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5話 ギルドの対応
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ガナッシュ達は、今回の実入りに気分を良くして町に帰還したのだった。そして、ギルドにクロスの死亡届を提出した。
「えっ⁉クロスさんが死んだ?」
「ああ……あいつ今回レベルを上げようと躍起になって戦えないのに前に出やがって……」
「あれじゃ……助かる者も助からんよ」
「わたしも回復しようとしたんだけど間に合わなくて……」
パーティー暁のメンバーは、全員がクロスの自業自得だと申告したのだった。
「あなた達、クロスさんをわざと見殺しにしたんじゃないでしょうね?」
「ファ、ファナ!な、何を証拠に!」
「ガナッシュさん、何をそんなに焦る必要があるの?」
「馬鹿な事を言うな!あいつは、俺達の中でも無能だったのは、ここにいる人間全員が知っているはずだ」
「えぇ!確かに貴方達メンバーが、クロスさんを脱退させたがっていたこともね」
「そんなの当り前だろ?俺達はレベルがここまで上がって、さらに上を目指すつもりだ。いつまでたっても、あいつだけ1レベルのままじゃ犠牲になると思っての事だ」
「だから、あなた達は手っ取り早く、クロスさんを犠牲にしたとも考えられるわ」
「そんな事は……わたしはクロスが死なない様に回復をしていたわ。今回だって、クロスが焦って前に出て必死で回復してた。そのため、5階層ほどでMPの半分を失ったぐらいよ」
すると、話を聞いていた周りの冒険者が騒めいたのだった。
「オイオイ……5階層でヒーラーのMPが半分尽きたって本当か?」
「そんな事ありえないだろ」
「魔法使いのDランクじゃあるまいし……」
「確かマリアさんって」
「ああ!聖女のSランクだよ」
「そんなバカな!だとしたら、やはりクロスが無茶をしたとしか……」
「ああ……ガナッシュ達もレア職業のSランクだ。5階層ごときでマリアさんのMPを、そんな消費させるとは思えないからな」
冒険者達は、自分の経験をもとに分析して話していた。これには、受付嬢のファナもガナッシュ達の話しを信じるしかなかったのである。
「周りの話を聞いたか?俺達の話の方が信憑性があるだろ?俺達は必死にフォローはしたんだ。しかし、あいつが先走った結果死んじまったんだよ」
「分かりました。貴方達の話を信じます。いらぬ邪推をしたことを謝罪いたします」
受付嬢のファナは、ガナッシュ達に丁寧に謝罪した。
「分かってくれたらいいんだよ。謝罪を受け入れるよ」
「申し訳ありませんでした……」
すると、一人の女性が声を上げたのだった。
「ちょっと待ってください!それでおわりなんですか?」
「オウカさん、いきなりなんですか?」
「あたしは、クロスさんにお世話になりました。ここにいる人間も少なからずお世話になっていると思います」
オウカの言葉に、冒険者達は興味を示したのである。
「だから、何なんですか?」
「ギルドも、採取依頼でお世話になっていたんじゃありませんか?」
「それはそうですが、だから何を言いたいのですか?」
「ギルドで、救出部隊を結成してたすけにいきましょうよ!みんなもそう思いませんか?」
「若いころクロスに助けられたしな」
「そうだな」
「あのダンジョンなら俺達も潜れるだろう」
受付嬢も、オウカの意見に賛成しようとしたが、そこにギルドマスターが部屋から出てきたのだった。
「ちょっと待て!」
「「「「「ギルドマスター」」」」」
オウカの言葉で、ギルド仲がまとまりかけたところ、ギルドマスターはクロスの救出を止めたのだった。
「クロスを救出する事はやめるんだ!」
「な、何でですか!」
「まあ、それが普通だわな」
「ガナッシュさんまで、何で賛同しているのですか?クロスさんは、長年同じパーティーメンバーだったじゃないですか」
「オウカさん、俺からこんな事を言うのは何なんだが、クロスの救出は無理だよ」
「だからなんでですか?」
「そりゃそうだろ。クロスを救出する依頼が無いからだ。依頼のないものをギルドが動くわけないだろ?」
「だ、だから、クロスさんにお世話になった人が動こうとしているんじゃ無いですか?」
「それもギルド規約に反しているからだよ」
「規約……」
「ああ、そうだ。冒険者の生死はその人物の自己責任って事だ。俺達暁が、クロスは足並みを違え突っ込んだことにより死亡したと証言しているんだぜ。そんな人間を救出?馬鹿も休み休み言えよ」
「そ、そんな……」
「オウカ、ギルドマスターとして忠告する。ギルドを動かしたいのであれば、お前が依頼を出すか、個人で救出することだ!」
「ギルドは、クロスさんに恩は感じていないのですか?」
「感じていないと言ったら嘘になるが、もし今回そういう理由でギルドが動いたら、他の人間が遭難しても同じ行動に出ねばならん。そんな事できるわけないから、クロスの事で動くのは無理だ!」
ギルドマスターも又、そう言いながら辛いが、ギルドのトップとしての行動を貫く事しか出来なかった。
「それに、みんなも一つ忠告しておくが、もし仮にクロスが救出されたとして、あいつが冒険者としてやっていけると思うか?俺達はもう死んでいるものとして扱っているから、パーティーから外す手続きを取る。助けたとして、あいつの面倒をお前等が見るのか?」
ガナッシュの言葉に、他の冒険者は下を向いた。日頃のクロスを見ていたらそれも無理はなかった。仮にパーティーの空きがあったとして、誘うのなら少しでも有能な人間にしたいのは当然である。
それに、クロスが今までやってこれたのは、Sランクの勇者パーティーだからだと、他の人間は思っていたのだ。
「俺のパーティーはもう6人だか無理だ」
「私の所もです」
「俺の所は空きはあるが、クロスをフォローできるとは思えん」
「申し訳ないうちもだ……」
結局、ガナッシュの言葉に、他の冒険者は尻込みしてしまったのだった。
「えっ⁉クロスさんが死んだ?」
「ああ……あいつ今回レベルを上げようと躍起になって戦えないのに前に出やがって……」
「あれじゃ……助かる者も助からんよ」
「わたしも回復しようとしたんだけど間に合わなくて……」
パーティー暁のメンバーは、全員がクロスの自業自得だと申告したのだった。
「あなた達、クロスさんをわざと見殺しにしたんじゃないでしょうね?」
「ファ、ファナ!な、何を証拠に!」
「ガナッシュさん、何をそんなに焦る必要があるの?」
「馬鹿な事を言うな!あいつは、俺達の中でも無能だったのは、ここにいる人間全員が知っているはずだ」
「えぇ!確かに貴方達メンバーが、クロスさんを脱退させたがっていたこともね」
「そんなの当り前だろ?俺達はレベルがここまで上がって、さらに上を目指すつもりだ。いつまでたっても、あいつだけ1レベルのままじゃ犠牲になると思っての事だ」
「だから、あなた達は手っ取り早く、クロスさんを犠牲にしたとも考えられるわ」
「そんな事は……わたしはクロスが死なない様に回復をしていたわ。今回だって、クロスが焦って前に出て必死で回復してた。そのため、5階層ほどでMPの半分を失ったぐらいよ」
すると、話を聞いていた周りの冒険者が騒めいたのだった。
「オイオイ……5階層でヒーラーのMPが半分尽きたって本当か?」
「そんな事ありえないだろ」
「魔法使いのDランクじゃあるまいし……」
「確かマリアさんって」
「ああ!聖女のSランクだよ」
「そんなバカな!だとしたら、やはりクロスが無茶をしたとしか……」
「ああ……ガナッシュ達もレア職業のSランクだ。5階層ごときでマリアさんのMPを、そんな消費させるとは思えないからな」
冒険者達は、自分の経験をもとに分析して話していた。これには、受付嬢のファナもガナッシュ達の話しを信じるしかなかったのである。
「周りの話を聞いたか?俺達の話の方が信憑性があるだろ?俺達は必死にフォローはしたんだ。しかし、あいつが先走った結果死んじまったんだよ」
「分かりました。貴方達の話を信じます。いらぬ邪推をしたことを謝罪いたします」
受付嬢のファナは、ガナッシュ達に丁寧に謝罪した。
「分かってくれたらいいんだよ。謝罪を受け入れるよ」
「申し訳ありませんでした……」
すると、一人の女性が声を上げたのだった。
「ちょっと待ってください!それでおわりなんですか?」
「オウカさん、いきなりなんですか?」
「あたしは、クロスさんにお世話になりました。ここにいる人間も少なからずお世話になっていると思います」
オウカの言葉に、冒険者達は興味を示したのである。
「だから、何なんですか?」
「ギルドも、採取依頼でお世話になっていたんじゃありませんか?」
「それはそうですが、だから何を言いたいのですか?」
「ギルドで、救出部隊を結成してたすけにいきましょうよ!みんなもそう思いませんか?」
「若いころクロスに助けられたしな」
「そうだな」
「あのダンジョンなら俺達も潜れるだろう」
受付嬢も、オウカの意見に賛成しようとしたが、そこにギルドマスターが部屋から出てきたのだった。
「ちょっと待て!」
「「「「「ギルドマスター」」」」」
オウカの言葉で、ギルド仲がまとまりかけたところ、ギルドマスターはクロスの救出を止めたのだった。
「クロスを救出する事はやめるんだ!」
「な、何でですか!」
「まあ、それが普通だわな」
「ガナッシュさんまで、何で賛同しているのですか?クロスさんは、長年同じパーティーメンバーだったじゃないですか」
「オウカさん、俺からこんな事を言うのは何なんだが、クロスの救出は無理だよ」
「だからなんでですか?」
「そりゃそうだろ。クロスを救出する依頼が無いからだ。依頼のないものをギルドが動くわけないだろ?」
「だ、だから、クロスさんにお世話になった人が動こうとしているんじゃ無いですか?」
「それもギルド規約に反しているからだよ」
「規約……」
「ああ、そうだ。冒険者の生死はその人物の自己責任って事だ。俺達暁が、クロスは足並みを違え突っ込んだことにより死亡したと証言しているんだぜ。そんな人間を救出?馬鹿も休み休み言えよ」
「そ、そんな……」
「オウカ、ギルドマスターとして忠告する。ギルドを動かしたいのであれば、お前が依頼を出すか、個人で救出することだ!」
「ギルドは、クロスさんに恩は感じていないのですか?」
「感じていないと言ったら嘘になるが、もし今回そういう理由でギルドが動いたら、他の人間が遭難しても同じ行動に出ねばならん。そんな事できるわけないから、クロスの事で動くのは無理だ!」
ギルドマスターも又、そう言いながら辛いが、ギルドのトップとしての行動を貫く事しか出来なかった。
「それに、みんなも一つ忠告しておくが、もし仮にクロスが救出されたとして、あいつが冒険者としてやっていけると思うか?俺達はもう死んでいるものとして扱っているから、パーティーから外す手続きを取る。助けたとして、あいつの面倒をお前等が見るのか?」
ガナッシュの言葉に、他の冒険者は下を向いた。日頃のクロスを見ていたらそれも無理はなかった。仮にパーティーの空きがあったとして、誘うのなら少しでも有能な人間にしたいのは当然である。
それに、クロスが今までやってこれたのは、Sランクの勇者パーティーだからだと、他の人間は思っていたのだ。
「俺のパーティーはもう6人だか無理だ」
「私の所もです」
「俺の所は空きはあるが、クロスをフォローできるとは思えん」
「申し訳ないうちもだ……」
結局、ガナッシュの言葉に、他の冒険者は尻込みしてしまったのだった。
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