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第10章 Freedom国、経済の中心へ!
158話 国民の娯楽
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ケンジがゲンゴに指示を出し、作った将棋はFreedom店で販売されたが、最初は売り上げが伸びなかった。
しかし、一家族がこの将棋を購入すると当然相手が必要となる。
「よう。オサムさん」
「どうした?カイトさんが、この時間にやって来るなんて珍しいな」
「実はな、Freedom店で販売された、将棋と言うものを購入してみたんだよ」
「あれを買ったのか?生活が楽になる訳でもないし、何かの役に立つわけでもないんだろ?」
「ああ、だがあのFreedom店が販売した商品だろ?なんか気になって購入したんだが、説明書を見ると二人でやるみたいなんだよ」
「俺も気にはなっていたが、購入まではと思って今までは買っていなかったんだよ」
「二人でやるゲームみたいだし、ちょっと付き合ってくれねえか?」
「興味が無いと言ったら嘘になるしやってみるか!」
「そう来なくっちゃ!」
二人は説明書を見て、最初難しいと思ったが、やりながら将棋をさしだした。
「最終的には、この王将と言う駒を取られた方が負けというゲームか……」
「何かよく考えられているな」
最初2人は、説明書を見ながらちょっとづつ覚えて行くような感じだった。そして、一時間もしないうちに、ルールは覚え負けた方は悔しがり、勝った方は喜んでいた。
「もう一回やろうぜ。もう一回!」
「明日も早いんだし、後一回だけにしようぜ」
「そ、そうだな……」
そう言っていた時には、近所の男性達や子供達が、周りに群がっていて勝敗を観戦している状態だったのだ。言ってみたら、ギルドでいざこざがあった時に行われていた決闘のような感じで、周りに人間が群がっているような感じだった。
この世界は、本当に楽しみというものが少ない為、こういった勝負ごとになると周りにやじ馬が群がるのである。
そして、この事が口コミで広がるのは時間の問題だった。
「おっ?お前も将棋を買いに来たのか?」
「そういうお前もか?」
「ああ、昨日近所の奴が買っていてな。ちょっとやらせてもらったんだが面白くてよ」
「俺も同じようなもんだ。あはははは」
「ほら、あれを見てみろよ」
「ああ……俺達大人の為のゲームって売り出されているが、子供も出来るゲームだからな」
周りには、子供連れで買いに来ていたお父さんが、子供に将棋をせがまれていた後景も目にしていた。
「父ちゃん!将棋を買ってくれよ!」
「駄目だ!うちには余裕がないからな」
「だって、ユウゴ君の所にもあるんだぞ」
「他所は他所、うちはうちだ!」
「じゃあ、今度のテストで100点取るから買ってくれよ」
「お前が、テストで100点?」
「ああ!頑張るからさ!」
「わかった。今度のテストで100点取ってきたら買ってやろう」
「えっ⁉100点取ったら?」
「ああ、買っても100点取れるかわからないだろ?だから、テストで100点取れたら買ってやろう」
「ええええ!そんなの無理だよう……」
そのやり取りを見ていた、ユエティーや従業員たちは微笑んで眺めていた。ユエティーは、カウンターの外に出て将棋をねだっていた少年の前にかがんで目線をあわせた。
「ねえ、ボク?テストで100点取ったらお姉さんはかっこいいと思うよ?最初からできないと言うのはカッコ悪いとおもうけどな」
「だけど100点なんて取った事ねぇもん」
「だから、お父さんの約束を守って、100点を取ったら格好いいんじゃない。100点取ったら女の子にもモテると思うよ」
「本当か?」
「当たり前じゃない!頭のいい男の子や運動が出来る男の子は人気あるでしょ?」
「た、確かに」
少年は、父に向き直って宣言した。
「父ちゃん!俺100点取る!そして、将棋を買ってもらうよ」
「ああ!ライド、男の約束だ!楽しみに待っているからな?」
ライドの父は、ユエティーにお礼を言って帰っていったのだった。
そして、後日Freedom店には、ライドとその父が将棋を買いに来ていた。
「あっ、ライド君だったかな?」
「ユエティー姉ちゃん」
「ひょっとして、テストで100点取ったの?」
「うん、俺無茶苦茶がんばって、テストで100点取ったんだ」
「すご~~~い!よく頑張ったね。それで将棋を買ってもらえるんだ?」
「そうなんだ!父ちゃんと約束したから買ってもらえるんだ」
ユエティーは、ライドの父親を見て微笑むのだった。
「まさか、こいつが100点取るとは思いもしなかったですわ。でも、こいつには感心させられ嬉しかったですよ」
「ホント凄いですよ。これもお父さんの教育の賜物ですね」
「いや、ワシなんか何もやってなくて、こいつが努力したからですわ」
「父ちゃん、顔真っ赤だぞ……」
「馬鹿、へんな事言うな!」
ユエティーは、そんな親子を見てくすくす笑っていた。そして、照れくさくなった父親はライドの手を引き帰っていったのだった。
そして、将棋の売り上げは冷蔵庫とか洗濯機までは売り上げが伸びなかったが、それでも娯楽の商品としては異様なほど売り上げが伸びていた。
「ケンジ様、将棋の売り上げが物凄い事になっています。最近になっての、この伸びは本当に異常ともいえるものですよ?」
「何で異常なんだ?いいことじゃないか」
「ですが、言ってみたら生活の中に必要ではない物ですよ?」
「確かに、衣食住には関係のない物と言えばそうなのかもしれなくて、娯楽は優先順位は低いのはわかる」
「ですよね」
「これはまだ、フリーやホーチュンの町だけだが、要は娯楽費を国民が使う事になって来たという証でもあるんだ」
「国民が娯楽にお金を?」
「貴族達が贅沢していただろ?それに近づく一歩目だな」
「ま、まさか?」
「国民達の生活水準が上がらなければ、娯楽費に手を出す事は絶対ないからな。将棋が売れ出してきているという事はそうい事じゃないか」
「それにもうじき、エールやワイン、つまみが売れ出すはずだぞ?」
「どういう事ですか?」
「家にも、将棋が置いてあるだろ?」
「確かに、ダンギとシェムが仕事が終わって熱中していましたね」
「あれを見て、何か足りないと思わないか?」
「あっ……な、なるほど!」
「やっぱり、仕事が終わった父親達には、息抜きでの娯楽は酒やつまみが必要になって来る」
「た、たしかに!」
「家で、将棋をさしながら冷えたエールは仕事のストレスは解消され、次の日からまた家族のために頑張れるってことだよ」
「さすが、ケンジ様です」
事実、この将棋はフリーやホーチュンの町では大盛況であったが、他の町ではまだ無理だったようだ。ケンジはこの結果を見て、次は人口の多いホネストとホープの町の事業を、重点に置いていくことを決めたのだった。
「ムシュダルクさん。たぶん、このままいけば、フリーとホーチュンの町はドンドン発展していくだろう」
「それは当然ですよ。まさか、平民……い、いや国民が貴族のように、娯楽費を使う世の中になるとは思いもしませんでした」
「ああ、少しながらでも娯楽費を使う様になれば、生活に余裕が出ている証拠だ。しかし……」
「しかし、何でしょうか?」
「この状況は、フリーとホーチュンの町だけだ」
「それはしょうがないですよ。まだFreedom統一国家としては、他の町にまで手が回らないのが現状です」
「ああ、分かっている。だが、この二つの町は成功したと言えるだろう?」
「当然です!」
「だから、次からはホープとホネストの町に、予算を振り分けてくれ」
「フリーとホーチュンは、どうするおつもりですか?」
「いいか?フリーとホーチュンは娯楽費が使える位生活水準が上がったから、税金が今まで以上にあがってくるはずだ」
「た、確かに」
「その分、他の町に予算を投入し、学校や保育所や銭湯等を建設して、今までのノウハウを活かしてくれ」
「わかりました」
「二つの町に、内政に詳しい者を派遣させてくれ。人材は、ムシュダルクさんが信用のおける者を、任命してくれたらいいからよろしく頼む」
「わ、わかりました」
ケンジは、やっと国民に娯楽を広げることに成功したのだった。そして、他の町に学校や国の施設が建設開始される事になった。
この、国からの報告にホープとホネストの町の住民は、待ちに待った国営の学校に沸き上がったのだった。
しかし、一家族がこの将棋を購入すると当然相手が必要となる。
「よう。オサムさん」
「どうした?カイトさんが、この時間にやって来るなんて珍しいな」
「実はな、Freedom店で販売された、将棋と言うものを購入してみたんだよ」
「あれを買ったのか?生活が楽になる訳でもないし、何かの役に立つわけでもないんだろ?」
「ああ、だがあのFreedom店が販売した商品だろ?なんか気になって購入したんだが、説明書を見ると二人でやるみたいなんだよ」
「俺も気にはなっていたが、購入まではと思って今までは買っていなかったんだよ」
「二人でやるゲームみたいだし、ちょっと付き合ってくれねえか?」
「興味が無いと言ったら嘘になるしやってみるか!」
「そう来なくっちゃ!」
二人は説明書を見て、最初難しいと思ったが、やりながら将棋をさしだした。
「最終的には、この王将と言う駒を取られた方が負けというゲームか……」
「何かよく考えられているな」
最初2人は、説明書を見ながらちょっとづつ覚えて行くような感じだった。そして、一時間もしないうちに、ルールは覚え負けた方は悔しがり、勝った方は喜んでいた。
「もう一回やろうぜ。もう一回!」
「明日も早いんだし、後一回だけにしようぜ」
「そ、そうだな……」
そう言っていた時には、近所の男性達や子供達が、周りに群がっていて勝敗を観戦している状態だったのだ。言ってみたら、ギルドでいざこざがあった時に行われていた決闘のような感じで、周りに人間が群がっているような感じだった。
この世界は、本当に楽しみというものが少ない為、こういった勝負ごとになると周りにやじ馬が群がるのである。
そして、この事が口コミで広がるのは時間の問題だった。
「おっ?お前も将棋を買いに来たのか?」
「そういうお前もか?」
「ああ、昨日近所の奴が買っていてな。ちょっとやらせてもらったんだが面白くてよ」
「俺も同じようなもんだ。あはははは」
「ほら、あれを見てみろよ」
「ああ……俺達大人の為のゲームって売り出されているが、子供も出来るゲームだからな」
周りには、子供連れで買いに来ていたお父さんが、子供に将棋をせがまれていた後景も目にしていた。
「父ちゃん!将棋を買ってくれよ!」
「駄目だ!うちには余裕がないからな」
「だって、ユウゴ君の所にもあるんだぞ」
「他所は他所、うちはうちだ!」
「じゃあ、今度のテストで100点取るから買ってくれよ」
「お前が、テストで100点?」
「ああ!頑張るからさ!」
「わかった。今度のテストで100点取ってきたら買ってやろう」
「えっ⁉100点取ったら?」
「ああ、買っても100点取れるかわからないだろ?だから、テストで100点取れたら買ってやろう」
「ええええ!そんなの無理だよう……」
そのやり取りを見ていた、ユエティーや従業員たちは微笑んで眺めていた。ユエティーは、カウンターの外に出て将棋をねだっていた少年の前にかがんで目線をあわせた。
「ねえ、ボク?テストで100点取ったらお姉さんはかっこいいと思うよ?最初からできないと言うのはカッコ悪いとおもうけどな」
「だけど100点なんて取った事ねぇもん」
「だから、お父さんの約束を守って、100点を取ったら格好いいんじゃない。100点取ったら女の子にもモテると思うよ」
「本当か?」
「当たり前じゃない!頭のいい男の子や運動が出来る男の子は人気あるでしょ?」
「た、確かに」
少年は、父に向き直って宣言した。
「父ちゃん!俺100点取る!そして、将棋を買ってもらうよ」
「ああ!ライド、男の約束だ!楽しみに待っているからな?」
ライドの父は、ユエティーにお礼を言って帰っていったのだった。
そして、後日Freedom店には、ライドとその父が将棋を買いに来ていた。
「あっ、ライド君だったかな?」
「ユエティー姉ちゃん」
「ひょっとして、テストで100点取ったの?」
「うん、俺無茶苦茶がんばって、テストで100点取ったんだ」
「すご~~~い!よく頑張ったね。それで将棋を買ってもらえるんだ?」
「そうなんだ!父ちゃんと約束したから買ってもらえるんだ」
ユエティーは、ライドの父親を見て微笑むのだった。
「まさか、こいつが100点取るとは思いもしなかったですわ。でも、こいつには感心させられ嬉しかったですよ」
「ホント凄いですよ。これもお父さんの教育の賜物ですね」
「いや、ワシなんか何もやってなくて、こいつが努力したからですわ」
「父ちゃん、顔真っ赤だぞ……」
「馬鹿、へんな事言うな!」
ユエティーは、そんな親子を見てくすくす笑っていた。そして、照れくさくなった父親はライドの手を引き帰っていったのだった。
そして、将棋の売り上げは冷蔵庫とか洗濯機までは売り上げが伸びなかったが、それでも娯楽の商品としては異様なほど売り上げが伸びていた。
「ケンジ様、将棋の売り上げが物凄い事になっています。最近になっての、この伸びは本当に異常ともいえるものですよ?」
「何で異常なんだ?いいことじゃないか」
「ですが、言ってみたら生活の中に必要ではない物ですよ?」
「確かに、衣食住には関係のない物と言えばそうなのかもしれなくて、娯楽は優先順位は低いのはわかる」
「ですよね」
「これはまだ、フリーやホーチュンの町だけだが、要は娯楽費を国民が使う事になって来たという証でもあるんだ」
「国民が娯楽にお金を?」
「貴族達が贅沢していただろ?それに近づく一歩目だな」
「ま、まさか?」
「国民達の生活水準が上がらなければ、娯楽費に手を出す事は絶対ないからな。将棋が売れ出してきているという事はそうい事じゃないか」
「それにもうじき、エールやワイン、つまみが売れ出すはずだぞ?」
「どういう事ですか?」
「家にも、将棋が置いてあるだろ?」
「確かに、ダンギとシェムが仕事が終わって熱中していましたね」
「あれを見て、何か足りないと思わないか?」
「あっ……な、なるほど!」
「やっぱり、仕事が終わった父親達には、息抜きでの娯楽は酒やつまみが必要になって来る」
「た、たしかに!」
「家で、将棋をさしながら冷えたエールは仕事のストレスは解消され、次の日からまた家族のために頑張れるってことだよ」
「さすが、ケンジ様です」
事実、この将棋はフリーやホーチュンの町では大盛況であったが、他の町ではまだ無理だったようだ。ケンジはこの結果を見て、次は人口の多いホネストとホープの町の事業を、重点に置いていくことを決めたのだった。
「ムシュダルクさん。たぶん、このままいけば、フリーとホーチュンの町はドンドン発展していくだろう」
「それは当然ですよ。まさか、平民……い、いや国民が貴族のように、娯楽費を使う世の中になるとは思いもしませんでした」
「ああ、少しながらでも娯楽費を使う様になれば、生活に余裕が出ている証拠だ。しかし……」
「しかし、何でしょうか?」
「この状況は、フリーとホーチュンの町だけだ」
「それはしょうがないですよ。まだFreedom統一国家としては、他の町にまで手が回らないのが現状です」
「ああ、分かっている。だが、この二つの町は成功したと言えるだろう?」
「当然です!」
「だから、次からはホープとホネストの町に、予算を振り分けてくれ」
「フリーとホーチュンは、どうするおつもりですか?」
「いいか?フリーとホーチュンは娯楽費が使える位生活水準が上がったから、税金が今まで以上にあがってくるはずだ」
「た、確かに」
「その分、他の町に予算を投入し、学校や保育所や銭湯等を建設して、今までのノウハウを活かしてくれ」
「わかりました」
「二つの町に、内政に詳しい者を派遣させてくれ。人材は、ムシュダルクさんが信用のおける者を、任命してくれたらいいからよろしく頼む」
「わ、わかりました」
ケンジは、やっと国民に娯楽を広げることに成功したのだった。そして、他の町に学校や国の施設が建設開始される事になった。
この、国からの報告にホープとホネストの町の住民は、待ちに待った国営の学校に沸き上がったのだった。
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