって言ってたけどやっぱり心配だったから……」

「心配かけてごめんな」

 クロスは、オウカが泣き止むまでずっと抱きしめていた。そして、落ち着いたようでクロスは食事の用意をして、久しぶりにオウカと二人でゆっくりしたのだった。

「それで、本当にもう大丈夫なの?」

「ああ、俺なりの実力を見せておいたから多分大丈夫だ」

「でも、クロスって大胆な事を考えるのね?」

「今回、国王の命令で王都に住む様にと命令された事で、ギルドは俺を守るどころか王国に差し出しただろ?」

「えぇ……ギルドって国とは関係のない組織って言ってたのに、あの選択はびっくりしたわ」

「結局は、自分を守るのは自分って事がよくわかったよ。世の中、力が全てとは言わないけど俺のスキルが覚醒して今回ほど良かったと思ったことはなかったよ」

「それで、これからどうするの?」

「どうもしないさ。俺はここムーンタリアの町を拠点にして、2週間に1回でいいかな王都の依頼を受けるのは」

「そんな少なくて大丈夫なの?」

「俺としては1ヶ月に1回でもいいと思っているんだが、王都の周辺を調べたんだが薬草の種類や量、後魔物の生息分布はたいしたものだったから、あっちの依頼も受けてみようと思うんだ」

「なるほどね。クロスがそこまで言うのなら余程依頼の報酬が高いんだね」

「やっぱり、冒険者のレベルが上がると、王都中心部に移住する冒険者の気持ちは分かるかな」

「そんなに違うの?」

「ギルドの依頼だけじゃなく生活が便利だと思うよ。売っている物も種類が多いし、無い物がないって感じだしな」

「へえ!そういう事聞くとあたしも行ってみたくなるな」

「ああ、そうだな。今度王都でデートしようか?」

「行ってみたいけどそれは無理だよ。王都まで馬車で2ヶ月。時間がかかりすぎるよ」

「いやいや、向こうに魔法陣を設置したから大丈夫だよ」

「リコールを登録するのに、あたしが一回王都に行かないといけないじゃない」

「確かにリコールとなると、術者のみしか転移できないけど、リコールの上位版があると言ったらどうする?」

「リコールの上位版?」

「こっちに来てみて?」

 クロスはオウカに【ゲート】を見せた。クロスはゲートを唱えると、その場所に青く輝いた光の入り口を出したのだった。

「中に入って見て?」

「で、でも……」

「いいからいいから」

 やはり未知なものは怖くて、クロスは躊躇していたオウカの手を取り、一緒にゲートの中に入った。すると、そこは王都に購入したクロスの家の中だった。

「ここは?」

「ここが、王都の俺の家だよ」

 オウカは、このゲートと言う魔法に目を見開き驚いた。術者以外の他人を瞬間移動させる魔法が存在するとは思いもしなかった。

「クロス!この魔法誰かにしゃべった?」

「いいや、オウカだけだよ」

「そう……」

 オウカは、ホッとして胸をなでおろした。

「こんな魔法、国に知られたら本当にやばいと思うけどな」

「そうよ!クロスは絶対戦争が起こったら駆り出されるわよ」

「まあ、俺は戦争に協力するつもりはないけどな」

「こんな魔法があれば無理やり協力させられるわよ。この魔法があれば、兵士を一瞬で全員を運ぶことが出来るんだもの」

「まあな。それよりこの魔法陣をリコールに登録したらいいよ。これでオウカもリコールで、王都に気軽に来れる様になるよ」

「でも、この家セキュリティーは大丈夫?」

「ああ!王城と同じシステムだよ。しかも、レベルはこっちの方が高いから、誰も侵入する事なんてできないよ」

 クロスは、無責任にカラカラ笑っていた。その姿を見てオウカは、これだけの力があったなら誰にも縛られないと納得したのだった。それが、国家権力だったとしても、クロスの方が優位に立てると呆気に取られていた。

 すると、家の外から大声で、クロスの事を呼ぶ声が聞こえてきたのだった。

「クロス殿ぉ!いらっしゃいませんか?」
「「「「「クロス殿ぉ~~~~~!」」」」」

 クロスが、玄関を開けるとそこには数名の兵士達がいた。

「あっ、やっと出てきてくれた。クロス殿、頼みたいことがあります!」

 クロスは、玄関先まで出て行くのだった。

「なにかあったのか?」

「すいません!あんなことをして頼める義理はないのですが、国王の相談にのっていただけないでしょうか?」

「国王の相談?俺は、国王の命令でここに移住したんだぞ?そして、貴族達に罵詈雑言を言われ、殺されかけたのに頼み?」

「うっ……そ、それは……」

「ホント、王族や貴族と言う人種は、自分勝手な人種なんだな?」

「何と言われても構いません!只、今はクロス殿の力が必要なのです。お願いします!国王に力を貸していただけませんか?」

 騎士団は、その場に土下座したのだった。

しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!

よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。 10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。 ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。 同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。 皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。 こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。 そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。 しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。 その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。 そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした! 更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。 これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。 ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました

遥 かずら
ファンタジー
冒険者ギルドに所属しているエンジは剣と魔法の才能が無く、文字を書くことだけが取り柄であった。落ちこぼれスキル【転写】を使いギルド帳の筆記作業で生計を立てていた。そんなある日、立ち寄った勇者パーティーの貴重な古代書を間違って書き写してしまい、盗人扱いされ、勇者によってギルドから追放されてしまう。 追放されたエンジは、【転写】スキルが、物やスキル、ステータスや魔法に至るまで何でも【コピー】できるほどに極められていることに気が付く。 やがて彼は【コピー】マスターと呼ばれ、世界最強の冒険者となっていくのであった。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

処理中です...