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15話 女神の忠告
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女神エステは、マサルとコンタクトを取る為、妹二人の力をかりた。そして、マサルの寝ている夢の中に入る事が出来たのだった。
「マ……マサ……マサルさん……」
「えっ!ここは?」
マサルは何もない真っ白な空間にいた。
「えっ⁉僕……また死んだ?」
「いいえ?死んではいませんよ」
マサルは声のする方を向くと、そこには女神エステの姿があり、マサルに頭を下げてきたのだった。
「このたびは申し訳ありませんでした」
「えっ?な、なに?何で謝っているのですか?」
「わたしは、今の世界が錬金術師にとって住みづらい世の中だったとは思いもしなかったのです。その為、マサルさんに錬金術師を勧めてしまい、本当に申し訳ございません」
女神エステは、心底申し訳なさそうにしていたのだった。
「ああ、そんな事ですか?頭を上げてください。錬金術師はソフィアから聞きましたが、確かに住みづらい世の中ですが、今は楽しくやっているので気にしないでください。今の人生は本当に楽しいですよ」
「そ、それはよかったです」
「でも、僕が現世に着たらもう会う事はないと言っていたのに、わざわざその為に会いに来てくれたのですか?」
「いえ、ここからが本題なのです。今すぐにでもその村から離れる準備をしてほしいのです」
「どういうことですか?やっと落ち着いたばかりなのに!それに、お店も開く事が出来て冒険者達から感謝もされているのですよ?」
「本当に申し訳なく思いますが、今回ゴブリンの件でマサルさんは領主に目をつけられたのです。村長達も逆らう事が出来ないと判断し、平静を装いマサルさんを犠牲にして村の利益を優先したのです」
「なっ⁉」
「もし、領主に捕まったら屋敷の地下牢にでも閉じ込められ、マサルさんは一生ポーションを作り続けるだけの人生になります」
「そ、それって……」
「そうです……領主の金の成る木として一生を過ごす事になります」
「そ、そんな!村長は何でそんな判断を?」
「所詮は村の長です。領主に逆らいあなたを救ったら村自体に重税を掛けられ、村から人がいなくなるだけです。それならあなた一人犠牲にしたほうが手っ取り早いのです」
「このままでは2、3日中に領主が来て、マサルさんは……そうならない様に収納箱に全ての物を収納して、その土地から逃げてください。わたしはそのことを伝えにあなたの夢枕に立ったのです」
「僕はこの村が気に入り始めていたのに……また、僕は他人に利用され続けるのですか……」
「本当に申し訳ございません……これも、全てわたしのせいです。世の中がこんな事になっているとは……」
エステは、再びマサルに頭を下げたのだった。
「女神様は、本当に錬金術師が不遇な扱いになっていることを知らなかったのですか?」
女神エステは今の立場を説明して、管理職にある事を打ち明けた。現場から離れて数百年経っていて、そんな短い間にそこまで変わっているとは思わなかったと言われてしまったのだった。
その説明は、ソフィアの言っていた事と変わらなくて、時間の流れの感覚が、自分とは違い過ぎると感じられた。
そして、女神エステの謝罪は今も続き、本当に悪いと思っているのがマサルに伝わったのだった。
「マサルさん……わたしがこういう事をいうのはおかしいのですが、命の危険がある場合躊躇してはいけません。この世界はマサルさんがいた地球とは違いますから、自分を守れるのは自分だけです。いいですね?」
女神エステは、マサルに言い聞かせるように真剣な目つきになって訴えたのだった。
「わ、分かりました……」
「次の場所が決まったら、ポーションづくりはもっと効果をおさえてくださいね」
「でも、どうやったら……」
「マサルさんは、日本人特有の丁寧さがあるのです。薬草の下処理や魔物の素材の抽出作業が丁寧すぎるのですよ」
「えっ?」
「つまり、数少ない錬金術師の中でも丁寧にポーションを製作しているから、他のポーションより効果が高くなっているのです」
「なるほど……もっと手を抜いたらいいという事ですか?」
「はい……」
すると女神エステの姿が、周りの真っ白い景色と同化して見えにくくなってきた。
「時間が来たようです……これ以上はもう……いいですか?今すぐその村を離れる準備をしてください……」
「わかりました。わざわざ会いに来てくれて本当にありがとうございます!」
「私はこれからもあなたの事を見てま……す……から……この人生を……たのし……んでください……」
そこで、マサルは目を覚ましたのだった。すると、マサルの部屋にソフィアとルナが飛び込んできたのだった。
「「ご主人様!」」
「な、なんだ?」
「今すぐここを脱出してください!」
「そうです!今夢の中に女神様が!」
どうやら、女神エステはソフィアとルナの夢の中にも立っていたようだ。
「ああ!同じ夢を見たようだね?もうすぐここに領主がやって来るみたいだ。明日、明後日には着くみたいだから、とりあえず家の中の物はすべて持っていこう!」
マサルは、収納箱にベットやら家具食材など生活に必要な物を全て収納してしまった。
そして、マサルは姿を消す事が出来るポーション【インビジビリティーポーション】を二人に渡した。そして、村の外に各自で脱出し、北の森で落ち合う事にしたのだった。
姿を消すと、自分達も何か見破る手段がなければ一緒に行動はできないからだ。だったら、個人で脱出した方が素早く行動が出来るのである。
「二人ともいいな?北の森にある広場の大樹のもとで落ち合うぞ」
「「分かりました」」
「ポーションを飲んだら8時間は姿が消えたままになるが、意識的に切る事も可能だし、何かあった時の為に予備として一本与えておくし大丈夫だと思うから、4時間後に大樹の下で姿を現してくれ」
「「はい!」」
こうして、マサル達は誰も見られることはなく、モーレンの村を脱出する事が出来たのだった。
そして、その日いつまでたっても開かないポーションの店をおかしく思い、村人たちがマサルを訪ね昼過ぎになってようやく、もぬけの殻になっていた事が発覚したのだ。
それを発見したルーデンスは、村長の家に飛び込んだのはいう間でもなかった。
「マ……マサ……マサルさん……」
「えっ!ここは?」
マサルは何もない真っ白な空間にいた。
「えっ⁉僕……また死んだ?」
「いいえ?死んではいませんよ」
マサルは声のする方を向くと、そこには女神エステの姿があり、マサルに頭を下げてきたのだった。
「このたびは申し訳ありませんでした」
「えっ?な、なに?何で謝っているのですか?」
「わたしは、今の世界が錬金術師にとって住みづらい世の中だったとは思いもしなかったのです。その為、マサルさんに錬金術師を勧めてしまい、本当に申し訳ございません」
女神エステは、心底申し訳なさそうにしていたのだった。
「ああ、そんな事ですか?頭を上げてください。錬金術師はソフィアから聞きましたが、確かに住みづらい世の中ですが、今は楽しくやっているので気にしないでください。今の人生は本当に楽しいですよ」
「そ、それはよかったです」
「でも、僕が現世に着たらもう会う事はないと言っていたのに、わざわざその為に会いに来てくれたのですか?」
「いえ、ここからが本題なのです。今すぐにでもその村から離れる準備をしてほしいのです」
「どういうことですか?やっと落ち着いたばかりなのに!それに、お店も開く事が出来て冒険者達から感謝もされているのですよ?」
「本当に申し訳なく思いますが、今回ゴブリンの件でマサルさんは領主に目をつけられたのです。村長達も逆らう事が出来ないと判断し、平静を装いマサルさんを犠牲にして村の利益を優先したのです」
「なっ⁉」
「もし、領主に捕まったら屋敷の地下牢にでも閉じ込められ、マサルさんは一生ポーションを作り続けるだけの人生になります」
「そ、それって……」
「そうです……領主の金の成る木として一生を過ごす事になります」
「そ、そんな!村長は何でそんな判断を?」
「所詮は村の長です。領主に逆らいあなたを救ったら村自体に重税を掛けられ、村から人がいなくなるだけです。それならあなた一人犠牲にしたほうが手っ取り早いのです」
「このままでは2、3日中に領主が来て、マサルさんは……そうならない様に収納箱に全ての物を収納して、その土地から逃げてください。わたしはそのことを伝えにあなたの夢枕に立ったのです」
「僕はこの村が気に入り始めていたのに……また、僕は他人に利用され続けるのですか……」
「本当に申し訳ございません……これも、全てわたしのせいです。世の中がこんな事になっているとは……」
エステは、再びマサルに頭を下げたのだった。
「女神様は、本当に錬金術師が不遇な扱いになっていることを知らなかったのですか?」
女神エステは今の立場を説明して、管理職にある事を打ち明けた。現場から離れて数百年経っていて、そんな短い間にそこまで変わっているとは思わなかったと言われてしまったのだった。
その説明は、ソフィアの言っていた事と変わらなくて、時間の流れの感覚が、自分とは違い過ぎると感じられた。
そして、女神エステの謝罪は今も続き、本当に悪いと思っているのがマサルに伝わったのだった。
「マサルさん……わたしがこういう事をいうのはおかしいのですが、命の危険がある場合躊躇してはいけません。この世界はマサルさんがいた地球とは違いますから、自分を守れるのは自分だけです。いいですね?」
女神エステは、マサルに言い聞かせるように真剣な目つきになって訴えたのだった。
「わ、分かりました……」
「次の場所が決まったら、ポーションづくりはもっと効果をおさえてくださいね」
「でも、どうやったら……」
「マサルさんは、日本人特有の丁寧さがあるのです。薬草の下処理や魔物の素材の抽出作業が丁寧すぎるのですよ」
「えっ?」
「つまり、数少ない錬金術師の中でも丁寧にポーションを製作しているから、他のポーションより効果が高くなっているのです」
「なるほど……もっと手を抜いたらいいという事ですか?」
「はい……」
すると女神エステの姿が、周りの真っ白い景色と同化して見えにくくなってきた。
「時間が来たようです……これ以上はもう……いいですか?今すぐその村を離れる準備をしてください……」
「わかりました。わざわざ会いに来てくれて本当にありがとうございます!」
「私はこれからもあなたの事を見てま……す……から……この人生を……たのし……んでください……」
そこで、マサルは目を覚ましたのだった。すると、マサルの部屋にソフィアとルナが飛び込んできたのだった。
「「ご主人様!」」
「な、なんだ?」
「今すぐここを脱出してください!」
「そうです!今夢の中に女神様が!」
どうやら、女神エステはソフィアとルナの夢の中にも立っていたようだ。
「ああ!同じ夢を見たようだね?もうすぐここに領主がやって来るみたいだ。明日、明後日には着くみたいだから、とりあえず家の中の物はすべて持っていこう!」
マサルは、収納箱にベットやら家具食材など生活に必要な物を全て収納してしまった。
そして、マサルは姿を消す事が出来るポーション【インビジビリティーポーション】を二人に渡した。そして、村の外に各自で脱出し、北の森で落ち合う事にしたのだった。
姿を消すと、自分達も何か見破る手段がなければ一緒に行動はできないからだ。だったら、個人で脱出した方が素早く行動が出来るのである。
「二人ともいいな?北の森にある広場の大樹のもとで落ち合うぞ」
「「分かりました」」
「ポーションを飲んだら8時間は姿が消えたままになるが、意識的に切る事も可能だし、何かあった時の為に予備として一本与えておくし大丈夫だと思うから、4時間後に大樹の下で姿を現してくれ」
「「はい!」」
こうして、マサル達は誰も見られることはなく、モーレンの村を脱出する事が出来たのだった。
そして、その日いつまでたっても開かないポーションの店をおかしく思い、村人たちがマサルを訪ね昼過ぎになってようやく、もぬけの殻になっていた事が発覚したのだ。
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