無能と呼ばれてパーティーを追放!最強に成り上がり人生最高!

本条蒼依

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51話 新たな頼み事

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 リコールで瞬間移動したクロスは、オウカの家に戻って来た。王都にあるクロスの家には誰も侵入することができない結界を張って心配することはなかった。

 これは、魔石を使った結界方法で王城と同じシステムだった。しかも、クロスの張った結界は、魔王スキル6レベルで張ったのもである。
 つまり、クロスの購入した家の敷地には誰も入ることが出来ない程強力な結界である。

「おい……これ見てみろよ」
「なんだこれ?」
「この結界って王城と同じものか?」
「あのクロスと言う人間いったいどうなっているんだ?」

 王都では兵士達が、クロスの家を警戒していたが入る事も出来ず、佇むだけしかできなかった。そして、まさかクロスがこの地点でムーンタリアに出かけているとは思いもしていなかった。

「これで、自由に王都とムーンタリアを気軽に行き来できるな」

 クロスは、そう言いながら工房に入りポーションを作り、オウカの帰りを待っていた。夕方、オウカは家に帰ってきた。すると家から美味しそうな匂いがしてオウカは家に飛び込んできた。

「クロス!帰ってきてるの?」

 オウカの声に、クロスが厨房から顔を出した。

「あっ、オウカおかえり。ご飯もう少しでできるから……」

 オウカはクロスの姿を見て、腕の中に飛び込んで来た。

「クロスぅーーーーー!」

 オウカは、1週間ぶりにクロスを見て泣き出してしまった。クロスには今回の計画を聞いてはいたが、やはり相手は王国であり上手く行くのか心配だった。
 普通、平民であるクロスが国王や貴族に対して反抗などしたら、不敬罪で一発アウトである。オウカはクロスが無事に帰ってきたことが本当に嬉しかった。

「何だよ。泣かなくたっていいだろ?」

「だってぇ。クロスは心配するなって言ってたけどやっぱり心配だったから……」

「心配かけてごめんな」

 クロスは、オウカが泣き止むまでずっと抱きしめていた。そして、落ち着いたようでクロスは食事の用意をして、久しぶりにオウカと二人でゆっくりしたのだった。

「それで、本当にもう大丈夫なの?」

「ああ、俺なりの実力を見せておいたから多分大丈夫だ」

「でも、クロスって大胆な事を考えるのね?」

「今回、国王の命令で王都に住む様にと命令された事で、ギルドは俺を守るどころか王国に差し出しただろ?」

「えぇ……ギルドって国とは関係のない組織って言ってたのに、あの選択はびっくりしたわ」

「結局は、自分を守るのは自分って事がよくわかったよ。世の中、力が全てとは言わないけど俺のスキルが覚醒して今回ほど良かったと思ったことはなかったよ」

「それで、これからどうするの?」

「どうもしないさ。俺はここムーンタリアの町を拠点にして、2週間に1回でいいかな王都の依頼を受けるのは」

「そんな少なくて大丈夫なの?」

「俺としては1ヶ月に1回でもいいと思っているんだが、王都の周辺を調べたんだが薬草の種類や量、後魔物の生息分布はたいしたものだったから、あっちの依頼も受けてみようと思うんだ」

「なるほどね。クロスがそこまで言うのなら余程依頼の報酬が高いんだね」

「やっぱり、冒険者のレベルが上がると、王都中心部に移住する冒険者の気持ちは分かるかな」

「そんなに違うの?」

「ギルドの依頼だけじゃなく生活が便利だと思うよ。売っている物も種類が多いし、無い物がないって感じだしな」

「へえ!そういう事聞くとあたしも行ってみたくなるな」

「ああ、そうだな。今度王都でデートしようか?」

「行ってみたいけどそれは無理だよ。王都まで馬車で2ヶ月。時間がかかりすぎるよ」

「いやいや、向こうに魔法陣を設置したから大丈夫だよ」

「リコールを登録するのに、あたしが一回王都に行かないといけないじゃない」

「確かにリコールとなると、術者のみしか転移できないけど、リコールの上位版があると言ったらどうする?」

「リコールの上位版?」

「こっちに来てみて?」

 クロスはオウカに【ゲート】を見せた。クロスはゲートを唱えると、その場所に青く輝いた光の入り口を出したのだった。

「中に入って見て?」

「で、でも……」

「いいからいいから」

 やはり未知なものは怖くて、クロスは躊躇していたオウカの手を取り、一緒にゲートの中に入った。すると、そこは王都に購入したクロスの家の中だった。

「ここは?」

「ここが、王都の俺の家だよ」

 オウカは、このゲートと言う魔法に目を見開き驚いた。術者以外の他人を瞬間移動させる魔法が存在するとは思いもしなかった。

「クロス!この魔法誰かにしゃべった?」

「いいや、オウカだけだよ」

「そう……」

 オウカは、ホッとして胸をなでおろした。

「こんな魔法、国に知られたら本当にやばいと思うけどな」

「そうよ!クロスは絶対戦争が起こったら駆り出されるわよ」

「まあ、俺は戦争に協力するつもりはないけどな」

「こんな魔法があれば無理やり協力させられるわよ。この魔法があれば、兵士を一瞬で全員を運ぶことが出来るんだもの」

「まあな。それよりこの魔法陣をリコールに登録したらいいよ。これでオウカもリコールで、王都に気軽に来れる様になるよ」

「でも、この家セキュリティーは大丈夫?」

「ああ!王城と同じシステムだよ。しかも、レベルはこっちの方が高いから、誰も侵入する事なんてできないよ」

 クロスは、無責任にカラカラ笑っていた。その姿を見てオウカは、これだけの力があったなら誰にも縛られないと納得したのだった。それが、国家権力だったとしても、クロスの方が優位に立てると呆気に取られていた。

 すると、家の外から大声で、クロスの事を呼ぶ声が聞こえてきたのだった。

「クロス殿ぉ!いらっしゃいませんか?」
「「「「「クロス殿ぉ~~~~~!」」」」」

 クロスが、玄関を開けるとそこには数名の兵士達がいた。

「あっ、やっと出てきてくれた。クロス殿、頼みたいことがあります!」

 クロスは、玄関先まで出て行くのだった。

「なにかあったのか?」

「すいません!あんなことをして頼める義理はないのですが、国王の相談にのっていただけないでしょうか?」

「国王の相談?俺は、国王の命令でここに移住したんだぞ?そして、貴族達に罵詈雑言を言われ、殺されかけたのに頼み?」

「うっ……そ、それは……」

「ホント、王族や貴族と言う人種は、自分勝手な人種なんだな?」

「何と言われても構いません!只、今はクロス殿の力が必要なのです。お願いします!国王に力を貸していただけませんか?」

 騎士団は、その場に土下座したのだった。

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