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24話 オウカの不安

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 クロスとオウカは、冒険のお準備をする為町にくりだしていた。

「親父さん!ヒールポーションを10本・キュアポーション5本おくれ」

「お、クロス久しぶりだな。冒険に出るのか?」

「ああ!今回はダンジョンに行こうと思っているんだ」

「そうかい。だったら薬草を取ってきてもらえねえか?」

「ああ!ギルドでも言われたよ。何でも数が足りないらしいな」

「そうなんだよ。薬草が無けりゃ商売あがったりなんだ……」

「もうちょっと辛抱してくれよ。今、冒険者全員で採取を行っているらしいからさ」

「それは本当か?」

「ああ、受付嬢がそうみんなに協力を募っていたから間違いないぞ」

「そいつはありがてえ」

「今回のスタンピードで、冒険者も親父さん達のありがたみがよくわかったらしいな」

「そうかそうか!」

 クロスとポーション屋の親父との会話を聞いて、まわりにいたお店の人間が笑顔になっていたのだった。
 これで素材が足りなくなるような事がなくなると思っての事だった。今回、スタンピードでは町の人達は冒険者達に感謝をしていた。ああいう時、自分達は何もできなくて避難しか出来なかったからだ。
 しかし、冒険者達は町を守るために体を張り魔物を退け、何人かの冒険者は犠牲になったと聞く。薬草さえあれば自分達もポーションで協力出来たが、在庫が少なくてポーションが作れなかった事を悔していたのだ。

「だから、もうちょっとだけ待っていてくれよ」

「ああ、わかったよ。そういう事なら、じきにギルドで売り出すだろうからそれまで我慢してやるよ」

「親父さんらしいな。はははははは!」





 クロスとオウカは、東のダンジョンへ向かった。

「ねえ、クロス?」

「なんだ?」

「暁の事なんだけど、ラナベルとマリアの事は残念だったわね。あたし、てっきり暁のメンバー全員から嫌われていたんだと思っていたわ」

「まあ、全員から嫌われていたとは思うよ」

「でも、ギルドマスターには否定してたんじゃ……」

「マリアとラナベルは筋が通ってたさ。俺が足手まといになり、本来ならやらなくていい仕事をさせてしまっていたから、俺はあの二人から怒られていただけだよ。他の3人からは、理不尽な怒られ方をしていたけどな……」

「だから、結果的に暁みんなから嫌われていた事には違いないと思うぞ」

「なるほどね……それでもう一つ聞きたいんだけど?」

「蘇生の事か?」

「そう!それ。実際にはどうなの?」

「蘇生できると思うよ。やったことはないけど、頭の中には蘇生の魔法はあるからな」

「だったら!」

「いや、やめておこう……俺も蘇生はしてあげたいが、生き返ってもすぐに処刑されるんじゃ意味が無いだろ?2人の苦痛を増やすだけだ」

「それもそうよね……」

「俺が、この魔法を使うときはオウカだけだと思うよ」

「えっ?あたし死ぬの?」

「そうじゃない!俺が……」

「冗談よ。分かっているからそんな焦らないで」

「ったく……」

「えへっ。クロスありがとね」 

 オウカは、クロスの気持ちが嬉しくて、クロスの頬にキスをした。

「……」

 オウカは、キスをしたことが恥ずかしくなり、タッタッタと小走りでクロスの前に出た。

(オウカありがとな。俺はお前と一緒になれて幸せだよ)



 そして、東のダンジョンに着く前の開けた土地に、薬草の群生地を見つけてクロス達は笑顔になり大量の薬草を採取したのだった。

「これで、当分の間薬草不足は解消できるんじゃないか?」

「そうね。まさかこんなところに群生地があるとは思わなかったわ。クロスなんでわかったの?」

「俺には神眼があるからな」

「神眼って、人のステータスやアイテム鑑定だけじゃないの?」

「いや、千里眼と言って遠くを見渡す事も出来るんだよ」

「凄いわね!クロスって本当に何でもありじゃない」

「俺も驚いているよ。まさか俺が、こんなにオールマイティーに活躍できるとは思ってもいなかったよ」

「何かあたしが役立たずになりそうで不安だわ……」

「そう言うなって。戦闘の前衛は任せたからな」

「なんかあたしって、戦闘だけしかできない脳筋みたいでいやだなあ……」

「何言ってんだよ。適材適所って言葉があるだろ?オウカは、今までソロでやって来た経験ってものがあるんだから自信を持てって」

「うう……」

「俺はスキル頼りで、経験が無いんだから戦闘ではオウカの方が強いんだぞ」

「でも、クロスはスキルのおかげで、やっぱり前衛も強いんでしょ?」

「まあ、武神ってスキルがあるからな。それはしょうがないと言えばしょうがないかもな」

「ほら!やっぱりそうなんじゃない」

「まあ、俺達の連携はこれからって事だよ。俺一人でやるよりオウカが前衛で戦って、それをサポートした俺達の戦い方があるよ。だから、そんな落ち込む事はないよ」

「わ、分かった……」

 クロスは、オウカの肩をポンポンと擦り慰めるのだった。クロスもオウカの不安な気持ちはよくわかったからだ。クロス自身も暁にいたときは、足手まといでなんとか役に立ちたいと思っていた。
 だが、Sランクの職業を羨ましく思い、自分のEランクの職業にコンプレックスを感じていたから、オウカの気持ちは自分の事のようにわかっていた。

「オウカ、いつまで落ち込んでいるつもりだ?」

「う、うん……」

「ほら、ダンジョンが見えたぞ。気合を入れろ!そんな事じゃ本当に、俺がオウカを蘇生しないといけない事になるぞ?」

「う、うん。わかった!気合を入れ直すね」

「その調子で頼むぞ!」

 オウカは、クロスが今まで暁でこんな気持ちで頑張っていたと分かった。いや、自分はまだレア職でありAランクであるだけ贅沢な悩みだと思い、ダンジョンに入る前に気持ちを入れ替えるのだった。

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