社畜のおじさん過労で死に、異世界でダンジョンマスターと なり自由に行動し、それを脅かす人間には容赦しません。

本条蒼依

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13話 マサルの能力

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 村長がゴブリンの情報を聞いて、すぐさまギルドに依頼を出した。近い町でも2日かかり早馬を飛ばして伝達し、12時間後にはギルドに依頼が出たようだ。

 モーレンの村にはギルドがまだない。かなり大きい村だがそれでも村の周りにはダンジョンが無い為、必要が無いのである。
 今回の様に、何かあれば早馬を飛ばす事で、半日で依頼が出せる位置にあるモーレンの村では十分だった。

「ハッサン。どんな感じだった?」

「あれは俺達だけでは無理だ……ギルドからの援軍が来ない事にはどうにもならん……」

「どういう事だ?」

「あの規模になると、キングがいてもおかしくはない……」

「な、何だと……俺がいるのに、そんな集落になるまで気が付かなかったとは……」

 ルーデンスはベテラン冒険者だった。引退できるまで一線で活躍できる冒険者は、全体の一握りである。いろんな経験を持ち、ゴブリンが集落を持つ兆しなんか、本来であればすぐ見破ることができるのだ。

「ルーデンス。お前がいても分からなかったのは無理はない……」

「なんでだ?」

「集落の側に洞窟があるんだよ。多分、あれは……出来たばかりのダンジョンの可能性が高い」

「ダ、ダンジョンだと?」

「ああ……その為、ゴブリンはダンジョンの中に餌を求めて、村には被害が無かったんだと思う」

「それで増えすぎて、ダンジョンだけではまかないきれなくなったという訳か……」

「それにもう一つゴブリンの集落は崖の下にある……それも見つからなかった要因のひとつだな」

「そ、そっか……」

「まあ、そんな落ち込む必要はないさ。もうじき冒険者達がやって来る」

「ああ……ゴブリンたちをこのままにしたら本当にやばいからな……」

「それにしても、話は変わるがこの村にいる錬金術師のマサルだったか?」

「ああ、それがどうかしたのか?」

「あいつはたいしたもんだぜ。俺達冒険者に役立つポーション一通り作れるじゃねえか。ヒールポーションも効果が高いだけじゃないんだ」

「そうなのか?売っているアイテムはヒールとキュアしか売ってなかったはずだが……」

「いやいや、普段はそれだけで十分だろ?作り置きしても売れないんだからな」

「確かにそうか……」

「さっき言ったら、ストレングス・プロテクション・スピードポーションそれにシャープネスまで置いてあったぞ」

「それだけあれば、ゴブリンの討伐も楽になるな」

 ハッサンとルーデンスは、そんな事を話しながら討伐隊の到着を待っていた。



 そのころ、マサルの店ではソフィアがマサルと話をしていた。

「ご主人様?今回の討伐には参加はしないんですよね?」

「ああ。するつもりはないよ。ルナも参加はさせるつもりはないから心配しなくていいよ」

「そうですか……安心しました」

「僕は、この村でソフィアとルナと一緒に、のんびり生活出来たらいいからな」

「はい」

「でも、ご主人様このポーションの種類すごいですね」

「ルナもそう思うか?今までちょっとづつ作り続けていたから、やっと売れると思うと嬉しくなるよ」

「たしかに、今度の討伐隊は人数が凄い事になるから、全部売れると思いますよ」

「だよな。だけど、これがすんだらまた、オーガの角とかウォッシャータートルの甲羅とか集め直さないといけないけどな」

「それなら任せといてください!あたしが又集めて来ますよ」

「ああ!ルナ、期待しているよ」

「はい!」

 マサル達はこれからも続く幸せを確信していたが、このゴブリン討伐で必要以上に目立つことになり、貴族達から目をつけられる事になるとは、マサル達はまだ知らなかった。


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