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4話 エルフの少女
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マサルは、奴隷というものになじみがなかった為、町に着くまで悩みに悩んだ。そして、結局奴隷を一人貰う事にしたのだった。これは、疾風の狼のメンバー達からの助言のようなものがあったからだ。
「マサルってホントどんな生活をしていたんだ?」
「ホントよね。そんな事も分からないんじゃ生活するのに苦労するし、悪い奴に騙されるわよ」
「だから、奴隷をもらったほうがいいんじゃねえ?」
「私達は、これから行く町は通過点だから一緒にいれないわよ?」
「う、うん……確かにそうですね。ガルドさんやっぱり一人譲っていただけますか?」
「そうですか。私もマサルさんにお礼が出来てうれしく思います。手続きは町に着いてからになりますが、どの奴隷をお求めになりますか?」
マサルは、ガルドに言われて奴隷を見たのだった。マサルはドキドキしたのである。子供の頃やっていたゲームの中の登場人物がそこにいたからだ。
エルフやドワーフ、竜人等がいて、当然だが獣人も耳がぴょこぴょこして可愛かった。
「マサルさん。もし、情報が欲しいのならこのエルフがお勧めですよ」
そこには、見たこともない美しいエルフがいた。線が細くて、腕なんかちょっと力を入れたら折れそうだが、絶妙な肉付きをしていて貧相な感じではなく、女性特有の丸みを帯びていたのだった。
「こんな人を見て、美しいと思った人間は初めてです」
「マサルさんは本当に変わっていますね……この者達は人間ではありませんよ。亜人を可愛いだなんて!」
「どういう事です?」
「こいつ等は人間じゃない。人間によく似た半端者ですよ」
マサルは、そう言いのけるガルドに眉をしかめたのだった。
「あ、あの……少しよろしいですか?」
「何ですかな?なんでもお聞きしてください」
「ひょっとして奴隷って、こういった種族の人ばかりで人間はいないのですか?」
「いいや。そんなことはないですよ。人間の奴隷がよろしかったのですか?」
「あっ、いや、そういうわけでは……」
「このエルフにしておきなさいって。知識は何百年と持っているし、家事や身の回りの世話も出来るし、文字の読み書きも出来るから店を持ったとき手伝いも出来るはずですよ」
「そうですか。ではこの女性をよろしくお願いします」
マサルは少し引っかかったが、ガルドの言う事を聞いた。そして、エルフの女性は、マサルの言う事にびっくりして目を大きくしていたのだった。
そして、奴隷達はコソコソ話をしていたが、気を止める事もなくオラクールの町に到着したのだった。
町は高い城壁に囲まれていて、間違いなく異世界に来たことを実感したマサルだった。
「す、すげえ!あんな高い壁みたことないよ」
「マサルさんは、本当に町に来たことが無いのですね。他の町も城壁に囲まれ、このオラクールの町はまだ小さい方ですよ」
「へええ!」
「俺達が向かうのはもっと大きい町だぞ?」
ランガは、自分の事のようにドヤ顔をして、マサルに自慢してきた。
「これ以上でかいんだ?」
「まあ、マサルも余裕が出来たら一度行ってみたらいいんじゃねえか?」
「ああ!分かったよ」
旅を一緒にしてきた疾風の狼のメンバーとすっかり打ち解けていた。そして、城門の前にやって来ると、門には兵士が立っていた。
「身分書をいいですか?」
手慣れた手つきでドンドンさばいていく。しかし、マサルは身分書がないため、兵士に違うとこに連れて行かれそうになった。
「兵士さんちょっと待ってください。このマサルさんは田舎から出てきて、途中私達を救ってくれたのです。身分は私が保証するから待っていただけますか?」
「そんなに焦らなくて大丈夫だ。初めてこの町に来た者には全員こちらに来てもらい、水晶を触ってもらうだけだから」
「水晶?」
「ああ、そうだ。君の身元が分からないからな。善悪を判断してもらう魔道具に触ってほしいだけだよ。君が犯罪者なら水晶は赤く光る。もし、赤く光った場合、町への入場は出来なくなるが、犯罪など犯してないだろ?」
「ええ!そんな事はしていません」
マサルは自信満々に答えたのだった。そして、当然の事だが水晶は青く光り、犯罪者ではないと証明された。
「そしたら銅貨5枚を支払ってくれるか?町への入場料だ」
マサルは女神から貰っていた銅貨を5枚支払った。価値としては50円である。マサルは、女神からもらったお金は大量にあり、お店を買えるほどあったと聞いていたので、女神に感謝をしていた。
「マサルさんは、収納箱もお持ちになり鑑定も持っているのですよね?」
「そうですね。師匠から店を開業できると言われていました」
「何の商売をやるかは分からないですが、このエルフにいろいろ聞くといいですよ。アドバイスを貰えますからね」
そう言われて、マサルは笑顔を見せた。そして、町に入りガルドは【疾風の狼】に護衛料承諾の書類を手渡していた。疾風の狼はこの承諾書を、ギルドにもっていけば換金される仕組みだと言っていた。
リーダーのハンスは、マサルと会えて命を救ってくれたことを何度もお辞儀してギルドに帰っていた。その時、メンバーの人間にも握手を求められ感謝をされたのだった。
そして、マサルはガルドと共に奴隷商会に向かったのだった。
「あのガルドさん?気になる事があるのですがよろしいですか?」
「ああ。構いませんよ。なにが聞きたいのですか?」
「奴隷の事です」
「何が知りたいのですか?」
「奴隷の扱いの事ですよ。聞いているとなんか引っかかるんですよね?」
ガルドは、奴隷の事を説明し出した。
「それでは、基本の所から説明しますが、まず部屋に入りゆっくりしましょう」
特別奴隷
貴族が没落したり、誘拐で攫われた子供達が救われた時ここに分類される
事になる。金額の天井が無いほど高価。
借金奴隷
暮らしに困り借金が返せなかったり、口減らしで子供達を売りに出す事で
堕ちた奴隷。値段はピンからキリまで。
戦争奴隷
敗戦した国で戦闘に参加していた奴隷。護衛に購入される奴隷。
値段は実力に左右される為高価。
犯罪奴隷
犯罪で囚われた奴隷。使いつぶす目的で購入される。その為安価。
「種類としてはこんな所ですね」
「奴隷に堕ちると奴隷からは解放とかはないのですか?」
「まあ、そんな事をする主人がいたら見てみたいものですね。奴隷とは所有物です。要は、その人間の財産ですからね」
「な、なるほど……」
「ですが、奴隷といっても犯罪奴隷以外は、ご飯は1日2食は貰えるし飢える事はないですしね。服だって最低限の物は用意してあげてください。まあ、これは主人その人にお任せしている事で絶対ではないのですがね……」
「な、なるほど……」
「それに、奴隷とは隷属魔法で契約を結びます。その為、奴隷は主人の言う事に絶対服従ですが、自殺しろとか殺害の命令は出来ません。これは、犯罪奴隷に対しても有効です」
「分かりました」
マサルは、一通りの説明を受けて安心したところもあった。エルフや獣人が人間に虐待されているのではないかと思っていたのだった。しかし、そんなことはなくガルドの店が、エルフやドワーフ達亜人が専門の店だったのだ。
つまり、何の不正もなく国から正規に認められた店だった。エルフがいる国でも、借金を背負ったエルフや獣人は例外なく奴隷として売られていると聞いたので安心したのだった。
「それで、納得いきましたか?」
「あっ、はい!納得いきました」
「それで、馬車の中にいたこのエルフでよろしいですか?」
「はい!この娘でよろしくお願いします」
マサルは、このエルフを気に入っていた。こんな美女が近くにいて、色んなサポートをしてくれると思いワクワクして、契約を結んだのだった。
「マサルってホントどんな生活をしていたんだ?」
「ホントよね。そんな事も分からないんじゃ生活するのに苦労するし、悪い奴に騙されるわよ」
「だから、奴隷をもらったほうがいいんじゃねえ?」
「私達は、これから行く町は通過点だから一緒にいれないわよ?」
「う、うん……確かにそうですね。ガルドさんやっぱり一人譲っていただけますか?」
「そうですか。私もマサルさんにお礼が出来てうれしく思います。手続きは町に着いてからになりますが、どの奴隷をお求めになりますか?」
マサルは、ガルドに言われて奴隷を見たのだった。マサルはドキドキしたのである。子供の頃やっていたゲームの中の登場人物がそこにいたからだ。
エルフやドワーフ、竜人等がいて、当然だが獣人も耳がぴょこぴょこして可愛かった。
「マサルさん。もし、情報が欲しいのならこのエルフがお勧めですよ」
そこには、見たこともない美しいエルフがいた。線が細くて、腕なんかちょっと力を入れたら折れそうだが、絶妙な肉付きをしていて貧相な感じではなく、女性特有の丸みを帯びていたのだった。
「こんな人を見て、美しいと思った人間は初めてです」
「マサルさんは本当に変わっていますね……この者達は人間ではありませんよ。亜人を可愛いだなんて!」
「どういう事です?」
「こいつ等は人間じゃない。人間によく似た半端者ですよ」
マサルは、そう言いのけるガルドに眉をしかめたのだった。
「あ、あの……少しよろしいですか?」
「何ですかな?なんでもお聞きしてください」
「ひょっとして奴隷って、こういった種族の人ばかりで人間はいないのですか?」
「いいや。そんなことはないですよ。人間の奴隷がよろしかったのですか?」
「あっ、いや、そういうわけでは……」
「このエルフにしておきなさいって。知識は何百年と持っているし、家事や身の回りの世話も出来るし、文字の読み書きも出来るから店を持ったとき手伝いも出来るはずですよ」
「そうですか。ではこの女性をよろしくお願いします」
マサルは少し引っかかったが、ガルドの言う事を聞いた。そして、エルフの女性は、マサルの言う事にびっくりして目を大きくしていたのだった。
そして、奴隷達はコソコソ話をしていたが、気を止める事もなくオラクールの町に到着したのだった。
町は高い城壁に囲まれていて、間違いなく異世界に来たことを実感したマサルだった。
「す、すげえ!あんな高い壁みたことないよ」
「マサルさんは、本当に町に来たことが無いのですね。他の町も城壁に囲まれ、このオラクールの町はまだ小さい方ですよ」
「へええ!」
「俺達が向かうのはもっと大きい町だぞ?」
ランガは、自分の事のようにドヤ顔をして、マサルに自慢してきた。
「これ以上でかいんだ?」
「まあ、マサルも余裕が出来たら一度行ってみたらいいんじゃねえか?」
「ああ!分かったよ」
旅を一緒にしてきた疾風の狼のメンバーとすっかり打ち解けていた。そして、城門の前にやって来ると、門には兵士が立っていた。
「身分書をいいですか?」
手慣れた手つきでドンドンさばいていく。しかし、マサルは身分書がないため、兵士に違うとこに連れて行かれそうになった。
「兵士さんちょっと待ってください。このマサルさんは田舎から出てきて、途中私達を救ってくれたのです。身分は私が保証するから待っていただけますか?」
「そんなに焦らなくて大丈夫だ。初めてこの町に来た者には全員こちらに来てもらい、水晶を触ってもらうだけだから」
「水晶?」
「ああ、そうだ。君の身元が分からないからな。善悪を判断してもらう魔道具に触ってほしいだけだよ。君が犯罪者なら水晶は赤く光る。もし、赤く光った場合、町への入場は出来なくなるが、犯罪など犯してないだろ?」
「ええ!そんな事はしていません」
マサルは自信満々に答えたのだった。そして、当然の事だが水晶は青く光り、犯罪者ではないと証明された。
「そしたら銅貨5枚を支払ってくれるか?町への入場料だ」
マサルは女神から貰っていた銅貨を5枚支払った。価値としては50円である。マサルは、女神からもらったお金は大量にあり、お店を買えるほどあったと聞いていたので、女神に感謝をしていた。
「マサルさんは、収納箱もお持ちになり鑑定も持っているのですよね?」
「そうですね。師匠から店を開業できると言われていました」
「何の商売をやるかは分からないですが、このエルフにいろいろ聞くといいですよ。アドバイスを貰えますからね」
そう言われて、マサルは笑顔を見せた。そして、町に入りガルドは【疾風の狼】に護衛料承諾の書類を手渡していた。疾風の狼はこの承諾書を、ギルドにもっていけば換金される仕組みだと言っていた。
リーダーのハンスは、マサルと会えて命を救ってくれたことを何度もお辞儀してギルドに帰っていた。その時、メンバーの人間にも握手を求められ感謝をされたのだった。
そして、マサルはガルドと共に奴隷商会に向かったのだった。
「あのガルドさん?気になる事があるのですがよろしいですか?」
「ああ。構いませんよ。なにが聞きたいのですか?」
「奴隷の事です」
「何が知りたいのですか?」
「奴隷の扱いの事ですよ。聞いているとなんか引っかかるんですよね?」
ガルドは、奴隷の事を説明し出した。
「それでは、基本の所から説明しますが、まず部屋に入りゆっくりしましょう」
特別奴隷
貴族が没落したり、誘拐で攫われた子供達が救われた時ここに分類される
事になる。金額の天井が無いほど高価。
借金奴隷
暮らしに困り借金が返せなかったり、口減らしで子供達を売りに出す事で
堕ちた奴隷。値段はピンからキリまで。
戦争奴隷
敗戦した国で戦闘に参加していた奴隷。護衛に購入される奴隷。
値段は実力に左右される為高価。
犯罪奴隷
犯罪で囚われた奴隷。使いつぶす目的で購入される。その為安価。
「種類としてはこんな所ですね」
「奴隷に堕ちると奴隷からは解放とかはないのですか?」
「まあ、そんな事をする主人がいたら見てみたいものですね。奴隷とは所有物です。要は、その人間の財産ですからね」
「な、なるほど……」
「ですが、奴隷といっても犯罪奴隷以外は、ご飯は1日2食は貰えるし飢える事はないですしね。服だって最低限の物は用意してあげてください。まあ、これは主人その人にお任せしている事で絶対ではないのですがね……」
「な、なるほど……」
「それに、奴隷とは隷属魔法で契約を結びます。その為、奴隷は主人の言う事に絶対服従ですが、自殺しろとか殺害の命令は出来ません。これは、犯罪奴隷に対しても有効です」
「分かりました」
マサルは、一通りの説明を受けて安心したところもあった。エルフや獣人が人間に虐待されているのではないかと思っていたのだった。しかし、そんなことはなくガルドの店が、エルフやドワーフ達亜人が専門の店だったのだ。
つまり、何の不正もなく国から正規に認められた店だった。エルフがいる国でも、借金を背負ったエルフや獣人は例外なく奴隷として売られていると聞いたので安心したのだった。
「それで、納得いきましたか?」
「あっ、はい!納得いきました」
「それで、馬車の中にいたこのエルフでよろしいですか?」
「はい!この娘でよろしくお願いします」
マサルは、このエルフを気に入っていた。こんな美女が近くにいて、色んなサポートをしてくれると思いワクワクして、契約を結んだのだった。
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